Main contents


☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2014年1月26日日曜日

新着論文(Science#6169)

Science
VOL 343, ISSUE 6169, PAGES 345-452 (24 JANUARY 2014)

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Special Issue "Martian Habitability"
特集 "火星の生命存在可能性"

INTRODUCTION
Habitability, Taphonomy, and the Search for Organic Carbon on Mars
火星の生命存在可能性、化石化、そして有機炭素の探査
John P. Grotzinger

Research Articles
A Habitable Fluvio-Lacustrine Environment at Yellowknife Bay, Gale Crater, Mars
火星のGaleクレーターのイエローナイフ湾における生命が棲める河川・湖環境
J. P. Grotzinger et al.

Mineralogy of a Mudstone at Yellowknife Bay, Gale Crater, Mars
火星のGaleクレーターのイエローナイフ湾の泥岩の鉱物学
D. T. Vaniman et al.

Elemental Geochemistry of Sedimentary Rocks at Yellowknife Bay, Gale Crater, Mars
火星のGaleクレーターのイエローナイフ湾の堆積岩の元素地球化学
S. M. McLennan et al.

Mars’ Surface Radiation Environment Measured with the Mars Science Laboratory’s Curiosity Rover
Mars Science Laboratoryによるキュリオシティー地上探査機によって測定された火星表面の放射環境
Donald M. Hassler et al.

Volatile and Organic Compositions of Sedimentary Rocks in Yellowknife Bay, Gale Crater, Mars
火星のGaleクレーターのイエローナイフ湾の堆積岩の揮発性・有機物質の組成
D. W. Ming et al.

In Situ Radiometric and Exposure Age Dating of the Martian Surface
火星の地表の現場での放射年代・表面露出年代決定
K. A. Farley et al.

Ancient Aqueous Environments at Endeavour Crater, Mars
火星のEndeavourクレーターの古代の水環境
R. E. Arvidson et al.

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Editors' Choice
More Than We Thought
我々が考えていた以上に
J. Quat. Sci. 29, 91 (2014).
地球温暖化によって極域の氷床が融解することで海水準が上昇することが懸念されている。南極氷床には海水準を60m上昇させるだけの氷が存在するが、これまで温暖化で融解するのはそのうちの1割を占める西南極だけだと考えられてきた。
 現在よりも気温が2℃高く、現在よりも海水準が6.6-9.4 m高かった、1つ前の間氷期(MIS5e; 135-116 ka)を対象にした大気-海洋-氷床モデルのシミュレーションから、偏西風の変化と亜寒帯循環の変化を介して南極周辺がより温暖化し、これまで考えられてきたよりも東南極氷床が融解していた可能性が示唆。
>話題の論文
Testing the sensitivity of the East Antarctic Ice Sheet to Southern Ocean dynamics: past changes and future implications <OPEN>
Christopher J. Fogwill, Christian S. M. Turney, Katrin J. Meissner, Nicholas R. Golledge, Paul Spence, Jason L. Roberts, Mathew H. England, Richard T. Jones And Lionel Carter

Count Consumers
消費者を数える
Ecol. Lett. 10.1111/ele.12233 (2013).
熱帯雨林生態系において無脊椎草食動物は生物地球化学的に重要な役割を負っている。ペルーの森林内の300 × 3,000 m四方について評価がなされ、栄養の循環にどれほど影響しているかが評価された。かなりの量の窒素とリンを土壌へと運んでいるらしい。気候変化に伴う森林炭素循環などの正確な予測にはこうした複雑なプロセスも取り入れる必要がある。

News of the Week
Planned Mine Would Put Salmon at Risk
計画されている鉱山は鮭を危機にさらすだろう
アラスカのBristol湾の沿岸湿地帯で計画されている金と銅鉱山の開発は世界最大のベニザケ産業を危機にさらす可能性が指摘されている。

European Comet-Chaser Emerges From Hibernation
ヨーロッパの隕石追跡者が冬眠から覚める
ESAのRosettaが957日間の眠りから覚め、いよいよ67P/Churyumov– Gerasimenko隕石を追跡し始めた。
>より詳細な記事(ScienceInsider)
Rosetta Awakes and Prepares to Chase Comet

‘Nobel of the Geosciences’ Goes to Mountain Man
'地球科学のノーベル賞'は山男に
スウェーデンの王立科学アカデミーは地球科学のノーベル賞とも言われる、クラフォード賞(約6,000万円の賞金)を70歳のPeter Molnarに与えた。ヒマラヤ地域のテクトニクス・山脈形成・気候への影響などの研究で知られる。

News Focus
Selling America's Fossil Record
アメリカの化石記録を売る
Heather Pringle
アメリカ国内の化石産業が成長しつつあることを受けて、古生物学者はアメリカの化石やそのデータが使い尽くされるのではないかと懸念している。

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Research
Perspectives
Climate Effects of Aerosol-Cloud Interactions
エアロゾル-雲の相互作用の気候影響
Daniel Rosenfeld, Steven Sherwood, Robert Wood, and Leo Donner
人工衛星による観測とモデルの発展を通して、「エアロゾルと雲の複雑な相互作用」と「その気候への影響」を紐解く必要がある。

Review
A Paleogenomic Perspective on Evolution and Gene Function: New Insights from Ancient DNA
進化と遺伝子機能に関する古遺伝学的観点:古代のDNAから得られる新たな知見
B. Shapiro and M. Hofreiter
ここ数年の技術の進歩によって、70万年前までの古代のゲノム情報が復元できるようになり、古DNA研究が再度活性化しつつある。しかしながらコストやゲノム情報の質など、障壁も多い。

Reports
Strong Ground Motion Prediction Using Virtual Earthquakes
バーチャル地震を用いた強い地面の動きの予測
M. A. Denolle, E. M. Dunham, G. A. Prieto, and G. C. Beroza
周辺の地震波ノイズ(ambient seismic noise)を用いることで将来の巨大地震に伴う地面の動きを予測する手助けとなるかもしれない。

Increased Dust Deposition in the Pacific Southern Ocean During Glacial Periods
氷期に南大洋の太平洋セクターで増加したダストの堆積量
F. Lamy, R. Gersonde, G. Winckler, O. Esper, A. Jaeschke, G. Kuhn, J. Ullermann, A. Martinez-Garcia, F. Lambert, and R. Kilian
 氷期-間氷期サイクルにおける全球の気候変動には南大洋のダストの沈積量が大きな役割を負っていたと考えられている(鉄による生物ポンプの刺激を通して大気-海洋でのCO2の分配が生じる)が、その時空間変動についてはまだ良く分かっていない。
 南大洋の太平洋セクターで得られた複数の堆積物コアからダストの量の変動を復元。氷期には間氷期の3倍ほどのダストが沈積していたと思われる。その主な供給源はオーストラリアとニュージーランドであると思われる。この結果は南極と南大洋の大西洋セクターから得られている結果とも整合的である(こちらはパタゴニアからのダスト供給が卓越)。

2014年1月25日土曜日

新着論文(Nature#7484)

Nature
Volume 505 Number 7484 pp453-580 (23 January 2014)

RESEARCH HIGHLIGHTS
Climate change spawns bigger waves
気候変化がより大きな波を生み出す
Geophys. Res. Lett. http://doi.org/q2c (2014)
将来の気候変化のモデルシミュレーション結果から風の変化を抽出した研究から、特に南半球で風が強化される結果、チリやBaja半島において10年に一度起きる高波の頻度が2〜3倍になることが示された。特に沿岸域では海水準上昇が高波の被害をさらに高めると予想されている。

Strong storms shift landwards
強い嵐が陸側にシフトする
Environ. Res. Lett. 9, 014008 (2014)
1977-2010年にかけて東アジア地域で得られた嵐の記録から、ここ数十年間の間に、嵐の活動がより陸側へとシフトしており、より強い嵐へと繋がっていることが分かった。ただし、北部(中国・韓国・日本)では強い嵐が有為に増加していることが分かったが、南部(ベトナム・台湾など)では有為な変化は確認されなかった。大気循環の変化によって西赤道太平洋の温暖化が嵐の発達する地域をより北西へと押し上げている可能性が指摘されている。

SEVEN DAYS
今回は省略

NEWS IN FOCUS
Polar drilling problems revealed
極の掘削の問題が明らかに
Quirin Schiermeier
南極の氷底湖Ellsworth湖を掘削する計画が直面する問題について。

Rock’s power to mop up carbon revisited
炭素を掃討する石の力が再検討された
Daniel Cressey
かんらん岩は風化を通して大気中のCO2を炭酸イオンに変換することが知られている。その化学反応を利用して気候変化を打ち消す目的で、大気中のCO2を減らす試み(地球工学)がなされている。しかしながら、まだ分からないことも多い。

Yellowstone grizzlies face losing protected status
イエローストーン・グリズリーが保護対象の地位を失いつつある
Lauren Morello
グリズリーが絶滅危惧種のリストから除外することを推奨するパネルに対して環境保護主義者たちが抗議している。

Sea drilling project launches
海洋掘削計画が始まる
Jane Qiu
国際深海掘削計画によって、世界の地質学的に重要な海の一つである南シナ海の謎が解き明かされようとしている。

COMMENT
Ecology: Protect the deep sea
生態系:深海を保護する
Edward B. Barbierらは商業によって脅かされている深海生態系を保護するためのガバナンスと基金の必要性を訴えている。

CORRESPONDENCE
Peer review: Payback time for referee refusal
Dan Graur

Land management: Resolving soil pollution in China
Ruishan Chen & Chao Ye

Land management: Weighing up reuse of Soviet croplands
Johannes Kamp

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RESEARCH
NEWS & VIEWS
Ecology: Good dirt with good friends
生態学:良い友人と良い土
Mark A. Bradford
Averill et al.の解説記事。
全球の森林を対象にしたデータの解析から、樹木の根に付く有益な真菌の種類によって、土壌中に蓄えられる炭素の量が決まることが明らかに。

Solar system: Evaporating asteroid
太陽系:小惑星を蒸発させる
Humberto Campins & Christine M. Comfort
Küppers et al.の解説記事。
セレスは水をふんだんに含むと考えられている。ハーシェル宇宙望遠鏡を用いた観測から、セレスの地表から水蒸気が漏れ出していることが分かった。

Climate science: A resolution of the Antarctic paradox
気候科学:南極のパラドクスの解決
John King
Li et al.の解説記事。
近年極域は極端で急速な環境変化を経験しているが、特に南極の冬期の海氷量がわずかに増加しつつあることが話題を呼んでいる。その原因が大西洋の熱帯域と北部地域の長期的な温暖化にある可能性が示唆された。

LETTERS
A millisecond pulsar in a stellar triple system
三重星系におけるミリ秒パルサー
S. M. Ransom et al.

