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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2017年4月28日金曜日

研究と虫と、釣り

4月が終わろうとしている。高知コアセンターと自宅は田んぼの近くにあり、周辺の道を自転車で走っているとよく虫が顔に当たってくる(というか自分が虫の塊に向かってぶつかっていってる)。
春なので、群れで乱○パーティーを楽しんでいるのだろう。ランニングしようにも息を荒げようものなら虫を吸い込んでしまうので、いまは控えている。そのうち虫が少なくなったら空港周辺をランニングしたい(以前ちょっと参加していたフットサルは、年度始めの忙しさの落ち着く5月から活動再開するらしい)。

さて、念願の実験施設で実験に明け暮れているかと思いきや、実は実験はまったくできておらず、デスクワークばかりこなす毎日を過ごしている。
というのも、
・論文の査読が返ってきた
・学振PDの研究費が内定しておらず、5月からしか物品購入できない
・発表/公募/研究助成の資料作成に追われていた
のが挙げられる(まだ研究助成の資料作ってないけど)。

GW明けから出張が続き、しばらく高知を開けるので、5月末に実験機器類を購入し、6月から手を動かす感じになるだろうか。夏が来たら(水温が上がり)とても活動的になるが、とりあえず梅雨の時期は実験に集中したい。

また、投稿中の論文もまだ正式受理には至っていないけど、あと少しの(エディターの意向に沿う)改訂でなんとかなりそうな気がして来た(4度目の査読でリジェクトされたらしばらく立ち直れないと思う)。
今回査読者に現場の観測がほとんどないことを痛烈に批判されてしまい、査読が難航している。以前実際に研究対象地に行って海水を採水し、炭酸系を測りたいと思っていたのだが、毒物添加や身近に測定機器がないことから断念したのであった。今思うとお金が余ってた学振PD時代にやっておくべきだった。後悔先に立たず。教科書を無駄に買いすぎた(引越しの時面倒、でも捨てられない)。

高知は本当に娯楽がないので、また釣りを再開した。今回は先輩にリールも譲っていただき、イカを狙う。ちょうど今はアオリイカの旬の時期。頑張りたい。
イカは浸透圧調整があまりうまくなく、低塩分の水を嫌うという話がある。釣り場で塩分をモニタリングすれば良い釣果にも繋がるかもしれない。
釣り場の海底環境も海底地形や水中写真の観察などを通して、ちょっとサイエンティフィックに攻めたい。
最近キスもぼつぼつ釣れているけど、まだ水温が低いみたいで、それほど浅場には上がって来ていない。水温もモニタリングすれば面白いかもしれない。

田舎にいると研究者はもれなく変なことに凝り出すらしい。
大槌に駐在する学生は燻製作りにはまっていた。

2017年3月31日金曜日

名古屋から高知へ(柏から世界へ?)

一年というのはあっという間に過ぎるもので、今日が名古屋大に所属する最後の日に。
あとで職員証と健康保険証を事務に返却しに行かなければならんね。

去年のこの時期、JOIDESからケープタウンで下船して、帰国後すぐに名古屋大学・宇宙地球環境研究所・年代測定研究部の機関研究員として着任した。
この機関研究員というポジションは、私が当初想像していた以上に自由で、それは本当に自由で、自分のやりたい研究だけに集中することができた。
はじめ着任したときには、てっきり全国共同利用関係の仕事の手伝いに駆り出されるのでは、と警戒していたが、幸か不幸か放射性炭素年代測定に使用する加速器が不調といったこともあり、仕事は全くといっていいほど降ってこなかった。

先輩からは

「自由だけど、任期が来たら去るのみだし、得るものは少ない。一刻も早く次のしっかりしたポジションを探さなければならない。」

と注意されていたけど、私としては自分の目指す研究をかなり進めることができた(次年度の準備ができた)という点で非常に実りある一年だったと思う。
出張も自由にでき、一年間の合計で20回近くにのぼった(柏・大槌・高知・金沢・鹿児島・大阪・テキサスほか)。
今年度は自由に使える研究費が130万円ほどあったので、自分の実験機器・消耗品類も購入でき、それなりに金銭的にも恵まれた一年だった。

主にやっていた実験としては、

  • 岩手県船越湾のビノスガイ・海水の放射性炭素年代測定用のグラファイト精製(今年5月についに測定予定!)
  • 赤道太平洋・インド洋の海底堆積物中の浮遊性・底生有孔虫の拾い出し

