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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

論文〜古気候・炭素循環〜

読んで面白いと思った論文や、これから同じような研究をするかもしれない後輩達に是非読んでもらいたい論文、ちょっとこの分野を勉強したい人にオススメできる論文などを簡単に紹介します。
地球温暖化・海洋酸性化以外の、より専門的な古気候・炭素循環に関連した論文や記事をまとめます。

最終更新日:2017/12/6

>論文ではなく、オススメの教科書類の紹介はこちら
>横山研メンバーのオススメ論文紹介ページはこちら

☆コンテンツ
  • 海水炭酸系の理論
  • サンゴ礁の炭素循環・地形形成プロセス
  • 放射性炭素年代測定・INTCAL
  • 南大洋の海洋物理・古海洋学・炭素循環
  • ターミネーションの古気候学
  • 第四紀古気候学・炭素循環
  • 中期鮮新世温暖期(mPWP)
  • アイスコアを用いた古気候復元
  • 魚の耳石を用いた古生態・古環境解析
  • 二枚貝の殻を利用した古環境研究
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海水炭酸系の理論

[論文]
海水の炭酸系とサンゴ礁の光合成・石灰化によるその変化 –理論と代謝量測定法-
鈴木淳 (1994)
地質調査所月報 45 (10) pp. 573-623
➡︎やや古いが、日本語で書かれた海水炭酸系の本は少ないので重宝。炭酸系の理論体系を紹介。炭酸系の平衡定数などは時代とともに改訂されているため、最近のものを使用する必要がある。
最近の海洋炭酸系のハンドブックとしては「Guide to best Practices for ocean acidification research and data reporting」by Riebesell et al. (2010)が推奨できる。

History of Seawater Carbonate Chemistry, Atmospheric CO2, and Ocean Acidification
Richard E. Zeebe
Annual Review of Earth and Planetary Sciences 40, 141-165 (2012).
➡︎海水の炭酸系の教科書「CO2 SYSTEM IN SEAWATER」の著者でもあるハワイ大 R. Zeebeのレビュー。海洋酸性化から、地質学スケールの炭素循環について非常に分かりやすくまとめてある。とても短いので、炭素循環を研究する人には是非一読をおススメします。

pH of seawater
Marion, G.M. et al.
Marine Chemistry 126 (2011) 89–96

➡︎かなり難解だが、捉え難い海水のpHの定義、スケールの違いなどをレビュー。

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サンゴ礁の炭素循環・地形形成プロセス

[論文]
Carbon budget of coral reef systems: an overview of observations in fringing reefs, barrier reefs and atolls in the Indo-Pacific regions
Atsushi Suzuki, Hodaka Kawahata
Tellus 55B, 428–444 (2003).
➡︎インド太平洋域のサンゴ礁がCO2の排出源なのか・吸収源なのかという問題について、環礁・堡礁・裾礁におけるpCO2測定などから取り組んだ。DIC-TAダイアグラムを用いてサンゴ礁の各プロセス(石灰化・有機物分解・ガス交換など)を評価する手法についても紹介。サンゴ礁の炭素循環においては陸からの距離・海水の滞留時間などがとりわけ重要であることを提案。

Postglacial Fringing-Reef to Barrier-Reef conversion on Tahiti links Darwin’s reef types
Paul Blanchon, Marian Granados-Corea, Elizabeth Abbey, Juan C. Braga, Colin Braithwaite, David M. Kennedy, Tom Spencer, Jody M. Webster & Colin D. Woodroffe
Scientific Reports 4, doi:10.1038/srep04997 (2014).
➡︎ダーウィンが提唱した沈降説、デーリーが提唱した海水準説など、「裾礁→堡礁→環礁」へと発達するプロセスが提唱されているものの、必ずしも理路整然として説明されていない。南太平洋に浮かぶタヒチのサンゴ礁に着目し、サンゴ礁の地形発達史を、これまでに行われた陸上・沈水サンゴ礁掘削から得られた化石サンゴ試料をもとに復元。タヒチのサンゴ礁は火山島の漸次的な沈降と2回の海水準上昇(ターミネーション1&2)で形成されたものであることを分かりやすいイラストとともに紹介。
[論文概説]