Localized sources of water vapour on the dwarf planet (1) Ceres
準惑星(1)ケレス表面にある局在化した水蒸気発生源
Michael Küppers et al.
準惑星(1)ケレスの地表には含水鉱物が発見されており、この準惑星の内部はケイ酸塩のコアと氷のマントルに分化していると考えられている。ケレス周囲における水蒸気が初めて検出された。彗星と同様の「昇華」か、「氷火山」が原因かもしれない。
>Nature ハイライト
小惑星ケレス表面の水蒸気

Impacts of the north and tropical Atlantic Ocean on the Antarctic Peninsula and sea ice
北大西洋と赤道大西洋が南極半島と海氷に与える影響
Xichen Li, David M. Holland, Edwin P. Gerber & Changhyun Yoo
南極半島は世界で最も早い温暖化を経験している。その結果、南極周辺の海氷にも影響が生じているが、単に減少しているのではなく、その位置が再編されており、結果的にわずかに増加している。赤道太平洋の気候変動の影響は良く知られているが、大西洋の影響はこれまで評価されてこなかった。
 大西洋数十年規模振動(Atlantic Multidecadal Oscillation; AMO)の影響が海氷の分布の変化と南極半島の温暖化に寄与していることが観測とモデルから示された。
>Nature ハイライト
南極の気候に対する大西洋の影響

Mycorrhiza-mediated competition between plants and decomposers drives soil carbon storage
菌根が仲介する植物と分解者の間の競合が土壌炭素の保存を駆動する
Colin Averill, Benjamin L. Turner & Adrien C. Finzi
土壌中では、温度・降水・粘土量・一次生産量などよりも、菌根類生態系のタイプが炭素の保持力により強い影響を持っていることが明らかに。エリコイド型の方が、アーバスキュラー型に比べて単位窒素あたりの炭素量が70%多いことが示唆された。
>Nature ハイライト
土壌炭素量のカギを握る菌根菌

CORRIGENDUM
Corrigendum: Deglacial pulses of deep-ocean silicate into the subtropical North Atlantic Ocean
A. N. Meckler, D. M. Sigman, K. A. Gibson, R. François, A. Martínez-García, S. L. Jaccard, U. Röhl, L. C. Peterson, R. Tiedemann & G. H. Haug
堆積物コアの年代モデルに間違いがあった模様。結果には影響せず。

2014年1月20日月曜日

新着論文(Ncom, SR)

Nature Communications
8 January 2014
Anthropogenic radionuclides in atmospheric air over Switzerland during the last few decades
J. A. Corcho Alvarado, P. Steinmann, S. Estier, F. Bochud, M. Haldimann and P. Froidevaux
>Nature姉妹紙 ハイライト
核兵器実験に由来する放射性粒子が地表に近づく可能性

Submicron structures provide preferential spots for carbon and nitrogen sequestration in soils <OPEN>
Cordula Vogel, Carsten W. Mueller, Carmen Höschen, Franz Buegger, Katja Heister, Stefanie Schulz, Michael Schloter and Ingrid Kögel-Knabner

Persistent 400,000-year variability of Antarctic ice volume and the carbon cycle is revealed throughout the Plio-Pleistocene
B. de Boer, Lucas J. Lourens and Roderik S.W. van de Wal
3次元氷床モデルを用いて過去500万年間の南極氷床の挙動を復元したところ、(漸新世と中新世に確認されていた)堆積物コアのδ13Cから示唆されている離心率変動に伴う40万年周期が初めて更新世にも確認された。南極が過去3,500万年間の長期的な炭素循環を支配しており、150万年前にMPTが起きて以降、北半球氷床が支配する10万年周期が卓越する気候システムへと変化したことを示唆している。

15 January 2014
特になし

Scientific Reports
7 January 2014
特になし

14 January 2014
Artificial Weathering as a Function of CO2 Injection in Pahang Sandstone Malaysia: Investigation of Dissolution Rate in Surficial Condition
Madjid Jalilavi, Mansoor Zoveidavianpoor, Farshid Attarhamed, Radzuan Junin & Rahmat Mohsin
ケイ質鉱物に含まれるアルカリ元素・アルカリ土類元素をCO2と反応させ、炭酸塩とすることで大気へのCO2排出量を削減できることが期待されている。マレーシアのPahang砂岩に対して実験を行ったところ、確かに有為に反応が進行していることが示された。

500-year climate cycles stacking of recent centennial warming documented in an East Asian pollen record
Deke Xu, Houyuan Lu, Guoqiang Chu, Naiqin Wu, Caiming Shen, Can Wang & Limi Mao
北京の近くの火山でできたXiaolongwan湖(Marr)から採取された堆積物コアの花粉分析から、過去5.35kaの気温を復元したところ、およそ500年の変動周期が検出された。これはグリーンランド氷床の気温や太陽活動の変動周期とも一致することから、太陽の小さな強制力が気候に影響したものと思われる。将来は寒冷化のフェーズに入るため、人為的な気候の温暖化を打ち消す働きがある可能性がある。

Tsunami: Ocean dynamo generator
Hiroko Sugioka, Yozo Hamano, Kiyoshi Baba, Takafumi Kasaya, Noriko Tada & Daisuke Suetsugu
海水の流れは地磁気とは別の磁場を生じさせると考えられているが、検出が難しい。2010年チリ沖で生じた津波によって生じた磁場が太平洋中央部の海底に設置されていた装置によって捕らえられていた。現在津波の早期警報システムには海水準と海底の圧力変化が用いられているが、磁場変化もまた取り入れることでシステムが改善するかもしれない。

Long-term intensive management increased carbon occluded in phytolith (PhytOC) in bamboo forest soils
Zhang-ting Huang, Yong-fu Li, Pei-kun Jiang, Scott X. Chang, Zhao-liang Song, Juan Liu & Guo-mo Zhou

Meridional variability of atmospheric convection associated with the Indian Ocean Dipole Mode
Evan Weller & Wenju Cai

2014年1月17日金曜日

新着論文(Science#6168)

Science
VOL 343, ISSUE 6168, PAGES 221-344 (17 JANUARY 2014)

Editors' Choice
Domestication Duality
家畜化の二重性
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 110, 20888 (2013)
 世界の氷で覆われた地域を除く3分の1が畜産業に利用されており、3分の1の地表水がそれに利用され、環境汚染・気候温暖化・肥満の一因となっている。一方で畜産業によって数十億もの人が養われ、農業の40%を担っている。
 世界の28の地域を対象にした包括的な評価から、草原が大きな資源を提供していること、飼料効率(feed efficiency)が生産性や温室効果ガス排出に大きく影響すること、混合作物-畜産システムの構築の重要性などが示された。

Lead in the Blood
血の中の鉛
Environ. Sci. Technol. 10.1021/es4039825 (2013).
鉛は神経毒として健康に影響すると考えられている。1970年中頃から2000年代初頭にかけて鉛を含んだガソリンの使用が禁止されたおかげで、環境中の鉛の濃度は著しく低下した。
 アメリカにおける空気中の鉛とヒトの血液中の鉛の濃度の調査から、鉛の排出源が1999年以降変化したことにより、大気中の鉛の粒子サイズが細かいものから荒いものへと変化し、それがさらにヒトの血液中の鉛濃度の良い指標になることが示された。また子供の方が大人よりもより敏感であることも分かった。

News of the Week
※今回は省略

News & Analysis
Ammonia Pollution From Farming May Exact Hefty Health Costs
農業からのアンモニア汚染は多大なる健康のコストを代償にしているかもしれない
Erik Stokstad
アメリカの農産物の輸出額が上昇するにつれ、アンモニア汚染の関心も高まりつつある。

Star-Crossing Planets Literally Strut Their Stuff
Yudhijit Bhattacharjee
系外惑星の質量を求めるための新手法が結実しつつある。

Letters
Biodiversity: Broaden the Search
生物多様性:探査の範囲を広げる
Axel Hochkirch

Biodiversity: Ecuador Deters Protection Efforts
生物多様性:エクアドルは保全努力を制止する
Karina Vega-Villa

Targeting Deforestation
森林破壊を非難の的にする
Braulio Dias

Urban Forests on the Front Line
最前線の都市森林
C. A. Nock, O. Taugourdeau, T. Work, C. Messier, and D. Kneeshaw

Urban Forests on the Front Line—Response
最前線の都市森林に対する返答
I. L. Boyd, P. H. Freer-Smith, C. A. Gilligan, and H. C. J. Godfray