の2つ。
実験の合間にさらに実験と、まさに実験に明け暮れる生活を送っていた(そして実験の合間に出張)。

名古屋大の加速器の不調は想定外だったけど、他にやることが多くあったのは不幸中の幸いといったところか。
やはり複数のプロジェクトを同時に進めることがリスクマネジメントにもなる。

来年度からいよいよJAMSTEC高知コアセンターにおいて有孔虫のホウ素同位体測定をスタートするので、また実験に終われる日々が待っている。夏までに最初のデータを得るべく準備を進めるけど、初めて行う測定なので、果たして予想通り全てうまくいくかは不確かだ。
8月開催のGoldschmit2017で最初のデータを報告したいので、それに合わせて実験を進めたいと考えている(当面は公募書類・研究助成応募書類・学会発表資料の作成に追われそうだけど)。

IODPの試料が手に入ったのも昨年末と非常に遅く、いままさに拾い出しを進めているところだけど、名古屋大でこうして時間ができたことがかえって自分の研究計画を進める上でプラスに働いたかもしれない。
学振PDも3度目の正直でようやく通ったけど、逆に去年通っていても実は測定準備までで最初の一年をフイにしていたかもしれないと思うからだ。

ただし、学振PDは海外にも行く機会の得られる、何にも束縛されることのない重要な三年間である一方、それよりも待遇の良いポジションは存在する(自由度は減じることもあるけど)。
例えば、学振PDは福利厚生が皆無なので(赴任旅費なし、厚生年金なし、健康保険なし、通勤手当なし、住居手当なし)、意外と実質の手取りは少なくなるし、任期が来たら即クビだ。
一方の国立研究開発法人や国立大学のポジションは数年の任期付きであってもこれらの福利厚生が付くことが多いし(加えて給与もだいたい学振PDより高い)、場合によってはその後任期の定めのない定年制のポジションへの審査資格が得られる。
なので三年間を使い切る前に、次のより安定したポジションに就くべく、公募にも積極的に応募して行かなければならない。
さっそく5月中旬締め切りの公募書類を準備しなければならないけど、すべて英語で用意しなければならないので、それなりに時間がかかりそうだ(先輩曰く、英文校閲もかけたほうが無難とのこと…)。

海外の研究機関に行くにしても、国立大学のテニュア助教になってから、海外学振を利用して行く、という選択肢もあり得る。
いまどこの大学にどうやって・いつ行くかを模索しているところだけど、まずは国内でしっかりとしたデータを出してから、と自分に言い聞かせている(理想はLDEO)。

早ければ半年で高知を去ることになるかもしれないし、あるいは三年間みっちり高知で過ごすかもしれないし、途中で海外に飛び出しているかもしれない。
まだまだ不確かな未来だけど、心身ともに健康にだけは気をつけて、念願だった実験に明け暮れたい。

来週には科研費の結果もわかるので、今後三年間の研究費についても計画がある程度立つかな?(学振PDやめたら無くなる研究費も)

2017年3月30日木曜日

気になった一文集(English ver. No. 30)

Trump may have breathed life into the project, but its future remains uncertain. The drop in global oil prices has reduced the short-term profitability of the tar sands, and the long term is even murkier, given the global trend towards low-carbon energy.
トランプは(パイプライン敷設)計画に生命を吹き込むかもしれないが、その未来は不透明なままである。低炭素エネルギーに向けた世界的な動きの中で、世界的な石油価格の低下はタールサンドの短期的な利益率を減じているし、長期的な利益率となるとさらに暗雲が立ち込めている。

Renewable energies such as solar and wind are on the rise in the United States and abroad, and are now attracting more investment than fossil fuels. Coal’s US decline is likely to continue regardless of Trump’s promises, because the fuel is losing out to cheap natural gas, falling prices for renewables, and air-quality regulations that would be exceedingly hard to dismantle.
太陽光や風力といった再生かのエネルギーはアメリカ国内外で成長しつつあり、いまや化石燃料よりも多くの投資を引きつけている。石炭はより安価な天然ガスに負けており、再生可能エネルギーはより安価になりつつあり、廃止するのが極めて難しい空気の質に関する規制が存在するために、アメリカ国内で石炭使用が減少することはトランプ大統領の約束とは関係なしに続く見込みが高い。

