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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2014年6月22日日曜日

論文が受理されるまで

遅ればせながら先日、ようやく1本目となる学術論文が受理され、公表されました。

データ取得から受理までに要した時間は実に2年半

「とにかく時間がかかった」という苦労話を周囲の研究者には伝えますが、だいたい返って来る答えは「そんなものだよ」

たった1本論文を仕上げるのにこんなに多くの時間を消費し、労力を割く必要があるのであれば、論文をなかなか書かない研究者がいるのも決して理解できなくはないかな。でも、論文を書くのは科学者としての責務なので、決して避けてはいけません。

後輩の参考になるかどうかはよく分かりませんが、今回は、「論文を仕上げるには実に長い時間がかかる」という点について綴っておきたいと思います。

2014年6月18日水曜日

北太平洋亜熱帯域のCO2吸収量の時系列変化(杉本&平石, 2009, 2010, 測候時報)

太平洋における大気-海洋間の二酸化炭素フラックス推定手法の開発
杉本 裕之, 平石 直孝
測候時報 77, S159-S187 (2010).


北太平洋亜熱帯域における大気-海洋間の二酸化炭素フラックス推定手法の開発
杉本 裕之, 平石 直孝
測候時報 76, S171-S187 (2009).


より。これまでの海洋表層水CO2分圧(pCO2)の測定記録から、大気-海洋間のCO2の交換量を推定したもの。
ちなみに、杉本&平石(2009, 2010)の解析データは気象庁のホームページの交換量推定のもとにもなっている。

ほとんどの海洋はCO2に関する”吸収源”であるが、それが原因で海洋酸性化が進行している。
例外的に放出源として振る舞っている海域は高緯度域と赤道湧昇域などに存在する。

今回は、自分自身の研究対象であり、ただいま絶賛勉強中である、北太平洋の亜熱帯域(特に小笠原周辺海域)に着目してまとめてみたい。

これまでに書いた海のCO2吸収に関連する記事は以下のものなど。

2014年6月11日水曜日

興味深い英語表現(No. 2)

terra firma
(水・空中に対し,安全な)大地、陸地

Ring of Fire
環太平洋造山帯
直訳だと火の輪っか。

landfalling
(台風などの)上陸
地滑りかと思いきや。陸に雨が降るということからでしょうか。

top banana
重要人物
[3 人で演ずる笑劇でうまい警句を言った役者にバナナが与えられる慣習から]

discard
捨てる・処分する(トランプの手札を切る)
見るからにトランプゲームからできた造語ですよね。

blogosphere
ブログ圏
ブロゴスフィアという言葉は初めて知りました。

in the small hours of
深夜に
小さな数字ということで1時・2時を指すということですね。

all-time high/low
最高/最低記録

Pipe dream
(麻薬で引き起こされるような)夢想、不可能な夢[希望、計画]

by and large
全般的に、大体


order of the day
風潮、流行、最大関心事

be glued to
〜に釘付け

the here and now
現在、現時点

in hingdsight
今思えば


forewarned is forearmed
備えあれば患なし
直訳すると…「前もって警戒することは前もって装備することだ」ですかね。

heavy sea
大波

blood vial
採血管
実験でたまに使います。

go out of one's way to ~
わざわざ(無理して)〜する
我が道を逸れる、的なニュアンス

better late than never
遅くともないよりはまし
論文の執筆・投稿に時間がかかったことを海外の共著者に詫びたら返ってきた文言w

drink like a fish
浴びるように酒を飲む
言い得て妙なり。ちなみに海水魚はガブガブと海水を飲むことで体内の塩分調整を行っています。

station
[動詞] 配置(持ち場)に付く

mantle
[名詞] ものの表面を覆うもの
i.e. a mantle of snow: 雪で覆われる
地殻の下にあるマントルとはまた違う表現

rain cats and dogs
土砂降りの雨が降る

2014年6月9日月曜日

新着論文(EPSL, GCA, MG, CG, PALAEO3, QSR)

Earth and Planetary Science Letters
Labrador current variability over the last 2000 years
M.-A. Sicre , K. Weckström , M.-S. Seidenkrantz , A. Kuijpers , M. Benetti , G. Masse , U. Ezat , S. Schmidt , I. Bouloubassi , J. Olsen , M. Khodri , J. Mignot
北西大西洋から得られた堆積物コアのアルケノンから過去2,000年間のSSTを復元。ラブラドル海流と北半球環状モード(Northern Annular Mode, NAM)との間の強い関係性が認められた。

Geochimica et Cosmochimica Acta
Temperature limits for preservation of primary calcite clumped isotope paleotemperatures
Gregory A. Henkes , Benjamin H. Passey , Ethan L. Grossman , Brock J. Shenton , Alberto Pérez-Huerta , Thomas E. Yancey
化石の腕足類のカルサイト殻中の結晶のC-Oの再配列(reordering)によってclumped isotope絶対温度計が変質していることが報告されている。室内実験において腕足動物の殻を異なる温度で加熱することからも確認されたが、それによって得られたアレニウスの予測式(Arrhenius parameter)を用いて、古生代の地層に埋没した腕足動物殻が経験した熱史を復元することができた。100℃以下、106-8以下の時間スケールであればほとんど問題ないらしい。

Marine Geology
Deposition of sediments of diverse sizes by the 2011 Tohoku-oki tsunami at Miyako City, Japan
Masaki Yamada , Shigehiro Fujino , Kazuhisa Goto
2011年3月の東北沖地震の際に高さ28.1mの津波が押し寄せた宮古市の津波堆積物の分布について。