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Research
Perspectives
Smells Like Queen Since the Cretaceous
白亜紀以来の女王の匂い
Michel Chapuisat
Van Oystaeyen et al.の解説記事。
女王フェロモン(queen pheromones)は過去1億5千万年間に渡って、アリ・ハチ類の働きアリ・働きバチの繁殖を抑え、女王の多産性を見せつけるのに役立ってきたらしい。

Many Paths to the Origin of Life
生命の起源の多くの道
Jimmy Gollihar, Matthew Levy, and Andrew D. Ellington
最初の自己生成するシステムへと至る、生物が登場する以前の化学反応は大量にある。

Reports
Nonenzymatic Sugar Production from Biomass Using Biomass-Derived γ-Valerolactone
バイオマスから抽出されたγ-バレロラクトンを用いて酵素を使用せずにバイオマスから糖を作る
Jeremy S. Luterbacher, Jacqueline M. Rand, David Martin Alonso, Jeehoon Han, J. Tyler Youngquist, Christos T. Maravelias, Brian F. Pfleger, and James A. Dumesic
バイオマスから抽出されたγ-バレロラクトンが低コストでセルロースを分解してバイオ燃料を生成する手段になるかもしれない。

Temporal Constraints on Hydrate-Controlled Methane Seepage off Svalbard
ハイドレートによって制御されるスバルバード沖のメタン漏出に対する時間的制約
C. Berndt, T. Feseker, T. Treude, S. Krastel, V. Liebetrau, H. Niemann, V. J. Bertics, I. Dumke, K. Dünnbier, B. Ferré, C. Graves, F. Gross, K. Hissmann, V. Hühnerbach, S. Krause, K. Lieser, J. Schauer, and L. Steinle
 スバルバード周辺の海底でメタンハイドレートが発見されて以降、底層水の温暖化がハイドレートの不安定化とメタンの大気への放出による温暖化の加速に繋がる可能性に対する関心が高まっている。
 潜水艇を用いた調査から、同地域では少なくとも3,000年間、メタン放出が継続しており、底層水の1-2℃の季節変動によって、季節によってハイドレートの形成・融解が起きていることが分かった。

Conserved Class of Queen Pheromones Stops Social Insect Workers from Reproducing
保存された女王の品格が社会性昆虫の働き者の繁殖を止めさせる
Annette Van Oystaeyen, Ricardo Caliari Oliveira, Luke Holman, Jelle S. van Zweden, Carmen Romero, Cintia A. Oi, Patrizia d'Ettorre, Mohammadreza Khalesi, Johan Billen, Felix Wäckers, Jocelyn G. Millar, and Tom Wenseleers
社会を構成する昆虫の女王は、白亜紀からあるフェロモンを用いて働き昆虫の繁殖を妨げてきたらしい。

2014年1月16日木曜日

新着論文(Nature#7483)

Nature
Volume 505 Number 7483 pp261-448 (16 January 2014)

About the cover
鳥類のV字編隊飛行
>Natureハイライト
Cover Story: 飛行計画:編隊飛行する鳥では、翼の羽ばたきの位相を正確に調節することが空気力学的利益を最大にする

EDITORIALS
Cool heads needed
頭を冷やすことが必要
世界を大寒波が襲っているが、気象と気候の違いはあまりに簡単に忘れがちである。
[以下は抜粋]
On some level, most people understand the difference between climate and weather. Climate is the context: the accumulation of temperatures and precipitation trends that vary depending on location and season. Weather is what we experience, and extremes are part of the package. 
ある程度、大半の人は気候と気象の違いを理解している。気候は文脈であり、場所や季節によって異なる気温や降水の傾向の蓄積である。気象は我々が日々経験するものであり、異常気象はその中の一部である。

Despite such assessments, however, people continually confound weather and climate in the heat — or cold — of the moment. Confusion seems unavoidable.
しかしながら、そうした客観的評価にも関わらず、人はつかの間の暑さや寒さの中で気象と気候の違いを繰り返し混同している。混乱はある意味避けがたいものかもしれない。

At first blush, the global-warming ‘hiatus’ runs counter to the warming projected by climate models…Ultimately, the hiatus has provided an opportunity to better understand both the climate system and climate models. One lesson is that the climate, like day-to-day weather, has its ups and downs. Another is that the average global temperature — although a useful indicator — is not the only measure of how the climate changes.
一見、地球温暖化の’ハイエタス(一時中断)’は気候モデルが予測する温暖化に相反するように思われる。(中略)究極的には、ハイエタスはよりよく気候システムと気候モデルを理解する機会を与えてくれる。一つの教訓は気候は日々の気象と同じく、上り下がりするということ。もう一つの教訓は平均的な地球の温度だけが(とても便利な指標だけれど)気候変化の計り方の唯一の手段ではないということである。

V is for vortex
Vは渦のため
とある絶滅危惧種の鳥が、何故渡り鳥がVの形をしたお馴染みの隊列で渡りをするのかを学ぶ助けとなる。

RESEARCH HIGHLIGHTS
Starfish eyes see the light
ヒトデの目は光を見ている
Proc. R. Soc. B 281, 20133011 (2014)
>ナショナルジオグラフィック ニュース
ヒトデの目は見えていた!

Trilobites ventured beyond the ocean
三葉虫は海を超えて冒険した
Geology http://doi.org/qnq (2013)
5億4千万年前のカンブリア爆発のころの干潟の堆積物から、当時三葉虫が水面から出て干潟を這いずり回っていた可能性を示唆する証拠が得られた。この発見は陸上生物が淡水ではなく、海水に棲む生物から進化したという説を裏付けている。

Past warmth drives glacial melting
過去の温かさが氷河の融解を招く
Cryosphere 8, 59–71 (2014)
これからの温暖化の程度に関わらず、今後数十年間は世界の氷河の融解は続くことが氷河モデルから示唆された。つまり20世紀に起きた気候変化が遅れを持って氷河に影響するということである。筆者らは、氷河の厚さが薄くなったり、後退したりすることによって、将来の温暖化に対しては鈍感になる可能性があると示唆している。

Marine bacteria shed tiny sacs
海洋バクテリアは小さな嚢を落とす
Science 343, 183–186 (2014)
海洋で最も豊富にいる光合成バクテリアは海の中で毎日自らの身体の一部を海へと落としており、その量は塵も積もって全球の炭素循環に影響するほどになっていることがProchlorococcusの室内飼育実験と大西洋における野外採取から示唆された。1日あたり104トン以上と推定されている。
>関連した記事(Science#6167 “Perspectives”)
Bacterial Vesicles in the Ocean
海の中のバクテリアの小包
David Scanlan
Biller et al.の解説記事。
植物プランクトンが放出する小包が海洋の炭素循環・ウイルスの防御・遺伝子輸送において重要な役割を負っている可能性がある。
>話題の論文
Bacterial Vesicles in Marine Ecosystems
海洋生態系におけるバクテリア小包
Steven J. Biller, Florence Schubotz, Sara E. Roggensack, Anne W. Thompson, Roger E. Summons, and Sallie W. Chisholm
海に豊富に棲息するシアノバクテリア(Prochlorococcus)は海洋炭素循環にも寄与するほどの小包膜(membrane vesicles)を海水に放出している。

Sea-level swings get more extreme
海水準のスイングがより極端に
Geophys. Res. Lett. http://doi. org/qtd (2014)
おそらく夏がより暑く、冬がより寒くなっている(季節差が大きくなっている)ことが原因で、メキシコ湾沿岸部における海水準の季節的な上下動が1990年代以降大きくなっていることが1900年以降の海水準の観測から示された。
>話題の論文
Rapid changes in the seasonal sea level cycle along the US Gulf coast from the late 20th century
Thomas Wahl, Francisco M. Calafat, Mark E. Luther

Landslide triggered earthquakes
地滑りが地震を誘発する
GSA Today 24, 4–9 (2014)
大地震が地滑りを誘発することは頻繁に起きているが、2013年4月にアメリカの銅鉱山で生じた地滑りの後には、逆に小規模の地震(M2.5)が誘発されていたことが明らかに。

SEVEN DAYS
※今回は省略

NEWS IN FOCUS
Comet craft ready to wake
隕石の宇宙船が起きようとしている
>関連した記事(Science#6166 “A Look Ahead for 2014”)
Rosetta Springs to Action
ロゼッタが行動を開始
Elizabeth Gibney
ヨーロッパ宇宙局が2004年に打ち上げたロゼッタはチュリュモフ・ゲラシメンコ隕石(Churyumov–Gerasimenko)に向けて太陽系を飛行している。8月から観測がスタートし、2015年中頃にはPhilaeと名付けられた地上探査機を送り込む予定。隕石は太陽系形成初期の記録を残していると思われ、水や生命のもととなった物質などの探査が行われる。

Researchers question rescued polar expedition
救出された極域の航海に対して研究者らが疑問を抱いている
Alexandra Witze
先日南極で救出劇を招いた研究航海に対して、オーストラリアの南極部門は承認していないと言っている。

Kepler clue to supernova puzzle
超新星爆発のパズルにケプラー宇宙望遠鏡がヒントを与える
Ron Cowen

FEATURES
Climate change: The case of the missing heat
気候変化:失われた熱の事件
Jeff Tollefson
謎めいた’地球温暖化のハイエタス’が16年目に突入し、科学者らは説明を求めて証拠をまとめている。

Astrophysics: The heart of darkness
天体物理学:暗さの中心
すべての巨大銀河の中心に存在する超巨大ブラックホールは謎に満ちている。しかし、天文学者らはついにその姿を明らかにしようとしている。