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放射性炭素年代測定・INTCAL

[論文]
Impact of fossil fuel emissions on atmospheric radiocarbon and various applications of radiocarbon over this century
Heather D. Graven
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 112, 9542–9545 (2015)

➡︎IPCC AR5のCO2排出シナリオに基づいて今世紀末までの大気Δ14Cをシミュレーション。それが考古学・犯罪捜査・海洋学に与える影響について考察。

Radiocarbon Dating, Reservoir Effects, and Calibration
A.J.T. Jull, G.S. Burr, G.W.L. Hodgins
Quaternary International
➡︎アリゾナ大の加速器研究室による、AMS-14Cの測定法、グラファイト生成法、暦年代較正法、リザーバー効果などのレビュー論文。

A high-resolution record of atmospheric 14C based on Hulu Cave speleothem H82
John Southon, Alexandra L. Noronha, Hai Cheng, R. Lawrence Edwards, Yongjin Wang
Quaternary Science Reviews 33, 32-41 (2012)
➡︎中国Hulu洞窟から得られた鍾乳石を用いて過去の’大気の’放射性炭素濃度を報告。Dead carbon効果を過去も一定と仮定しているが、Cariaco海盆の年縞堆積物から得られているデータと特にHS1の時期に食い違いが見られることを指摘。

A Complete Terrestrial Radiocarbon Record for 11.2 to 52.8 kyr B.P.
Christopher Bronk Ramsey, Richard A. Staff, Charlotte L. Bryant, Fiona Brock, Hiroyuki Kitagawa, Johannes van der Plicht, Gordon Schlolaut, Michael H. Marshall, Achim Brauer, Henry F. Lamb, Rebecca L. Payne, Pavel E. Tarasov, Tsuyoshi Haraguchi, Katsuya Gotanda, Hitoshi Yonenobu, Yusuke Yokoyama, Ryuji Tada, and Takeshi Nakagawa
Science 338, 370–374 (2012).
➡︎日本の水月湖の年縞堆積物から得られた過去52.8kaの’大気の’放射性炭素濃度を報告。過去の海洋リザーバー年代の変化や地磁気の強弱などにも言及。
[論文概説]

Selection and Treatment of Data for Radiocarbon Calibration: An Update to the International Calibration (IntCal) Criteria
Paula J Reimer et al.
Radiocarbon 55, 1923–1945 (2013).
➡︎Intcal13と同じ号にて発表された論文で、Intcal較正曲線にデータを追加する際に必要な事項が細かく項目ごとにまとめられている。現在の限界から、今後期待されるブレークスルーまで触れられており、将来の研究の方向性を考える上で参考になるかもしれない。
[論文概説]

[記事]
Refining the Radiocarbon Time Scale
Paula J. Reimer
Science 338 (19 Oct 2012)
➡︎上のBronk-Ramsey et al. (2012, Science)の解説記事。
[論文概説]

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南大洋の海洋物理・古海洋学・炭素循環

[論文]
The polar ocean and glacial cycles in atmospheric CO2 concentration
Sigman, D. M. et al. (2010)
Nature 466 pp. 47-55
➡︎南大洋の氷期-間氷期の炭素循環における重要性を指摘し、偏西風の位置や海氷の張り出しが海洋循環に与える影響をレビューしています。

Glacial/interglacial variations in atmospheric carbon dioxide
Daniel M. Sigman & Edward A. Boyle
Nature 407, 859–869 (19 October 2000) | doi:10.1038/35038000
➡︎上の論文の10年前に出されたレビュー論文。特に生物ポンプの変化に着目して、氷期-間氷期の大気中CO2濃度の変動の謎について紹介。

Closure of the meridional overturning circulation through Southern Ocean upwelling
Marshall, J., Speer, K.
Nature Geoscience 5, 171-180. (2012)

➡︎南大洋における深層水形成、湧昇とその全球の海洋深層循環や炭素循環に与える影響をレビューした論文。海洋物理の項目は難しく、僕は読み飛ばしてしまいました。
[論文概説]

