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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English) おまけTwilog

2013年12月13日金曜日

新着論文(Science#6164)

Science
VOL 342, ISSUE 6164, PAGES 1281-1404 (13 DECEMBER 2013)

EDITORIAL:
Reading the Bones
骨を読む
George J. Armelagos
イタリアで発見された石灰岩の中に埋葬された(おそらく疫病が原因で1800年代中頃に死亡した)女性の骨から、過去の病気に関して考古学者が情報を引き出そうとしている。

Editors' Choice
Nanosilver Lining
ナノシルバー商品
Environ. Sci. Technol. 10.1021/es402510a (2013).
靴下から子供のおもちゃまで、最近では銀の微粒子が多く取り込まれていることが知られている。それらは環境中の微生物コミュニティー(汚染水の浄化やコンポストの生ゴミ分解など)に影響を与えていることが、生物分解の程度を比較した実験から実証された。

News of the Week
Scientists Oppose Secrecy Law
科学者らが秘密保護法に反対
日本政府が新たに制定した秘密保護法に対して、表現や研究の自由が損なわれる可能性があるとして、ノーベル賞受賞者をはじめとする科学者ら(益川敏英、白川英樹など)が11/28にそれに強く反対する声明を発表した。”秘密”の漏洩をした場合、最大で10年の禁固刑となる。定義が曖昧で政府の裁量に強く依存するとして、多くの人がその制定に反対していたものの、法案は12/6に通過した。
>より詳細な記事(Science Insider)
Over Scientists' Objections, Japan Adopts State Secrets Law

Reptiles Tout Alluring Snouts
爬虫類が魅惑的な鼻で誘う
インドで飼育されていたヌマワニ(mugger crocodiles; Crocodylus palustris)とルイジアナ州の野生のアリゲーター(alligators; Alligator mississippiensis)とに、枝を使って鳥をおびき寄せる行動が確認された。彼らは枝を巣作りに使う鳥を狙い、枝を鼻の上に載せて鳥を誘い出していた。
>より詳細な記事(ScienceShot)
First Example of Tool Use in Reptiles

News & Analysis
Lick Observatory in Trouble as Austerity Starts to Bite
経済政策の厳しさが迫るにつれてリック天文台が危機に
Yudhijit Bhattacharjee
予算削減によって、125年の歴史を持つカリフォルニア・サンジョゼにあるLick天文台のスタッフが削減され、閉鎖または公の博物館への切り替えに迫られている。

New Results Send Mars Rover on a Quest for Ancient Life
新たな結果が古代の生命を探しに火星探査機を送り出す
Richard A. Kerr
火星探査機キュリオシティーが最近送ってきた結果をもとに、科学者らは次の計画を練り上げている。次は火星に古代に棲んでいた可能性がある微生物の’分子化石(molecular fossils)’を探すことである。
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
着陸から1年半、キュリオシティの成果

Fossilized Teeth Offer Mouthful on Ancient Microbiome
化石化した歯が古代の口の中にマイクロバイオームが満ちあふれていたことを示す
Andrew Curry
人の歯石や化石化した糞に保存された微生物のDNA分析から、数百年、あるいは数千年前の人の身体の表面および内部に住んでいたバクテリア集団の記録が得られている。

Cavefish Study Supports Controversial Evolutionary Mechanism
洞窟魚の研究が議論を呼んでいる進化メカニズムを支持
Elizabeth Pennisi
解放された遺伝的変化が洞窟魚が目を急速に失くしたことの説明になるかもしれない。

Europe Readies Peerless Star Mapper
ヨーロッパの比類なき星の地図作製の準備ができた
Daniel Clery
もうまもなく打ち上がるヨーロッパの人工衛星Gaiaは数十億の星の動きと位置をこれまでにない精度で決定する。
>関連した記事(Nature#7469 "FEATURES")
Astrometry: Europe's star power
天文学:ヨーロッパの星の力
Devin Powell
まもなくESAがガイアを打ち上げる。宇宙の詳細な地図を作ること(20等級以下の約10億個の星の位置を調べること)がミッションの目標である。2013年11月にロシアのソユーズロケットを用いて打ち上げられる予定となっている。

News Focus
The Thousand-Year Graveyard
千年墓地
Ann Gibbons
科学者らは中世以降の病気や死に関する苦痛の歴史を紐解いている。

Letters
Finding Best Practices for Fossil Fuel Extraction
化石燃料採掘に対して最良の方法を見つける
Jessica L. Deichmann and Alfonso Alonso
非在来型の化石燃料(石油砂、シェールガス、コールベッドメタンなど)の採掘サイトでも同様に採掘が生物多様性に与える影響の評価がなされるべきだ。
[以下は抜粋]
Given the progress made thus understanding the effects of conventional petroleum extraction, we propose that applied ecological research for conservation should expand immediately to areas with proven nonconventional fossil fuel reserves (such as oil sands, oil and gas shale, and coal bed methane).
>関連した記事(Science#6157 "Policy Forum")
Biodiversity Risks from Fossil Fuel Extraction
化石燃料の抽出による生物多様性のリスク
N. Butt, H. L. Beyer, J. R. Bennett, D. Biggs, R. Maggini, M. Mills, A. R. Renwick, L. M. Seabrook, and H. P. Possingham
豊かな生物多様性と化石燃料の貯蔵庫とがかぶっているような地域は高いリスクを持っていると言える。

Policy Forum
What Role for Short-Lived Climate Pollutants in Mitigation Policy?
緩和策における短寿命の気候汚染物質の役割とは?
J. K. Shoemaker, D. P. Schrag, M. J. Molina, and V. Ramanathan
長寿命・短寿命の気候汚染物質に対して同時に対策が必要であるが、その際にCO2削減に対する行動を減じることがあってはならない。

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Research
Reports
Detection of a Noble Gas Molecular Ion, 36ArH+, in the Crab Nebula
かに星雲内部の希ガス分子イオン(36ArH+)の検出
M. J. Barlow, B. M. Swinyard, P. J. Owen, J. Cernicharo, H. L. Gomez, R. J. Ivison, O. Krause, T. L. Lim, M. Matsuura, S. Miller, G. Olofsson, and E. T. Polehampton

Phosphorus in the Young Supernova Remnant Cassiopeia A
若い超新星残骸であるカシオペア座Aの中のリン
Bon-Chul Koo, Yong-Hyun Lee, Dae-Sik Moon, Sung-Chul Yoon, and John C. Raymond

The Missing Mountain Water: Slower Westerlies Decrease Orographic Enhancement in the Pacific Northwest USA
失われつつある山間部の水:北西アメリカの太平洋沿岸部においてはより遅い偏西風が地形効果を減少させている
C. H. Luce, J. T. Abatzoglou, and Z. A. Holden
アメリカ北西部の山間部の河川流量の過去60年間の長期的な減少傾向はこれまで気温の上昇が原因と考えられてきた。新たな研究から、冬の偏西風と山間部の高地の降水量との間には強い相関が見いだされ、山間部の降水の変化が、河川流量の近年の減少の原因であることが示唆。同地域では温室効果ガスの増加とともに偏西風がさらに弱まると予測されており、さらに水循環に影響があると思われる。

Long-Term Dynamics of Adaptation in Asexual Populations
無性の集団内の長期的な適応の力学
Michael J. Wiser, Noah Ribeck, and Richard E. Lenski
環境に変化がなくとも、5万世代にわたって、バクテリアの進化的な適応度は増加し続ける。