COMMENT
Development: Time to leave GDP behind
発展:GDPを忘れる時が来た
「国内総生産(GDP)は国家の成功を計る間違った手段であり、それぞれの国家は新たな判断基準を受け入れるべく行動すべきである。」とRobert Costanzaらは主張する。

CORRESPONDENCE
Polar rescue: science was not well served
極域の救出:科学はあまり役に立っていなかった
Nick Gales

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RESEARCH
NEWS & VIEWS
Earth science: River incision revisited
地球科学:河川下刻を再考する
Roman A. DiBiase
Finnegan et al.の解説記事。
河川による基盤岩浸食のデータをまとめた研究から、結果が観測の時間スケールに依存しており、段丘などの下刻地形が気候とテクトニクスの変化を忠実に記録しているかどうかに疑問が投げかけられている。

Bird flight: Fly with a little flap from your friends
鳥の飛行:仲間の羽ばたきに助けられながら飛ぶ
Florian T. Muijres & Michael H. Dickinson
Portugal et al.の解説記事。
V字の隊列を作って飛ぶホオアカトキ(bald ibises)の飛行の空中での観察から、この鳥は仲間との相対的な位置調節と羽ばたき動作の同調によって、エネルギーを節約しているという仮説に一致する飛行の仕方をしていることが明らかになった。

Astrophysics: Black hole found orbiting a fast rotator
天体物理学:高速回転する星を周回するブラックホール
M. Virginia McSwain
Casares et al.の解説記事。

LETTERS
A Be-type star with a black-hole companion
ブラックホール伴星を持つBe型星
J. Casares, I. Negueruela, M. Ribó, I. Ribas, J. M. Paredes, A. Herrero & S. Simón-Díaz
>Natureハイライト
Be型星に見つかったブラックホール伴星

A signature of transience in bedrock river incision rates over timescales of 104–107 years
104–107 年の時間スケールでの基盤岩に対する河川の下刻速度の移ろいやすい特徴
Noah J. Finnegan, Rina Schumer & Seth Finnegan
これまで河川が基盤岩を下刻する速度は岩盤の隆起や浸食に対する気候フォーシングの強度を反映していると考えられてきた。しかしながら、14地点の155個の測定結果からは、下刻速度は測定間隔(measurement interval)に依存していることが示されている。
>Natureハイライト
河川下刻についての事実と仮定

Amazon River carbon dioxide outgassing fuelled by wetlands
湿地によって促進されるアマゾン川の二酸化炭素排出
Gwenaël Abril, Jean-Michel Martinez, L. Felipe Artigas, Patricia Moreira-Turcq, Marc F. Benedetti, Luciana Vidal, Tarik Meziane, Jung-Hyun Kim, Marcelo C. Bernardes, Nicolas Savoye, Jonathan Deborde, Edivaldo Lima Souza, Patrick Albéric, Marcelo F. Landim de Souza & Fabio Roland
 河川から放出される二酸化炭素の量は従来考えられてきたよりも多く、陸域の生態系が固定する炭素量に匹敵する可能性が示唆されている。世界の浸水地の4分の3は一時的な湿地からなるが、そのCO2排出全体に占める寄与はよく分かっていない。
 アマゾン川における観測から、中部の氾濫原では、湿地が大量のCO2を河川水へ’供給’し、その炭素が大気へと移るまでに数10-100km輸送される可能性があることが示唆。この結果は陸水からのCO2放出のかなりの部分を一時的な氾濫源が担っている可能性を示しており、全球の炭素収支を考える上で、一時的な浸水域や植生のある浸水域をより考慮すべきことを示している。
>Natureハイライト
アマゾン湿地帯は気体二酸化炭素の放出源である

Upwash exploitation and downwash avoidance by flap phasing in ibis formation flight
トキの編隊飛行における、羽ばたきの同調による上昇気流の利用と下降気流の回避
Steven J. Portugal, Tatjana Y. Hubel, Johannes Fritz, Stefanie Heese, Daniela Trobe, Bernhard Voelkl, Stephen Hailes, Alan M. Wilson & James R. Usherwood

2014年1月11日土曜日

新着論文(Ngeo#Jan2014)

Nature Geoscience
January 2014, Volume 7 No 1 pp1-76

Editorials
Peer-review variations
ピア・レビューの変動
論文を書く初期の段階で、ピアレビューの選択肢を自覚しているかどうかがその後ダブル・ブラインド方式のピアレビューへの参加/不参加を分けることが半年間の試みから分かった。

Arctic loss
北極海の損失
北極海の海氷の急速な後退と、大陸棚や永久凍土などからの温室効果ガスの放出が世界の注目を集めている。2010年8月24日、北極海のLaptev海を調査していた研究船から救難信号が発せられた。屈強な救助隊員が駆けつけたが、不幸なことに14名中11名が死亡するという大惨事となった。この例に示されるように、地球科学の野外調査には時として大きな危険を伴う。

Correspondence
Atlantic overturning in decline?
大西洋の子午面循環は衰退しつつあるのだろうか?
Jon Robson, Dan Hodson, Ed Hawkins & Rowan Sutton
大西洋子午面循環(AMOC)は過去・現在の気候において重要な役割を担ってきた。2004年以降大西洋の26ºN線などでRAPID-MOCHAと呼ばれるAMOCの強度のモニタリングが行われているが、2004年〜2012年にかけてAMOCに衰退の傾向が見られている。またAMOCの強弱の良い指標になるLabrador海の海水密度の低下が短期的な変動ではなく、長期的な数十年スケールの変動であることがモデルシミュレーションからも支持された。ただし、依然としてモデルの不確実性は大きく、観測も亜熱帯域などで限られたものになっている。近年の現象をより詳細に観測することでモデルや理論を検討することができると思われる。

Filling the phosphorus fertilizer gap in developing countries
発展途上国においてリン酸肥料のギャップを埋める
Andrew Simons, Dawit Solomon, Worku Chibssa, Garrick Blalock & Johannes Lehmann

In the press
The day the Earth smiled
地球が笑った日
Emily Lakdawalla
土星探査機カッシーニが深宇宙から捉えた地球の姿。
>より詳細な記事(SKY & TELESCOPE)
Wave at Saturn (But Will Cassini See You?)

Research Highlights
Mountains afloat
浮かぶ山脈
Geology http://doi.org/qb5 (2013)
モロッコのAtlas山脈は断層の力だけでは説明ができないほど高度が高いが、地震波の観測とモデルシミュレーションを用いた研究から、上昇するマントルが追加の浮力を与えていることが示唆された。

Tropics on the move
動いている熱帯
J.Clim.http://doi.org/qb7(2013)
降水パターン・蒸発・大気循環で定義される熱帯の気候帯はここ30年間に極側に拡大しつつあるが、そのうち人間活動による放射バランスの変化への寄与はほんのわずかであることがモデルシミュレーションから示唆された。従来10年に1ºの割合で拡大しているとされていたものの、彼らの解析からは亜熱帯の乾燥地域の拡大は10年に0.1-0.2ºであることが示された。

Holey Mercury
穴だらけの水星
Icarus http://doi.org/qb6 (2013)
水星探査機メッセンジャーの撮影した画像によると、水星の表面は数kmの穴だらけで、水星表面のおよそ0.08%を覆っている。そうした構造は太陽の光がよく当たるところや火山活動によって下から暖められていると思われる地域に多くみられ(特にクレーター内部に多い)、おそらく揮発成分をもった物質が昇華することで形成されていると思われる。水星の地下には揮発性の物質が多く存在するのかもしれない。
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
水星地表の凹凸、メッセンジャー撮影

Tethys effect
テチス海の影響
Clim. Past 9, 2687–2702 (2013)
中新世にはインド洋と地中海が繋がっていた(テチス海路)。中新世中頃の1,400万年前に全球の気候が温暖から寒冷へと変化したことが知られているが、それにはテチス海路の閉鎖が関係していた可能性がモデルシミュレーションから示唆。それだけですべては説明がつかないものの、インド洋の中層水形成や大西洋子午面循環などへの影響を通じて全球の海洋循環に影響を与えたと思われる。

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Research
News and Views
Marine biogeochemistry: Arctic shelf methane sounds alarm
海洋生物地球化学:北極圏の大陸棚のメタンが警鐘を鳴らす
Peter Brewer
Shakhova et al.の解説記事。
北極海の海洋底の下には大量のメタンが眠っている。レナ川周辺のラプテフ海南部の観測から、気泡や嵐によって海洋底のメタンが大気へと放出されていることが明らかに。

Early Earth: Archaean drips
初期地球:始生代のしずく
Claude Herzberg
Johnson et al.の解説記事。
始生代の地球は現在よりも暑かった。数値モデルから、当時の地殻が非常に厚く、マントルへと落ちてこんでいた可能性が示唆。

Planetary science: Flow of an alien ocean
惑星科学:地球外の海の流れ
Jason Goodman
Soderlund et al.の解説記事。
木星の衛星の一つエウロパの凍った近くの下には液体の水が眠っているかもしれない。地球の海の研究を他の惑星にも応用することで(惑星海洋学:planetary oceanography)、エウロパの海の力学が謎めいた表層地質と結びつけられている。

Economic geology: Copper conundrums
経済地質学:銅の謎
Cin-Ty A. Lee
Chiaradiaの解説記事。
沈み込み帯の島弧火山から噴くマグマの金属含有量はマントルに由来するものと考えられている。しかし、世界中で見られる地殻の厚さと銅の含有量との相関は、地殻が重要な役割を持っていることを示唆している。