Wind-Driven Upwelling in the Southern Ocean and the Deglacial Rise in Atmospheric CO2
R. F. Anderson, S. Ali, L. I. Bradtmiller, S. H. H. Nielsen, M. Q. Fleisher, B. E. Anderson, L. H. Burckle
Science 323, 1443-1448 (2009)
➡︎堆積物コア中の生物源オパールのフラックスから最終退氷期において湧昇が強化していた可能性を示した有名な論文。氷期に蓄えられた溶存炭素が南大洋の湧昇を通して大気へともたらされたことがCO2濃度の~80 ppmの上昇の原因であると推定しています。

The Salinity, Temperature, and δ18O of the Glacial Deep Ocean
Jess F. Adkins, Katherine McIntyre, Daniel P. Schrag
Science 298, 1769-1773 (29 November 2002)
➡︎南大洋の堆積物コア中の間隙水の温度・塩分・δ18O測定から、氷期に非常に濃く冷たい水が南大洋の低層を覆っていた(AABW)ことを示唆。のちの海氷の張り出しに伴うbrine rejection説や南大洋のstratification(成層化)説に繋がってくる。

Midlatitude westerlies, atmospheric CO2, and climate change during the ice ages
J. R. Toggweiler, Joellen L. Russell and S. R. Carson
PALEOCEANOGRAPHY 21, doi:10.1029/2005PA001154 (2006)

➡︎氷期-間氷期のCO2変動の謎を「海洋深層水循環のモード・チェンジ」と「南半球偏西風の位置」に着目して議論。偏西風の位置が大きく南北にシフトすることで、南大洋における湧昇・生物地球化学に影響し、炭素循環に大きな影響が生じることをモデルを使って説明。氷期-間氷期の気候変動そのものも偏西風の位置の変動が重要なスイッチとして機能していること、閾値が存在することで100ppmのCO2のスイングが生じるという仮説を提案。

Ocean circulation in a warming climate
J. R. Toggweiler & Joellen Russell
Nature 451, 286-288 (17 January 2008)

➡︎特集号'Year of planet Earth'に収録されたものの一つ。内容としては下の記事と類似。

Reversed flow of Atlantic deep water during the Last Glacial Maximum
Ce ́sar Negre, Rainer Zahn, Alexander L. Thomas, Pere Masque ́, Gideon M. Henderson, Gema Mart ́ınez-Me ́ndez, Ian R. Hall & Jose ́ L. Mas
Nature 468, 84–88 (2010).
➡︎大西洋の南北から得られた堆積物コアの231Pa/230Th分析から、最終氷期極相に子午面循環の中層水の流れが逆転していた(南から北へ)ことを示唆。

[記事]
Shifting Westeries
J. R. Toggweiler
Science 323, 1434-1435, DOI: 10.1126/science.1169823
→南半球の偏西風(Southern Westeries)が海洋物理・炭素循環に与える影響を、様々な時間スケールで紹介。

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ターミネーションの古気候学

[論文]
Global Climate and Sea Level: Enduring Variability and Rapid Fluctuations Over the Past 150,000 Years
Yokoyama, Y., Esat, T.
Oceanography 24(2), 54–69 (2011)

➡︎海水準変動のメカニズムとその古気候学との密接な関係をレビューした論文。特にターミネーション1(最終退氷期)と2に着目。

The Last Glacial Termination
G. H. Denton, R. F. Anderson, J. R. Toggweiler, R. L. Edwards, J. M. Schaefer, A. E. Putnam
Science 328 (5986), 1652-1656. (2010)
➡︎最終退氷期の古気候学のレビュー論文。

The “MIS 11 paradox” and ocean circulation: Role of millennial scale events
Natalia Vázquez Riveiros, Claire Waelbroeck, Luke Skinner, Jean-Claude Duplessy, Jerry F. McManus, Evgenia S. Kandiano, Henning A. Bauch
EPSL 371-372, 258-268 (2013)
➡︎ターミネーションⅠとⅤを比較し、MIS1(完新世)とMIS11に至るフォーシングの類似性・相違性を議論した論文。MIS12の氷床量がMIS2(LGM)よりも大きかったことがAMOCへの淡水フラックスを多く・長くしたこと、その際のAMOC強弱が大気中CO2濃度やターミネーションに重要であった可能性を指摘。