The irony is that the United States was the lead proponent of the Paris framework, which is essentially a collection of voluntary pledges. As a result, it could be hard for the Trump administration to push its agenda onto other countries.
皮肉なことに、パリの気候枠組みを率いた提案国の一つがアメリカであり、パリ合意は根本的には自主的な約束の集まりにすぎない。結果として、トランプ政権がその政策を他国に押し付けることは叶わないだろう。


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Later this year, the world's largest conservation area of any kind will come into force, protecting 1.55 million square kilometres of the Ross Sea in Antarctica. This means that nine of the ten largest protected areas on Earth will be marine. Still, the combined coverage of designated and implemented MPAs currently accounts for just 4% of total ocean area, compared with 15% on land.

They should take note of Gill and colleagues' study, because it provides a timely warning that rapid expansion of protected areas by itself will not provide desired outcomes if there are large shortfalls in our capacity to manage, monitor and finance those areas.

There is certainly no easy recipe for success, but global meta-analyses such as that of Gill et al. and others will help us to further constrain what is needed to heal the ocean, and to provide long-term benefits to people.

How to heal an oceanNature 543, 630–631 (30 March 2017)

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An explosion of ocean observations from the Argo float network, for example, solidified understanding that it is the heat content of the entire system, not just air temperature, that matters to measurements of global change.
例えばアルゴフロート・ネットワークによる海洋観測は、単に気温ではなく、全体のシステムの熱容量が全球的な変化の観測において意味があるという理解をより強固なものにした。

Increased scrutiny of climate-change models should be welcomedNature 545, 6 (04 May 2017) “Nature Editorial”

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2017年2月22日水曜日

有孔虫を拾うということ

最近実験といえば、海底堆積物中の有孔虫をひたすら拾っている。
はじめ湿った状態で得た堆積物を流水とともに63μmメッシュのふるいでふるい、それ以上の粒径について約100μmずつさらに細かく分け、拾い出している。

私が浮遊性・底生有孔虫を拾っている理由の一つは、その殻の放射性炭素を測定するため。
海水の溶存炭素から殻を作るため、海水の放射性炭素の指標になる(すなわち過去の海水の古さが推定できる)。
➡︎拙ブログ記事「浮遊性・底生有孔虫の殻の放射性炭素から深層水の年代を見積もる




これまでどちらかというと大型の生物の硬骨格を扱うことが多かったので、小さな有孔虫がこんなにも多種多様で複雑な殻を作っていることに驚かされている。
こちらのサイトは様々な浮遊性・底生有孔虫の写真を掲載しており、眺めているだけで楽しい。

浮遊性有孔虫については、真上からの観察では種を見分けることが難しく、少し角度を変えて観察することが大事だということが分かった。
多かれ少なかれ種ごとにサイズ感が異なるので、はじめにサイズを細かく分けておく(ふるいでふるう)ことが大事だということも分かった。
まだ細かく種を分類することはできてないが、自分が研究で使う
G. ruber(s.s./s.l.の亜種含む) / G. sacculifer(final chamber有/無) O. universaくらいは完璧に見分けることができるようになった。

こうした分類に加え、時代ごとに絶滅・出現する種を特定して堆積物の年代を明らかにするMicropaleontologistはすごい。
顕微鏡をのぞいてばかりいるとやはり目や肩や腰が疲れる。乗船中に、この作業を揺れる船上でやると思うと…。

底生有孔虫はこれまで小さいものとばかり思い込んでいたが、案外大型のもの(>250μm)が多い。
ただ、浮遊性有孔虫以上に多種多様で、なかなか種名を特定することが難しい。ネットで探してもSEMの写真はあるけど、実体顕微鏡でどのように見えるかが分かる写真は少ないので、種名は決めずに放っておくことが多い。
底生有孔虫には堆積物深くに潜る種が存在する。そうした種は、底層水というよりは間隙水から溶存炭素を獲得しているし、そもそも堆積物中の年代軸があいまいになってしまう(より古い堆積物の中に生息し、そこで死ぬため)。
特に堆積速度が小さい堆積物では、より年代軸のずれが大きくなってしまう。
そのため、私が今回ターゲットとするのは極力潜らない種(表在種・内表在種)ということになる。