Mantle-driven magnetic field?
マントルが駆動する磁場?
Alicia Newton

Letters
Common 0.1 bar tropopause in thick atmospheres set by pressure-dependent infrared transparency
圧力に依存する赤外線への透明性によって定められる厚い大気での0.1barの対流圏界面の一般性
T. D. Robinson & D. C. Catling
地球を含む惑星の対流圏界面(成層圏の底部)は気圧0.1barで生じると考えられている。物理モデルから、「赤外放射に対する透明性の圧力依存性」が対流圏界面の圧力をどの惑星でも同じにしていることが示唆。おそらく厚い大気を持つ天体にも適用可能と思われる。

Ocean-driven heating of Europa’s icy shell at low latitudes
低緯度における海洋が駆動するエウロパの氷殻の加熱
K. M. Soderlund, B. E. Schmidt, J. Wicht & D. D. Blankenship
木星の衛星の一つエウロパの氷殻には謎めいたカオス地形が多く存在し、特に低緯度地域に隆起部や割れ目が密集している。数値シミュレーションから、内部海の対流が赤道域の熱の流れを加速し、地質活動を励起している可能性が示唆。
>Nature姉妹紙 ハイライト
異星の海で攪拌されたオイロパの無秩序な表面

Potential influence of sulphur bacteria on Palaeoproterozoic phosphogenesis
古原生代のリン酸塩形成作用における硫黄バクテリアの影響の可能性
Aivo Lepland, Lauri Joosu, Kalle Kirsimäe, Anthony R. Prave, Alexander E. Romashkin, Alenka E. Črne, Adam P. Martin, Anthony E. Fallick, Peeter Somelar, Kärt Üpraus, Kaarel Mänd, Nick M. W. Roberts, Mark A. van Zuilen, Richard Wirth & Anja Schreiber
これまでに知られている中で、リンに富んだ堆積物は古原生代の20億年前に堆積したことが知られているが、その起源は不確かなままである。ロシア北西部から得られた岩石の地球化学分析から、硫黄酸化バクテリアの存在と堆積物中の酸素・非酸素変遷の存在が、こうした環境下でのリンの蓄積を可能にした可能性が示唆。

Evidence for biogenic graphite in early Archaean Isua metasedimentary rocks
初期始生代のイスアの変成堆積岩の中の生物が生成した黒鉛の証拠
Yoko Ohtomo, Takeshi Kakegawa, Akizumi Ishida, Toshiro Nagase & Minik T. Rosing
グリーンランド西部のイスアの始生代の岩石は黒鉛を含んでいるが、その起源については議論が続いている。地球化学分析と微小領域分析から、少なくとも37億年前に堆積した生物源の炭素に由来していることが示唆。

Motion in the north Iceland volcanic rift zone accommodated by bookshelf faulting
Robert G. Green, Robert S. White & Tim Greenfield

Prolonged Canterbury earthquake sequence linked to widespread weakening of strong crust
Martin Reyners, Donna Eberhart-Phillips & Stacey Martin

Limit of strain partitioning in the Himalaya marked by large earthquakes in western Nepal
M. A. Murphy, M. H. Taylor, J. Gosse, C. R. P. Silver, D. M. Whipp & C. Beaumont

Copper enrichment in arc magmas controlled by overriding plate thickness
上盤プレートの厚さによってコントロールされる島弧マグマ中の銅の濃集
Massimo Chiaradia
銅の斑岩鉱床を伴うマグマはマントルが分化したものと一般に考えられている。しかしながら、世界中の沈み込み帯におけるマグマ的岩石4万点の地球化学分析結果の統計処理から、岩石はむしろ島弧の地殻の厚さによってコントロールされていることが示唆。

Delamination and recycling of Archaean crust caused by gravitational instabilities
重力的な不安定性によって引き起こされる始生代の地殻の非成層化とリサイクル
Tim E. Johnson, Michael Brown, Boris J. P. Kaus & Jill A. VanTongeren
現在の地表には始生代の地殻はほとんど残っていない。熱力学的計算と地球力学モデルから、始生代の始源的地殻がその下のマントルよりも密度が高く、しずくとして沈降しマントルにリサイクルされていた可能性が示唆。

Articles
Recurring slope lineae in equatorial regions of Mars
火星の赤道域において何度も現れる傾きの線形性
Alfred S. McEwen, Colin M. Dundas, Sarah S. Mattson, Anthony D. Toigo, Lujendra Ojha, James J. Wray, Matthew Chojnacki, Shane Byrne, Scott L. Murchie & Nicolas Thomas
火星の中緯度域に毎年暖かい時期になると出現する暗い縞は塩分に富んだ水の流れが原因と考えられてきた。しかしながら、Mars Reconnaissance Orbiterが毎年撮影した画像には、水の存在が期待されない赤道域においてもそうした構造が見られている。

Warming early Mars with CO2 and H2 
二酸化炭素と水素を伴う初期火星の温暖化
Ramses M. Ramirez, Ravi Kopparapu, Michael E. Zugger, Tyler D. Robinson, Richard Freedman & James F. Kasting
初期火星は暖かく、水が流れていたことが古代の谷地形などから示唆されているが、暗い太陽を補うほどの温室効果があったかどうかは疑わしい。気候シミュレーションから、温室効果ガスである二酸化炭素と水素が火山噴火によってもたらされることで、地表が水の凝固点よりも高い温度に保たれていた可能性が示唆。
>Nature姉妹紙 ハイライト
古代火星の温室

Ebullition and storm-induced methane release from the East Siberian Arctic Shelf 
東シベリア北極圏の大陸棚からの沸騰と嵐によるメタン放出
Natalia Shakhova, Igor Semiletov, Ira Leifer, Valentin Sergienko, Anatoly Salyuk, Denis Kosmach, Denis Chernykh, Chris Stubbs, Dmitry Nicolsky, Vladimir Tumskoy & Örjan Gustafsson
北極圏の浅い海底や陸上の永久凍土には大量の炭素が眠っている。ラプテフ海における観測から、海底下の永久凍土から、その上の水柱へとかなりの量のメタンが気泡を通じてもたらされていることが示唆。
>Nature姉妹紙 ハイライト
泡と嵐がもたらす海洋メタン流

Long-period seismicity in the shallow volcanic edifice formed from slow-rupture earthquakes
Christopher J. Bean, Louis De Barros, Ivan Lokmer, Jean-Philippe Métaxian, Gareth O’ Brien & Shane Murphy

『地球環境を映す鏡:南極の科学』(神沼克伊、2009年、ブルーバックス)

地球環境を映す鏡:南極の科学
神沼克伊
ブルーバックス、2009年(¥900-)

著者は極地研・総合研究大学院大学名誉教授の神沼克伊 氏。
固体地球科学の専門で、これまでに何度も南極を訪れている。

本書はこれまでの南極探検誌、これまでに得られた重要な科学的知見、南極の暮らしを紹介する。

2014年1月10日金曜日

新着論文(Science#6167)

Science
VOL 343, ISSUE 6167, PAGES 109-220 (10 JANUARY 2014)

Editors' Choice
Tremor Sweet Spots
微動のスイート・スポット
J. Geophys. Res. 118, 10.1002/2013JB010273 (2013).
アラスカにおける2006-2012年にかけての震動(Seismic tremor)の観測結果について。

News of the Week
Stranded Antarctic Team Rescued
立ち往生していた南極チームが救出される
南極の氷に閉ざされ10日間立ち往生していた51人の科学者・学生・ジャーナリスト・観光客らは無事救出された。

New Sanctuary to Fence In Native Species
固有種を保護するための新たな避難所
オーストラリアの野生動物保護機関はキツネや野良猫から絶滅の危機に瀕している動物を保護する目的で43kmに及ぶ柵を西オーストラリアに設置した。

2013 Temperature Sets All-Time High
2013年の温度は最高記録に
2013年はオーストラリアを記録的な暑さと森林火災が襲ったが、1910年以来の観測史上もっとも気温が高い年であった(平均値からは1.20℃高かった)ことが気象機関(Bureau of Meteorology)から報告された。気候学者David Karolyによると、「自然変動では到底説明できず、これが人為起源の温室効果によるものであることは疑いの余地がない」という。また2013年はエルニーニョによる温暖化の影響もない年であった。

News & Analysis
Rare Celestial Trio to Put Einstein's Theory to the Test
珍しい天体トリオがアインシュタイン理論のテストを促す
Adrian Cho
他の2つの星とともに周回するパルサーが発見され、アインシュタインの重力理論に関するテストの良い対象が得られた。

U.S. Regulators Unveil New Ocean Noise Rules for Marine Mammals
アメリカの規制者が海生ほ乳類のための新たな海の騒音ルールを公開する
Erik Stokstad

News Focus
Mariners of the Lost Sea
失われた海の水夫
Jane Qiu
アフリカ大陸とユーラシア大陸を2分していたパラテチス海(Paratethys Sea)における海水準の上下動が、「何故中央アジアの生い茂った森林がその後ステップや砂漠地帯となったのか」の説明を与えてくれるかもしれない。

Time Capsule in the Desert
砂漠の中のタイムカプセル
Jane Qiu
中国西部のツァイダム盆地(Qaidam Basin)の地下深くには、(いまは砂漠と化しているが)超巨大な淡水湖と生い茂った森林の名残が残されている。

Policy Forum
Coping with Uncertainty in Space Science Planning
宇宙科学計画の不確実性をどうにかする
Charles Kennel and Alan Dressler

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Research
Perspectives
A Pardon for the Dingo
ディンゴに対する謝罪
Richard G. Roberts
Ripple et al.の解説記事。
オーストラリア大陸にかつて棲息していたフクロオオカミデビルが絶滅した理由は、アボリジニーが大陸に持ち込んだ犬が野生化したディンゴが原因というよりは、人類の人口増加と気候変化で説明できる。