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第四紀古気候学・炭素循環

[論文]
Causes of ice age intensification across the Mid-Pleistocene Transition
Thomas B. Chalk et al.
PNAS, doi: 10.1073/pnas.1702143114 (2017)
➡︎赤道大西洋から得られた海底堆積物中の浮遊性有孔虫δ11BからMPT(Mid-Pleistocene Transition)前後の大気中CO2濃度を復元。MPT以降、氷期のCO2低下が強化された。氷床力学の変化に伴い、南大洋の鉄肥沃フィードバックが強化されたことが原因であることを地球システムモデルから考察。

Insolation-driven 100,000-year glacial cycles and hysteresis of ice-sheet volume
Ayako Abe-Ouchi, Fuyuki Saito, Kenji Kawamura, Maureen E. Raymo, Jun’ichi Okuno, Kunio Takahashi & Heinz Blatter
Nature 500, 190–193 (2013).

➡︎MIROCと氷床モデル、さらにアイソスタシーを考慮した地殻変動モデルとを組み合わせて、主に「日射量」と「気候-氷床-地殻変動間フィードバック」の2つの要因によって氷期-間氷期サイクルの10万年周期が説明できることを示した。
[論文概説]

Palaeoceanography: motivations and challenges for the future
Robinson LF, Siddall M.
Philos Transact A Math Phys Eng Sci, 370 (1980), 5540-66. (2012)
➡︎古気候研究とモデルシミュレーションを用いた研究のこれまでの問題点と今後の方向性を示したレビュー論文。

The Role of Deep Ocean Circulation in Setting Glacial Climates
Jess Adkins
Paleoceanography 28, 539–561, doi:10.1002/palo.20046 (2013).
➡︎主に大西洋の子午面循環(NADW・AABW)に焦点を当てて、氷期における深層循環が現在とどのように違ったのか、またそれを評価するために有用な(有望な)プロキシのレビュー。

THE MYSTERIOUS 14C DECLINE
Broecker (2009)
RADIOCARBON, 51 (1), pp. 109-119

➡︎内容としてはBroecker & Barker (2007, EPSL)と大体同じ。「Mystery Interval」と呼ばれるおよそ18-11kaの炭素循環における謎をレビュー。簡単なボックスモデルで、Δ14Cや炭酸塩補償深度の変化などを議論。

[記事]
Solution proposed for ice-age mystery
Shawn J. Marshall
Nature 500, 159–160 (2013).
➡︎Abe-Ouchi et al.の解説記事。

Carbonate Mysteries
Henry Elderfield (2002)
Science Vol. 296, pp. 1618-1621
➡︎氷期-間氷期スケールの大気中の二酸化炭素濃度の変動と海水炭酸系の中でも特に海水の炭酸塩補償深度・リソクラインの変動フィードバックについて。

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中期鮮新世温暖期(mPWP)

[論文]
Integrating geological archives and climate models for the mid-Pliocene warm period
Alan M. Haywood, Harry J. Dowsett & Aisling M. Dolan
Nature Communications 7, doi:10.1038/ncomms10646 (2016)
➡︎モデル・プロキシ双方の視点から中期鮮新世温暖期の気候場と問題点をレビュー。個々のプロキシの問題点、年代モデル、堆積速度・解像度など、幅広くまとめている。熱帯域の温度がモデルで過大評価される問題や、極域増幅が過小評価されてしまう問題なども指摘。まだまだモデル・プロキシともに改良が必要。

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アイスコアを用いた古気候復元

[論文]
Links between atmospheric carbon dioxide, the land carbon reservoir and climate over the past millennium
Thomas K. Bauska, Fortunat Joos, Alan C. Mix, Raphael Roth, Jinho Ahn and Edward J. Brook
Nature Geoscience 8, 383–387 (2015).
➡︎西南極氷床から得られたアイスコア(WDC)の、過去1,000年間の詳細なδ13CO2記録。これまで解像されていなかった1500年頃の変動が得られ、カリブ海の石灰質カイメンの記録と整合的な結果となった。モデルを用いて変動の要因を考察したところ、高緯度域の温度変動による陸域炭素リザーバーの変動が主要因であることを指摘。