はっきりと、これは底生有孔虫だとはっきり特定できるもののうち、文献等見ても海底環境の復元に使って大丈夫だろうと思って拾っている種は以下の通り。
Uvigerina CibicidoidesMelonisGyroidinaOrdorsalisCassidulinaHoeglundina
文献では最初の2種が使われる場合が多い(私の使っている堆積物では残念ながら不十分な密度しかいない)。

素人丸出しだが、底生有孔虫の殻はほとんどすべて炭酸塩でできていると思い込んでいたのだが、実際には磁器質(porcelaneous)・膠着質(aggregated)のものが結構いる。

私が観察している堆積物のうち、よく見られるの磁器質有孔虫が以下のPyrgo。つるっとしていて真っ白なのですぐに見分けがつく。

http://www.foraminifera.eu/genus.php?no=1001578&aktion=suche


ついでよく見られる膠着質有孔虫が以下のSigmoilopsis。こちらは表面がざらざらとしており、くすんだ色をしている。膠着質有孔虫の中には他の有孔虫の殻や砂つぶを身にまとっているものもいて興味深い(というか怖い)。

http://www.foraminifera.eu/genus.php?no=1001802&aktion=suche


最終的に専門家にチェックしてもらった方が安全だと思っている。万が一浮遊性種を拾っていた場合、放射性炭素がより多い表層海水の値にバイアスがかかってしまう。
写真もしっかり残しておき、あとで変なデータが出た時に備えておいた方が無難だろう。

放射性炭素年代測定に必要な炭酸塩の量は約10 mg。CaCO3のなかで炭素は約10分の1でしかないので、案外大量の試料が必要だ。浮遊性有孔虫だと1試料あたり約150個体ほど必要。
残念ながら底生有孔虫は10mgも拾い出せないので、1mg程度で測定が可能な微量測定法で測定するつもりでいる。

堆積物を6cm刻みでそれぞれ30cc採取しており、過去30万年間をターゲットとした古海洋研究に必要な試料は24試料。
底生有孔虫の拾い出しはすべて終わり、いまは浮遊性有孔虫の拾い出しを進めている(今週にも終わりそう)。
いったんデータを取ってみて、解像度が足りないと判断したらモラトリアム期間後に追加サンプリングを行うかもしれない。
ただし、低層の酸素濃度が高く、生物擾乱(バイオターベーション)を多く被った堆積物なので、解像度を上げるにも限界があるだろう。

専門家に最終チェックを行ってもらい、放射性炭素の分析を始めるのは次年度以降。
とりあえず次は別の堆積物コアをふるう作業をはじめたい。3月に終えるのが理想だけど、水は冷たいし、果たして。。

2017年2月9日木曜日

面白い誤変換(No. 1)

× 起床研究所(睡眠研究所はありますが)
○ 気象研究所

× 包茎さんガラス(どんなガラスだ。大事に包まれてるのか)
○ ホウ珪酸ガラス

× 粘性挑戦(どんな挑戦?)
○ 年成長線

× 竜計(想像上の生き物らしい)
○ 粒径

× 除去雨
○ 助教

× 感激水(涙のことかな)
○ 間隙水

× 男体部(下ネタか)
○ 軟体部

× 妖怪実験(とりあえずジバニャン溶かしてみる?)
○ 溶解実験

× 変装書類(変態の香りがするなー)
○ 返送書類

× 痛く測定(痛いのは好きですか?)
○ 委託測定

× 酵母書類(書類を醸せー)
○ 公募書類

× 退席学者(あ、学者の方のお帰りはこちらです)
○ 堆積学者

× てぇ(間違って「かな」で打つとこんなことになるとは)
○  The

× 東北酔拳(酔いどれ)
○ 東北水研

2017年1月20日金曜日

最終間氷期の全球平均水温のコンパイル(Hoffman et al., 2017, Science)

Regional and global sea-surface temperatures during the last interglaciation
Jeremy S. Hoffman, Peter U. Clark, Andrew C. Parnell, Feng He
Science 355, 276–279 (20 Jan 2017)
より。

最近、論文概説が形骸化していたので、急ぎまとめる次第。

海底堆積物コアの復元水温記録のコンパイルから、地域ごと(低緯度・低緯度以外、など)の温度を誤差を含めて評価し、現在と対比。