Bacterial Vesicles in the Ocean
海の中のバクテリアの小包
David Scanlan
Biller et al.の解説記事。
植物プランクトンが放出する小包が海洋の炭素循環・ウイルスの防御・遺伝子輸送において重要な役割を負っている可能性がある。

Glimpsing Eruptions on Europa
エウロパにおける噴火を垣間みる
John R. Spencer
Roth et al.の解説記事。
ハッブル宇宙望遠鏡が木星の衛星エウロパの水蒸気の噴火と思われる現象を捉えた。
>AstroArts
エウロパ表面に見つかった水蒸気と粘土鉱物

Nelson R. Mandela (1918–2013)
ネルソン・マンデラ
Salim S. Abdool Karim
人種間の平等・人類の権利・科学教育・AIDS治療の権利などを訴えた、偉大な世界的指導者。

Review
Status and Ecological Effects of the World’s Largest Carnivores
世界最大の肉食動物の現状と生態学的な影響
William J. Ripple, James A. Estes, Robert L. Beschta, Christopher C. Wilmers, Euan G. Ritchie, Mark Hebblewhite, Joel Berger, Bodil Elmhagen, Mike Letnic, Michael P. Nelson, Oswald J. Schmitz, Douglas W. Smith, Arian D. Wallach, and Aaron J. Wirsing
世界各地で大型の肉食動物(ライオン・ラッコ・オオカミ・ヒョウ・ピューマ・ヤマネコなど)の個体数と生息地が激減している。現存する31種について現状と生態学的な機能とをレビュー。生態学上の階層構造にかなりの影響を及ぼしていることが改めて確認された。

Reports
Transient Water Vapor at Europa’s South Pole
エウロパの南極における一時的な水蒸気
Lorenz Roth, Joachim Saur, Kurt D. Retherford, Darrell F. Strobel, Paul D. Feldman, Melissa A. McGrath, and Francis Nimmo
ハッブル宇宙望遠鏡の木星の衛星エウロパの撮像から、一時的な(7時間)、200kmの高さの噴出現象の存在が明らかに。紫外領域の吸収波長から水蒸気の噴き出しと思われる。

Strong Sensitivity of Pine Island Ice-Shelf Melting to Climatic Variability
気候変動に対するPine Island棚氷の融解の強い感度
Pierre Dutrieux, Jan De Rydt, Adrian Jenkins, Paul R. Holland, Ho Kyung Ha, Sang Hoon Lee, Eric J. Steig, Qinghua Ding, E. Povl Abrahamsen, and Michael Schröder
Pine Island棚氷は近年急速に薄くなっており、その流出速度も加速度的に増加している。観測とモデルシミュレーションから、棚氷の融解に関係していると思われる海水の温度が深度1000mまでで大きく変動していることが示された。2012年には強いラニーニャの影響で大気循環が変化し、融解速度は大きく低下していた。南極の棚氷の気候に対する応答は、大気循環・棚氷の局地的な要因・海底地形などが根本的にコントロールしていると考えられる。

Bacterial Vesicles in Marine Ecosystems
海洋生態系におけるバクテリア小包
Steven J. Biller, Florence Schubotz, Sara E. Roggensack, Anne W. Thompson, Roger E. Summons, and Sallie W. Chisholm
海に豊富に棲息するシアノバクテリア(Prochlorococcus)は海洋炭素循環にも寄与するほどの小包膜(membrane vesicles)を海水に放出している。

2014年1月9日木曜日

新着論文(Nature#7482)

Nature
Volume 505 Number 7482 pp131-254 (9 January 2014)

About the cover
オーストラリア南部やニュージーランドの200-500m深に棲息するゾウギンザメ(elephant shark; Callorhinchus milii)のゲノムが解読された。シーラカンスを含む、全脊椎動物の中でもっとも遅く進化をしていることが分かった。
>Nature ハイライト
ゆったり進化する生きもの:進化速度が最も遅い脊椎動物ゾウギンザメのゲノム塩基配列

WORLD VIEW
This was no Antarctic pleasure cruise
ちっとも楽しい南極航海ではなかった
極域調査船が南極の海氷に閉ざされて動けなくなり救出された事件ののちも、Chris Turneyは極域航海の科学的異議を擁護している。
>ナショナルジオグラフィック ニュース
南極海のロシア船救出劇、5つの教訓

RESEARCH HIGHLIGHTS
Comets hint at cosmic encounter
宇宙での遭遇について隕石がヒントを与える
Mon. Not. R. Astron. Soc. 437, 2686–2701 (2014)
原始星(Fomalhaut A)は惑星を有し、さらにそれを取り巻く、非常に明るい隕石の帯を持つことが知られている。その中にさらに2番目の帯が見つかった。おそらく2つの星が接近した際にその円盤同士が衝突することで形成されたのだと思われる。

Radar signals sinkhole to come
シンクホールからのレーダーシグナルが検出
Geology http://doi.org/qnr (2013)
ルイジアナ州において2012年に空いた直径11mのシンクホール(陥落孔)形成の前後で、周辺の地表が26cmにわたって穴に向かって動いていたことが偶然行われていたレーダー観測から捉えられた。現象が起きる前に予測が可能になるかもしれない。

SEVEN DAYS
China joins ivory-crushing campaign
中国が象牙破壊キャンペーンに参加
密猟された象牙などの密輸に関する国際的撲滅キャンペーンの一環で、中国政府は6トン以上の象牙を破壊し、世界に対して関心をアピールした。
>より詳細な記事(NATURE NEWS BLOG)
China crushes tonnes of seized ivory
Daniel Cressey
>ナショナルジオグラフィック ニュース
中国政府が象牙6トンを破壊

Asteroid ahoy!
おおい、隕石!
1/1の深夜に大西洋上で隕石が空中分解したことがアリゾナのCatalina Sky Surveyによって捉えられた。直径2-3mで、地球の大気圏で燃え尽きた。

Cold comfort
冷たい安らぎ
昨年末から南極の氷に閉ざされ立ち往生していたロシアの船Akademik Shokalskiyに乗船していた科学者・ジャーナリスト・観光客が1/2に救出された。

Fossil felony
化石の重罪
化石の小売業者John Richard Rolaterが中国とモンゴルからアメリカへと不正に化石を輸入したとして起訴された。

NEWS IN FOCUS
Many eyes on Earth
地球に向けた多くの目
Declan Butler
従来の大型人工衛星に変わる、小型の観測衛星群が地球の表層のリアルタイムの画像取得の未来を変えるかもしれない。今後数年内に24基のSkySatsが打ち上げられる予定となっている。
SkySat衛星 - 日本スペースイメージング

CORRESPONDENCE
Environment: Himalayas already have hazard network
環境:ヒマラヤは既に災害ネットッワークを有している
Yadav Uprety, Ram P. Chaudhary & Nakul Chettri
ヒマラヤ地域のモニタリングシステムは既に敷かれているが、それが効果を発揮するにはより多くの国際協力が必要とされている。

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Research
ARTICLES
Elephant shark genome provides unique insights into gnathostome evolution <OPEN>
ゾウギンザメのゲノムは顎口類の進化を理解する上でユニークな知見を与える
Byrappa Venkatesh et al.
ゾウギンザメの全ゲノム解読から、かれらがこれまで知られている脊椎動物の中でもっとも遅く進化してきたこと、骨形成に決定的に重要な遺伝子が欠如していること、比類ない免疫システムを有することなどが明らかに。

LETTERS
The rarity of dust in metal-poor galaxies
金属に不足する銀河の塵の珍しさ
David B. Fisher et al.
銀河I Zw 18の観測から、銀河ヒミコ(赤方変位6.6:ビッグバンのわずか8億4000万年後)の塵の質量は太陽質量の約50,000倍であり、従来考えられていた数値の100分の1以下である可能性が示唆。

Primitive layered gabbros from fast-spreading lower oceanic crust
高速で拡大する下部海洋地殻由来の初生層状ハンレイ岩
Kathryn M. Gillis et al.
IODP Exp. 345において採取された、高速拡大海嶺の下部地殻由来のはんれい岩の構造とその成因について。
>Nature ハイライト
高速拡大海嶺における地殻形成

2014年1月6日月曜日

新着論文(Elsevier)

Earth and Planetary Science Letters
Lead isotopes in the Eastern Equatorial Pacific record Quaternary migration of the South Westerlies
Sylvain Pichat , Wafa Abouchami , Stephen J.G. Galer
東赤道太平洋で採取された堆積物コア(ODP leg. 849)のダストの鉛同位体を用いて、過去160kaのダストの供給源の変化を復元。南米がその供給源であり続けたが、異なる緯度からの供給量が変動していた。南極アイスコアの記録とも同期して変動していることから、南半球高緯度の偏西風の影響が大きいと思われる。

Geochimica et Cosmochimica Acta
South Pacific dissolved Nd isotope compositions and rare earth element distributions: Water mass mixing versus biogeochemical cycling
Mario Molina-Kescher , Martin Frank , Ed Hathorne
南太平洋の水塊の化学特性はあまり調査されていない。南米からニュージーランドに至る40ºS線に沿って海水を採取し、εNdおよびREEを測定。東赤道太平洋におけるスカベンジングと堆積物からの溶出を起源とするREEが水塊に溶け込んでいる。εNdはAAIW・LCDW・NPDW・NADW(の名残)で異なる値を示し、水塊の良いトレーサーになることが示された。ニュージーランド沿岸部の堆積物と海水の接地面では同位体交換が起きており、εNdにも時空間変動があることが示唆される。