Atmospheric CO2 over the last 1000 years: A high-resolution record from the West Antarctic Ice Sheet (WAIS) Divide ice core
Jinho Ahn, Edward J. Brook, Logan Mitchell, Julia Rosen, Joseph R. McConnell, Kendrick Taylor, David Etheridge, and Mauro Rubino
Global Biogeochemical Cycles 26, GB2027, doi:10.1029/2011GB004247 (2012)
➡︎西南極氷床から得られたアイスコア(WDC)の、過去1,000年間の詳細なCO2記録。1600年頃に~10 ppm大気CO2濃度が低下しており、Law Domeのアイスコアの記録よりも低下速度が小さい(ゆっくりと低下していた)ことが分かった。

Precise interpolar phasing of abrupt climate change during the last ice age
WAIS Divide Project Members
Nature 520, 661–665 (30 April 2015)
➡︎西南極氷床から得られたアイスコア(WDC)のδ18O・CH4分析結果をグリーンランド氷床アイスコアの記録と比較することで、氷期における南北半球の温暖・寒冷期の位相とメカニズムを考察。
[論文概説]

Centennial-scale changes in the global carbon cycle during the last deglaciation
Shaun A. Marcott, Thomas K. Bauska, Christo Buizert, Eric J. Steig, Julia L. Rosen, Kurt M. Cuffey, T. J. Fudge, Jeffery P. Severinghaus, Jinho Ahn, Michael L. Kalk, Joseph R. McConnell, Todd Sowers, Kendrick C. Taylor, James W. C. White & Edward J. Brook
Nature 514, 616–619 (30 October 2014).

➡︎西南極氷床から得られたアイスコア(WDC)の、これまでで最も高い解像度の最終退氷期(20-10ka)における大気CO2濃度変動記録を報告。
[論文概説]

Carbon Isotope Constraints on the Deglacial CO2 Rise from Ice Cores
Jochen Schmitt, Robert Schneider, Joachim Elsig, Daiana Leuenberger, Anna Lourantou, Jérôme Chappellaz, Peter Köhler, Fortunat Joos, Thomas F. Stocker, Markus Leuenberger, and Hubertus Fischer
Science 336, 633-760 (2012)

➡︎南極アイスコアの気泡に含まれるCO2の炭素同位体測定から、最終退氷期の炭素循環を考察。これまでに得られた記録をコンパイルすることで、代表的な曲線を提示。

Tightened constraints on the time-lag between Antarctic temperature and CO2 during the last deglaciation
J. B. Pedro, S. O. Rasmussen, and T. D. van Ommen
Climate of the Past 8, 1213–1221 (2012)
➡︎最終退氷期における南極の気温と大気中CO2濃度の前後関係の議論。おそらく南極の気温上昇がCO2濃度上昇に’400年’先立っていることを示した。

Synchronous Change of Atmospheric CO2 and Antarctic Temperature During the Last Deglacial Warming
F. Parrenin, V. Masson-Delmotte, P. Köhler, D. Raynaud, D. Paillard, J. Schwander, C. Barbante, A. Landais, A. Wegner, and J. Jouzel
Science 339, 1060-1063 (1 March 2013)
➡︎上のPedro et al.に対し、こちらは南極気温上昇と大気中CO2濃度上昇は’同時’であることを示した。
[論文概説]

Abrupt rise in atmospheric CO2 at the onset of the Bølling/Allerød: in-situ ice core data versus true atmospheric signals
P. Kohler, G. Knorr, D. Buiron, A. Lourantou, and J. Chappellaz
Clim. Past, 7, 473–486 (2011)
➡︎急激な海水準上昇イベント(MWP-1A)と同期した急激な大気中CO2濃度上昇の関係性を考察。14.6kaのCO2濃度上昇はアイスコアに記録されているよりも、実際には大きかった可能性を指摘(フィルンの中でシグナルがなめされた)。
[コラム]

A revised 1000 year atmospheric δ13C-CO2 record from Law Dome and South Pole, Antarctica
M. Rubino, D. M. Etheridge, C. M. Trudinger, C. E. Allison, M. O. Battle, R. L. Langenfelds, L. P. Steele, M. Curran, M. Bender, J. W. C. White, T. M. Jenk, T. Blunier, and R. J. Francey
Journal Of Geophysical Research: Atmospheres 118, 8482–8499 (2013).
➡︎東南極Law Domeおよび南極点(South Pole)にて採取されたアイスコアに対してこれまでの20年間にわたって測定された、過去150年間のCO2・δ13CO2の測定結果をまとめ、一つのコンパイルされたデータセットを提供。データはNOAAのデータベースではなく、supplementに納められている。また炭素循環モデルを用いて海・陸・大気間のCO2フラックスを推定。