Sedimentation patterns off the Zambezi River over the last 20,000 years
Jeroen.J.L. van der Lubbe , Rik Tjallingii , Maarten A. Prins , Geert-Jan A. Brummer , Simon J.A. Jung , Dick Kroon , Ralph R. Schneider
東アフリカのZambezi川の河口域で得られた堆積物コアから過去20kaの環境変動を復元。岩相のもっとも大きな変化は最終退氷期の大陸棚の浸水の際に起きていた。HS1とYDに堆積物がより細粒化し、ITCZの南下に伴うアフリカの降水バンドの南下が原因と思われる。

Chemical Geology
Methane sources and sinks in the subtropical South Pacific along 17°S as traced by stable isotope ratios
Chisato Yoshikawa , Elena Hayashi , Keita Yamada , Osamu Yoshida , Sakae Toyoda , Naohiro Yoshida
南太平洋の17ºS線に沿って大気と海洋のメタン濃度と炭素・水素同位体を測定。東ほど(ペルー寄り)濃度と海から大気へのメタン・フラックスが高く、海洋表層の生物生産(クロロフィルa濃度)と関係があることが示唆。

Records of trace metals in sediments from the Oregon shelf and slope: Investigating the occurrence of hypoxia over the past several thousand years
Andrea M. Erhardt , Clare E. Reimers , David Kadko , Adina Paytan
北米大陸の東海岸に位置するオレゴン沖においては最近の10年間に貧酸素・無酸素状態が確認されている。沖から得られた堆積物コアから過去数千年間の亜表層・深層水の酸素濃度を復元したところ、大きく変動していたことが分かったが、PDOなどの気候変動との対応は認められなかった。近年Mo濃度が上昇、δ13C・TOCが上昇、C/N比が低下していることの原因としては表層一次生産の強化が挙げられる。過去に100-1,000年間酸素・無酸素状態が続いたことはないため、近年のものは人為起源である可能性が高い。

Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology
The role of North Brazil Current transport in the paleoclimate of the Brazilian Nordeste margin and paleoceanography of the western tropical Atlantic during the late Quaternary
Trevor E. Nace , Paul A. Baker , Gary S. Dwyer , Cleverson G. Silva , Catherine A. Rigsby , Stephen J. Burns , Liviu Giosan , Bette Otto-Bliesner , Zhengyu Liu , Jiang Zhu
西赤道大西洋のブラジル沖から採取された堆積物コアのXRF・Mg/Ca・δ18O分析などから、過去110kaの環境変動を復元。ハインリッヒイベントに伴い温度が上昇・降水および陸上風化が増加するという、これまでの知見と整合的な結果が得られ、モデル(SYNTRACE-CCSM3)からも再現された。

Quaternary Science Reviews
Abrupt variations of Indian and East Asian summer monsoons during the last deglacial stadial and interstadial
Bing Hong , Yetang Hong , Masao Uchida , Yasuyuki Shibata , Cheng Cai , Haijun Peng , Yongxuan Zhu , Yu Wang , Linggui Yuan
中国南東部で得られた泥炭堆積物のδ13Cを用いて過去15kaのモンスーン変動を議論。

East Antarctic deglaciation and the link to global cooling during the Quaternary: evidence from glacial geomorphology and 10Be surface exposure dating of the Sør Rondane Mountains, Dronning Maud Land
Yusuke Suganuma , Hideki Miura , Albert Zondervan , Jun'ichi Okuno
東南極氷床のDronning Maud Landにおける10Be表面照射年代測定の結果とGIAモデルから、氷床の融解史を推定。更新世を通して東南極氷床が少なくとも500m厚くなったことが示唆。また最終退氷期には14ka以降に氷表面の高度が50m低下したことが示唆(従ってMWP-1aへの寄与は考えにくい)。

Variations in water level for Lake Turkana in the past 8500 years near Mt. Porr, Kenya and the transition from the African Humid Period to Holocene aridity
Steven L. Forman , David K. Wright , Christopher Bloszies
完新世のアフリカ湿潤期においてはケニアのトゥルカナ湖(Lake Turkana)の水位が今よりも80m高く、特に8.5-4.5kaには数百年の間に50m以上の規模で変動していたことが知られている。インド洋・大西洋の海洋表層水温上昇とモンスーンの強化が水位上昇とよく一致していることが示唆。

Quaternary Geochronology
Testing the precision and accuracy of the U-Th chronometer for dating coral mortality events in the last 100 years
Tara R. Clark , George Roff , Jian-xin Zhao , Yue-xing Feng , Terence J. Done , John M. Pandolfi
グレートバリアリーフの岸に近い部分で得られた過去に死んだミドリイシサンゴをU/Th法で年代決定。骨格に入っていないThの除去法や補正法の開発を行った。(ほぼすべてのサンゴが死に絶えた)1997/98年の大規模白化イベントにおいて死んだミドリイシサンゴの測定から、正確に年代決定が行えることが実証された。

2014年6月3日火曜日

なぜ海洋島のサンゴ礁は姿を変えるのか?(Blanchon et al., 2014, SR)

Postglacial Fringing-Reef to Barrier-Reef conversion on Tahiti links Darwin’s reef types
Paul Blanchon, Marian Granados-Corea, Elizabeth Abbey, Juan C. Braga, Colin Braithwaite, David M. Kennedy, Tom Spencer, Jody M. Webster & Colin D. Woodroffe
Scientific Reports 4, doi:10.1038/srep04997 (2014).
より。

何故、南太平洋の広大な海に、サンゴの島が突如現れるのか?
そしてそれはいかにしてできたのか?

ナショナルジオグラフィックより


1835年にダーウィンがビーグル号でタヒチを訪れた際に抱いた疑問。

1842年には原因は火山島の回りに発達したサンゴ礁が、地殻変動により火山が沈降し海の上に取り残されたという、沈降説が提唱され、その後登場したプレートテクトニクスの概念と併せてさらに洗練され、現在でも広く受け入れられている。