Marine Geology
Back to the Future: The History of Acroporid Corals at the Flower Garden Banks, Gulf of Mexico, USA
William F. Precht , Ken J.P. Deslarzes , Emma Hickerson , George P. Schmahl , Marissa Nuttall , Richard B. Aronson
2006年、メキシコ湾のFlower Garden Banks(水深20〜50m)にて化石のAcropora palmataが発見された。年代決定により完新世最温暖期に栄えていたことが分かった。その後の海水温の低下と海水準上昇に負けて衰退したと考えられる。さらに2007年にはAcropora cervicornisの化石が発見され、こちらは小氷期の寒冷化に負けてその後衰退していた。近年、A. palmataが再び繁殖しつつあり、海水温上昇の影響と考えられる。

Quaternary Science Reviews
Modelling stable water isotopes in monsoon precipitation during the previous interglacial
Jesper Sjolte , Georg Hoffmann
GCMを用いて最終間氷期(Eemian)の熱帯域・モンスーン域の水・同位体循環を復元。インドモンスーン地域におけるδ18Oは主に量的効果(amount effect)に支配されており、一方下流にある東アジアのδ18Oは水蒸気の輸送過程における18Oの降着の影響が大きいことが示された。鍾乳石をはじめとするδ18Oの再解釈が必要であるとともに、過去にITCZが変動した原因をよりよく研究する必要がある。

2014年1月3日金曜日

論文を書くということ

新年あけましておめでとうございます。

今年はちょうど論文執筆中ということもあり(また金欠という事情もあり)、田舎には帰省せず(毎年のことですが)、論文執筆に明け暮れています。

現在2本の執筆を同時進行で進めており、また2月に新たに行う実験でもう1本執筆する計画です。
博士課程の締めくくりとしてもう1本分のデータを収集し、最終的には4本揃えて学位を取りたいと考えていますが、筋書き通りにいくかどうかは甚だ不透明です(特に実験系はうまくいかないことが往々にしてあります)。

どれもまったく異なるプロジェクトなので、同時に執筆することも可能だとは思いますが、研究を進めていると、海外の動向の変化を含めて、色々と細部の変更点が出てきます。

新着論文(Science#6166)

Science
VOL 343, ISSUE 6166, PAGES 1-108 (3 JANUARY 2014)

Editors' Choice
A Question of Balance
バランスの疑問
Nat. Clim. Change 10.1038/ NCLIMATE2058 (2013).
 北極圏の大地には大気中のCO2の2倍に相当する量の炭素が眠っている。それが気候の温暖化とともに大気中にメタンやCO2として放出されると、さらなる温暖化に繋がると思われるが、そうした知識は比較的温暖な地域に限られており、北極圏全体がどのように今後振る舞うかは不確かなままである。
 北極圏ツンドラでなされた研究から、温度上昇・降水量の増加・永久凍土の分解などが複雑に組み合わさったグリーンランド北西部では、温度上昇は55%の炭素吸収の増加に繋がるが、それに降水量の増加が加わると桁違いに炭素吸収が増強されることが示された。従って、温暖化した世界でも、(中には放出源になる地域もあるだろうが)北極圏の永久凍土地域は炭素の吸収源として振る舞う可能性を示唆している。
>話題の論文
High Arctic wetting reduces permafrost carbon feedbacks to climate warming
北極圏高緯度の湿潤化が気候の温暖化に対する永久凍土の炭素フィードバックを低下させる
M. Lupascu, J. M. Welker, U. Seibt, K. Maseyk, X. Xu & C. I. Czimczik
グリーンランド北西部で行われた長期的な気候操作実験から、北極圏高緯度の半砂漠地帯の炭素の吸収能力は、温暖化と湿潤化が組み合わさると増加することが示された。将来地球が温暖化してもこれらの地域は依然として大きな炭素の吸収源として振る舞う可能性が示唆される。

A Look Ahead for 2014
Costs of BP Oil Spill Revealed
BPの石油流出事故のコストが明らかに
2010年にメキシコ湾で起きたDeepwater Horizon石油流出事故に対して、今後の生態系保全・モニタリングのために支払われる金額は150億ドルを超えると思われる。さらに自然資源にどれほどのダメージを与えたかについても評価がなされている最中で、それに対しても数十億ドルの賠償責任が負わされると思われる。

New Hunt for Submerged Relics
海底に沈んだ遺物の新たな探求
中国は海底考古学遺跡を調査するための調査船を建造した。総工費約1億ドルで、総重量は500トン。主に南シナ海の海底を調査するためとしているが、近隣諸国からは中国の支配領域を拡大する狙いがあると批判も出ている。中国当局はあくまで歴史的遺産を発掘するためだけの船だと主張している。

Rosetta Springs to Action
ロゼッタが行動を開始
ヨーロッパ宇宙局が2004年に打ち上げたロゼッタはチュリュモフ・ゲラシメンコ隕石(Churyumov–Gerasimenko)に向けて太陽系を飛行している。8月から観測がスタートし、2015年中頃にはPhilaeと名付けられた地上探査機を送り込む予定。隕石は太陽系形成初期の記録を残していると思われ、水や生命のもととなった物質などの探査が行われる。

Indian Orbiter on Steady Course
インドの軌道周回衛星が安定軌道に入った
昨年11/5に打ち上げられたインド初の火星探査衛星Mangalyaanが安定な軌道に入った。火星で6ヶ月間にわたって地表や大気を観測する予定となっている。初めてメタン(炭素生命の痕跡になると考えられている)検出器が搭載されている。

Groundbreaking on the Ice
氷の上での着工
中国と韓国が南極に新たな基地を建設しようとしている。東南極に建設される中国のTaishan基地は、Grove山やAmery棚氷の地質学・氷河雪氷学などの研究のために他国の研究者も利用したいと望んでいる。本棟は来月にも完成し、2年内に運用が開始すると見込まれている。さらに中国は西南極のロス海沿岸部でも基地を建設する計画を立てている。一方の韓国はTerra Nova湾にJang Bogo基地を建設し、2月から同地域の気候変化のモニタリングを行うこととなっている。

News & Analysis
Google Scholar Wins Raves—But Can It Be Trusted?
Google Scholarが評判を勝ち取る—しかしそれは信頼できるのだろうか?
John Bohannon
無料の学術論文検索サービスGoogle Scholarは科学者の信頼を獲得したが、その被引用数は悪用される可能性がある。

EPA Science Report Signals Start of Wetlands Battle
アメリカ合衆国環境保護庁の科学報告書が湿地の闘いの始まりを警告する
Erik Stokstad
環境保護論者と産業団体とが湿地帯の保護に関する草案をめぐって闘いを繰り広げようとしている。

News Focus
Life and Death at Stonehenge
ストーンヘンジにおける生と死
Michael Balter
巨大モニュメント・ストーンヘンジの儀式的な用途と意味について新たな知見が得られた。

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Research
Perspectives
An Exceptionally Bright Gamma-Ray Burst
例外的に明るいガンマ線バースト
Johan P. U. Fynbo
ガンマ線バースト近傍の詳細な観測によって、巨大な星の死に関する理解が深まるだろう。

On Tropical Forests and Their Pests
熱帯雨林とその害虫に関して
Phyllis D. Coley and Thomas A. Kursar
害虫との相互作用が、何故熱帯雨林では植物の種の多様性が大きいのかを説明する助けとなるかもしれない。

Research Articles
Fermi-LAT Observations of the Gamma-Ray Burst GRB 130427A
ガンマ線バーストGRB 130427AのFermi-LAT観測
M. Ackermann et al.
非常に明るい星の爆発の名残であるガンマ線バーストGRB 130427Aに対する複数波長帯の観測により、その物理の詳細が明らかに。

Reports
GRB 130427A: A Nearby Ordinary Monster
GRB 130427A: 近傍の平均的な化け物
A. Maselli et al.
上と同じ。

The First Pulse of the Extremely Bright GRB 130427A: A Test Lab for Synchrotron Shocks
極端に明るいGRB 130427Aの最初のパルス:シンクロトロン・ショックの試験場
R. Preece et al.
上と同じ。

2014年1月2日木曜日

新着論文(Nature#7481)

Nature
Volume 505 Number 7481 pp7-126 (2 January 2014)

About the cover
SEA CHANGE
海の変化
深海サンゴの一種、ゴールドサンゴ(gold coral; Kulamanamana haumeaae)の寿命は数千年にも及び、それらの骨格には過去の海洋表層の一次生産の記録が残されている(マリンスノーとして深海に沈み、それらが深海サンゴの餌になっているため)。近年、北太平洋の亜熱帯循環においては栄養塩濃度が低下しているにもかかわらず、一次生産は増加しており、その原因として窒素固定をするプランクトンコミュニティーの組成が変化したことが挙げられている。Sherwoodほかは深海サンゴ骨格のδ15N記録から、150年前にそうした変化が既に起きていたことを示した。
>Nature ハイライト
海の変容:ハワイの黄金サンゴは小氷期以降の北太平洋での窒素急増を記録している

SEVEN DAYS
Star surveyor
星の調査員
ヨーロッパ宇宙局の星の位置や距離をこれまでにない精度で観測する計画Gaiaが12/19にフランス領ギアナからロケットを打ち上げた。
>より詳細な記事(Nature news blog)
Star-mapping mission lifts off
Elizabeth Gibney

NEWS IN FOCUS
Triple-threat method sparks hope for fusion
「3つの脅威」法が核融合に対する期待を高める
W Wayt Gibbs
核融合成功の秘訣は、「レーザー」「磁場」「締め付け」である。

Water risk as world warms
世界が温暖化することによる水のリスク
Quirin Schiermeier
総括的な国際リスク評価が初めてなされ、水の不足が世界最大の関心事であることが示された。