Siple Dome ice reveals two modes of millennial CO2 change during the last ice age
Jinho Ahn & Edward J. Brook
Nature Communications, 5:3723, DOI: 10.1038/ncomms4723
➡︎複数本の南極アイスコア中のCO2分析から、氷期のハインリッヒイベント時に大気中CO2濃度が上昇すること、D/Oイベント時には顕著な増加は見られないことを示唆。両者はともに北半球の寒冷化イベントで特徴付けられるものの、その規模が異なり、バイ・ポーラー・シーソーが働いたかどうかが違いを生む可能性を指摘。

[記事]
The Ice Age Carbon Puzzle
Edward Brook
Science 336 (2012)
➡︎上のSchmitt et al. (2012, Science)の解説記事。
Science 339, 1042-1043 (1 March 2013)
➡︎上のParrenin et al. (Science, 2013)の解説記事。
[論文概説]

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魚の耳石を用いた古生態・古環境解析

[論文]
Chemistry and composition of fish otoliths: pathways, mechanisms and applications
Campana, 1999, MEPS
➡︎耳石の微量元素・同位体・放射性同位体を用いた魚の生態研究・古環境推定などを広くレビュー。測定機器のことにも触れられており、大変勉強になります。
[論文概説]

Microstructure of Fish Otoliths
Campana & Neilson, 1985, Canadian Journal of Fisheries and Aquatic Sciences
➡︎耳石の微細構造(日輪など)に焦点をあてて、レビューしたもの。

Otolith chemistry analyses indicate that water Sr:Ca is the primary factor influencing otolith Sr:Ca for freshwater and diadromous fish but not for marine fish
Randy J. Brown and Kenneth P. Severin
Canadian Journal of Fisheries and Aquatic Sciences 66, 1790–1808 (2009).
➡︎淡水・汽水・海水に生息する両側回遊型の魚の耳石のSr/Caが正しく水のSr/Caを反映するか、他の変動要因は何かについてレビューした論文。塩分指標(つまり回遊指標)として耳石Sr/Caを用いた研究は多数あり、レビューも多くあるが、これが一番網羅的かと。

Movement patterns of the tropical shad hilsa (Tenualosa ilisha) inferred from transects of 87Sr/86Sr isotope ratios in their otoliths
David A. Milton and Simon R. Chenery
Canadian Journal of Fisheries and Aquatic Sciences 60, 1376–1385 (2003).
➡︎LA-MC-ICPMSを用いてバングラデシュに生息する魚の耳石の87/86Srを測定し、1,000kmに及ぶ魚の回遊史を復元した研究。汽水と海とを見分けることは難しいですが、河川であればかなりの精度で生息地や産卵地を特定できることを示したエクセレントな研究。

Factors determining δ13C and δ18O fractionation in aragonitic otoliths of marine fish
Thorrold, S.R. et al., 1997, GCA
➡︎耳石の酸素・炭素同位体変動が何によって規定されており、特に古水温計として使えるかどうかを評価した論文。温度換算のための式も提唱。

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二枚貝の殻を利用した古環境研究

[論文]
Retrospective environmental biomonitoring – Mussel Watch expanded
Bernd R. Schöne, Richard A. Krause Jr.
Global and Planetary Change 144, 228–251 (2016)
➡︎二枚貝の軟体部・殻の微量元素・有機物分析を利用した環境汚染研究のレビュー論文。
これまで軟体部や殻の全岩分析が利用されてきたが、殻断面の成長方向に沿った分析が重要であることを強調。また、動物としての生理をよりよく理解することが殻の化学組成の理解に必須であることを指摘。
[論文概説]

Bivalve Sclerochronology and Geochemistry
Bernd r. Schöne and donna M. Surge, TREATISE
➡︎貝の殻の年間成長パターンや微細成長線の形成メカニズム(特に太陽と月の周期的変化の影響)をレビュー。殻の同位体・微量元素を用いた古環境指標についても言及。