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2017年2月22日水曜日

有孔虫を拾うということ

最近実験といえば、海底堆積物中の有孔虫をひたすら拾っている。
はじめ湿った状態で得た堆積物を流水とともに63μmメッシュのふるいでふるい、それ以上の粒径について約100μmずつさらに細かく分け、拾い出している。

私が浮遊性・底生有孔虫を拾っている理由の一つは、その殻の放射性炭素を測定するため。
海水の溶存炭素から殻を作るため、海水の放射性炭素の指標になる(すなわち過去の海水の古さが推定できる)。
➡︎拙ブログ記事「浮遊性・底生有孔虫の殻の放射性炭素から深層水の年代を見積もる




これまでどちらかというと大型の生物の硬骨格を扱うことが多かったので、小さな有孔虫がこんなにも多種多様で複雑な殻を作っていることに驚かされている。
こちらのサイトは様々な浮遊性・底生有孔虫の写真を掲載しており、眺めているだけで楽しい。

浮遊性有孔虫については、真上からの観察では種を見分けることが難しく、少し角度を変えて観察することが大事だということが分かった。
多かれ少なかれ種ごとにサイズ感が異なるので、はじめにサイズを細かく分けておく(ふるいでふるう)ことが大事だということも分かった。
まだ細かく種を分類することはできてないが、自分が研究で使う
G. ruber(s.s./s.l.の亜種含む) / G. sacculifer(final chamber有/無) O. universaくらいは完璧に見分けることができるようになった。

こうした分類に加え、時代ごとに絶滅・出現する種を特定して堆積物の年代を明らかにするMicropaleontologistはすごい。
顕微鏡をのぞいてばかりいるとやはり目や肩や腰が疲れる。乗船中に、この作業を揺れる船上でやると思うと…。

底生有孔虫はこれまで小さいものとばかり思い込んでいたが、案外大型のもの(>250μm)が多い。
ただ、浮遊性有孔虫以上に多種多様で、なかなか種名を特定することが難しい。ネットで探してもSEMの写真はあるけど、実体顕微鏡でどのように見えるかが分かる写真は少ないので、種名は決めずに放っておくことが多い。
底生有孔虫には堆積物深くに潜る種が存在する。そうした種は、底層水というよりは間隙水から溶存炭素を獲得しているし、そもそも堆積物中の年代軸があいまいになってしまう(より古い堆積物の中に生息し、そこで死ぬため)。
特に堆積速度が小さい堆積物では、より年代軸のずれが大きくなってしまう。
そのため、私が今回ターゲットとするのは極力潜らない種(表在種・内表在種)ということになる。

はっきりと、これは底生有孔虫だとはっきり特定できるもののうち、文献等見ても海底環境の復元に使って大丈夫だろうと思って拾っている種は以下の通り。
Uvigerina CibicidoidesMelonisGyroidinaOrdorsalisCassidulinaHoeglundina
文献では最初の2種が使われる場合が多い(私の使っている堆積物では残念ながら不十分な密度しかいない)。

素人丸出しだが、底生有孔虫の殻はほとんどすべて炭酸塩でできていると思い込んでいたのだが、実際には磁器質(porcelaneous)・膠着質(aggregated)のものが結構いる。

私が観察している堆積物のうち、よく見られるの磁器質有孔虫が以下のPyrgo。つるっとしていて真っ白なのですぐに見分けがつく。

http://www.foraminifera.eu/genus.php?no=1001578&aktion=suche


ついでよく見られる膠着質有孔虫が以下のSigmoilopsis。こちらは表面がざらざらとしており、くすんだ色をしている。膠着質有孔虫の中には他の有孔虫の殻や砂つぶを身にまとっているものもいて興味深い(というか怖い)。

http://www.foraminifera.eu/genus.php?no=1001802&aktion=suche


最終的に専門家にチェックしてもらった方が安全だと思っている。万が一浮遊性種を拾っていた場合、放射性炭素がより多い表層海水の値にバイアスがかかってしまう。
写真もしっかり残しておき、あとで変なデータが出た時に備えておいた方が無難だろう。

放射性炭素年代測定に必要な炭酸塩の量は約10 mg。CaCO3のなかで炭素は約10分の1でしかないので、案外大量の試料が必要だ。浮遊性有孔虫だと1試料あたり約150個体ほど必要。
残念ながら底生有孔虫は10mgも拾い出せないので、1mg程度で測定が可能な微量測定法で測定するつもりでいる。

堆積物を6cm刻みでそれぞれ30cc採取しており、過去30万年間をターゲットとした古海洋研究に必要な試料は24試料。
底生有孔虫の拾い出しはすべて終わり、いまは浮遊性有孔虫の拾い出しを進めている(今週にも終わりそう)。
いったんデータを取ってみて、解像度が足りないと判断したらモラトリアム期間後に追加サンプリングを行うかもしれない。
ただし、低層の酸素濃度が高く、生物擾乱(バイオターベーション)を多く被った堆積物なので、解像度を上げるにも限界があるだろう。

専門家に最終チェックを行ってもらい、放射性炭素の分析を始めるのは次年度以降。
とりあえず次は別の堆積物コアをふるう作業をはじめたい。3月に終えるのが理想だけど、水は冷たいし、果たして。。

2017年2月9日木曜日

面白い誤変換(No. 1)

× 起床研究所(睡眠研究所はありますが)
○ 気象研究所

× 包茎さんガラス(どんなガラスだ。大事に包まれてるのか)
○ ホウ珪酸ガラス

× 粘性挑戦(どんな挑戦?)
○ 年成長線

× 竜計(想像上の生き物らしい)
○ 粒径

× 除去雨
○ 助教

× 感激水(涙のことかな)
○ 間隙水

× 男体部(下ネタか)
○ 軟体部

× 妖怪実験(とりあえずジバニャン溶かしてみる?)
○ 溶解実験

× 変装書類(変態の香りがするなー)
○ 返送書類

× 痛く測定(痛いのは好きですか?)
○ 委託測定

× 酵母書類(書類を醸せー)
○ 公募書類

× 退席学者(あ、学者の方のお帰りはこちらです)
○ 堆積学者

× てぇ(間違って「かな」で打つとこんなことになるとは)
○  The

× 東北酔拳(酔いどれ)
○ 東北水研