What to expect in 2014
2014年に何を期待すべきか
Richard Van Noorden
SPACE PROBES
宇宙探査機
 ヨーロッパ宇宙局の探査機Rosttaは11月に隕石Churyumov–Gerasimenkoに世界で初めて着陸する予定。
 火星には9月にインド初の火星周回衛星とNASAのMAVENが到達する予定。
 またNASAの火星探査機キュリオシティーはその最終目的地である標高5.5kmのAeolis山に到着し、そこでかつての水の痕跡を探す。
 さらに地球の大気中CO2濃度を観測する人工衛星(OCO)も打ち上げが期待されている。
>関連した記事(Science#6159 "News & Analysis")
Orbiting MAVEN Mission Set to Trace a Planet's History in Thin Martian Air
薄い火星の大気で惑星の過去を辿るためのMAVEN軌道ミッションが始まる
Yudhijit Bhattacharjee
今月末、NASAが火星に送ろうとしている探査機(MAVEN)は火星の大気を観測することにより、注意深く火星の数十億年間の歴史を紐解くことを目標としている。
>関連した記事(Science#6152 "News & Analysis")
India Aims a Probe at Mars—And at Earthly Prestige
インドは火星に探査機を送ろうとしている−地球の威信をかけて
Pallava Bagla
インドは来月、火星の大気中のメタン(生命存在の兆候となる)を探るための探査衛星を打ち上げる予定となっている。

RENEWABLE REVOLUTION
再生可能エネルギーの革命
半導体であるペロブスカイトは光エネルギーを電気に変換することが可能で、発電効率は15%を超え、安く作れる、大きな期待が寄せられる太陽電池である。今年は20%を超え、さらに鉛を使用しないものも創り出されるかも?

A BETTER CLIMATE
より良い気候
 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の作業部会2と3の報告書が11月までに出そろう。それらは気候変化のコスト、適応・緩和戦略を報告するものである。
 カナダのサスカチュワンにあるBoundary Dam石炭火力発電所では巨大な炭素捕獲貯留計画が世界で初めて4月から始動する予定となっている。
>関連した記事(GLOBAL CCS INSTITUTE)
カナダ総領事Jamshed Merchant氏:カナダでの経験は「CO2回収」の有効性を示している

MAKING WAVES
波を作る
宇宙背景放射に関するデータの公表。

COMMENT
Resources: Track flows to manage technology-metal supply
資源:産業金属の供給を管理するために流通を追跡する
「リサイクルではデジタル・グリーン産業で使われる貴金属類の需要を満たすことはできない」とAndrew Bloodworthは言う。より全体的なアプローチが必要とされている。

CORRESPONDENCE
Floods: Storm-surge impact depends on setting
洪水:高潮の影響はセッティングによる
Thomas Spencer, Susan M. Brooks & Iris Möller
2012年12月5-6日にかけて生じた北海の高潮は60年前の1953年の高潮(2,000人の死者を出した)よりも大きかった。しかし、予報や堤防、早期警報システムの向上もあり、被害はそれほど大きくはなかった。高潮の大きさは地域により様々で、それには地形や潮汐などが複雑に関与している。海水準上昇の危機にさらされる地域の避難計画や早期警報システムにイギリスの例から学んだ教訓が生かされるべきである。
>関連した論文(Nature#7478 SPECIALS:COASTAL REGIONS "REVIEWS")
Coastal flooding by tropical cyclones and sea-level rise
熱帯低気圧と海水準上昇による沿岸部の氾濫
Jonathan D. Woodruff, Jennifer L. Irish & Suzana J. Camargo
気候変化が台風の上陸にどのような影響を与えるかはよく分かっていない。しかしそれとは関係なしに、加速する海水準上昇は熱帯低気圧による沿岸部の氾濫を増加させると思われる。沿岸部の社会は急速な変化と共存しなければならない。人類による地盤沈下の軽減などを通して、適応戦略を取る必要がある。

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RESEARCH
NEWS & VIEWS
Extrasolar planets: Cloudy with a chance of dustballs
系外惑星:曇り時々ダストボール
Julianne Moses
Knutson et al.とKreidberg et al.の解説記事。
中程度の大きさの2つの太陽系外惑星について、親星の前面を通過する際に観測された透過スペクトルは平らで特徴のないものだった。これらの惑星の大気の性質に関する知見が得られた。
>Nature ハイライト
2つの惑星の物語
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
系外惑星GJ 1214bの厚い雲

Archaic humans: Four makes a party
旧人類:4種類に増えてさらに賑やか
Ewan Birney & Jonathan K. Pritchard
Prüfer et al.の解説記事。
旧人類と現生人類のゲノム比較に、初めてのネアンデルタール人の質の高いゲノム塩基配列が加えられたことで、遺伝子流動・集団構造や適応についての手がかりが得られた。またこれまで知られていなかった旧人類集団の存在が示唆。

Climate science: Clouds of uncertainty
気候科学:不確実さの雲
Hideo Shiogama & Tomoo Ogura
Sherwood et al.の解説記事。
気候モデルを用いた大気の対流混合と低層雲の評価から、二酸化炭素濃度の上昇に応答して、地球の気候がこれまで考えられていたよりも温暖となる可能性が示唆された。
[以下は抜粋]
...despite technical advances and the considerable efforts of climate scientists, the range of climate sensitivities estimated by the Intergovernmental Panel on Climate Change (IPCC) using computer models has not narrowed since 1990, and remains at roughly 1.5–4.5 °C.

The researchers came up with three crucial findings. First, they observed that differences in mixing strength explained about half of the spread of climate sensitivities estimated by the models. Second, they found that changes in mixing strength depend on the mixing strength in simulations of the current climate, which was used as the initial value in the experiments. And third, they conclude that estimates of current mixing strength based on observations imply a climate sensitivity of more than 3 °C, which is in the upper half of the IPCC’s range of estimates.

>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
海上の雲が減ると温暖化が進む?

ARTICLES
Spread in model climate sensitivity traced to atmospheric convective mixing
大気の対流混合に起因するモデル間でばらつく気候感度
Steven C. Sherwood, Sandrine Bony & Jean-Louis Dufresne
 大気中のCO2濃度上昇に対して地球がどれほど温暖化するか(気候感度)の推定の不確実性は大きい。過去数十年間にわたって研究がなされてきたものの、その見積もりには依然として約1.5~5°Cのばらつきがあり、将来の気候の正確な予測を妨げている。
 モデル間で予測結果が食い違うことの原因の半分は、熱帯域の対流圏における下層と中層の対流混合の強さにあることが示された。その結果、予測される気候感度は3〜5℃の間にあると制約される。この気候感度は、現在受け入れられている下限値の1.5°Cよりかなり高いため、将来の温暖化が比較的厳しくなることを意味している。
>Nature ハイライト
気候モデルの不確実性を引き起こす大気混合

The complete genome sequence of a Neanderthal from the Altai Mountains
アルタイ山脈から発掘されたネアンデルタール人の完全なゲノム塩基配列
Kay Prüfer et al.
シベリアから発掘された女性のネアンデルタール人の完全なゲノム解読がなされた。彼女の両親は異母あるいは異父の兄弟姉妹レベルの血縁関係にあり、近親者同士の交配が一般的であったことが明らかに。またネアンデルタール人、デニソワ人および初期現生人類の間で遺伝子流動が何度か起こったことが明らかに。さらに未知の旧人類集団からデニソワ人への遺伝子流動が起こっていた可能性も示された。

LETTERS
Strong neutrino cooling by cycles of electron capture and β- decay in neutron star crusts
中性子星の地殻における電子捕獲とβ-崩壊のサイクルによる強いニュートリノ冷却
H. Schatz et al.

A featureless transmission spectrum for the Neptune-mass exoplanet GJ 436b
海王星質量の系外惑星GJ 436bの特徴のない透過スペクトル
Heather A. Knutson, Björn Benneke, Drake Deming & Derek Homeier

Clouds in the atmosphere of the super-Earth exoplanet GJ 1214b
スーパーアース系外惑星GJ 1214bの大気中にある雲
Laura Kreidberg et al.

Increasing subtropical North Pacific Ocean nitrogen fixation since the Little Ice Age
小氷期以降増加する亜熱帯北太平洋の窒素固定
Owen A. Sherwood, Thomas P. Guilderson, Fabian C. Batista, John T. Schiff & Matthew D. McCarthy
 海洋表層水への栄養塩供給量は減少傾向にあるものの、亜熱帯北太平洋の一次生産は増加しているという、謎めいたことが起きている。それに伴うプランクトンコミュニティーの変化が気候そのものの変動が原因か、地球温暖化が原因かはよく分かっていない。
 ハワイ周辺の400mの海底から得られた深海サンゴ骨格中のアミノ酸のδ15N分析(窒素の供給源を反映する)から、過去4,000年間の一次生産を復元。近年というよりは小氷期(AD1850年)以降のより長い傾向で、150年間に2‰減少していた。この大きさは更新世-完新世境界における変化と同程度だが、その変化率は桁違いで早い。質量収支計算から、窒素固定が17-27%増加していることが示唆。

Upper Palaeolithic Siberian genome reveals dual ancestry of Native Americans
旧石器時代後葉のシベリア人のゲノムがアメリカ先住民の2つの祖先を明らかにする
Maanasa Raghavan et al.
シベリアの南部から得られた24-17kaのネアンデルタール人のゲノム解読から、当時の人々の遺伝子が西ヨーロッパ人やアメリカ先住民とは似ているが、東アジア人とは似ていないことが示された。アメリカ先住民の起源に関する新知見が得られた。
>Nature ハイライト
ネアンデルタール人女性のゲノム塩基配列
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
米先住民の遺伝子、一部は欧州から