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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English) おまけTwilog

2013年10月17日木曜日

新着論文(Nature#7471)

Nature
Volume 502 Number 7471 pp271-402 (17 October 2013)

EDITORIALS
The maze of impact metrics
インパクトの判断基準の迷路
研究のインパクトをいかに判断するかを決める中で、研究を評価する人は独特の手段を強調することの効果を考慮に入れなければならない。そしてその手法を真摯に受け止めるべきである。

Searching for life
生命探査
過去を見ることが、地球外生命を発見しようとする我々の努力の礎となる。
[以下は引用文]
Life is still the hypothesis of last resort for astrobiologists. But if they find none, they will not be disillusioned. It would be just as interesting, they say, to find that habitable-looking environments do not all sprout life, and that Earth is unique in being so full of it.

RESEARCH HIGHLIGHTS
Why bee colonies collapse
なぜハチのコロニーが崩壊するのか
Ecol. Lett. http://dx.doi.org/10.1111/ele.12188 (2013)
生息地の減少や殺虫剤の影響によってハチのコロニーが次々と崩壊しているが、個々の原因だけでは説明できないことがある。環境ストレスがハチに与える影響がある閾値を超えることで、たとえストレスが個々のハチを殺すことはなくとも、コロニー全体としては衰退することが示された。ハチの学習能力や食料集めと言った機能に影響することが原因と考えられている。

Shining light on cold turtles
冷たいカメに当たる眩しい光
Biol. Lett. 9, 20130602 (2013)
淡水ガメの一種(Trachemys scripta)は、冬に凍った、酸素が全くない湖の底にいても生き残れることが示された。また彼らは冬眠のような昏睡状態にも陥っていないらしい。その状態では温度や光には反応を示すが、振動や酸素濃度上昇に対しては反応しなかった。おそらく省エネで活動しているものの、警戒は怠っていないようである。

Reflections from a black hole
ブラックホールからの反射
Astron. Astrophys. 558, A32 (2013)
NASAのチャンドラX線望遠鏡による観測から、天の川銀河の中心にある超巨大ブラックホール(サジタリウスA)における放射が、数年前に放たれた放射が周囲の雲によって、反射しているものであることが明らかに。

Ozone hole fans African heat
オゾンホールがアフリカを煽って熱くする
Nature Geosci. http://doi.org/n8x (2013)
1993年のオゾン層の低下前後のアフリカ南部の気候状態を調べたところ、地表の熱波と大気循環との間に強い相関が認められた。おそらく気圧配置の変化が熱帯の熱をより南へと運んだことが原因と考えられる。2050年にオゾンホールが消滅すれば、地球温暖化を軽減する効果があると期待されている。
>より詳細な記事(Nature News)
Ozone loss warmed southern Africa
オゾンの低下がアフリカ南部を暖める
Hannah Hoag
>話題の論文
Link between Antarctic ozone depletion and summer warming over southern Africa
南極のオゾン低下とアフリカ南部におよぶ夏の温暖化とのリンク
Desmond Manatsa, Yushi Morioka, Swadhin K. Behera, Toshi Yamagata & Caxton H. Matarira
>Nature関連誌 ハイライト
オゾン損失により影響を受けるアフリカの温暖化

SEVEN DAYS
※今回は省略

NEWS IN FOCUS
Study aims to put IPCC under a lens
研究がIPCCをレンズの下に置こうとしている
Jeff Tollefson
社会学者は気候パネル内部の力学が結果にどういった影響を及ぼすのかを研究したがっている。

FEATURES
Research evaluation: Impact
研究評価:インパクト
研究成果を評価し、どの研究を助成するかの判断はより難しくなりつつある。
>Nature ハイライト
研究のインパクト:価値ありと見なされる科学研究を探す

Research assessments: Judgement day
研究評価:審判の日
Brian Owens
研究者の中にはそれを聞いて落胆するものもいるかもしれないが、多くの政府が大学における研究の質を評価し始めている。

Science publishing: The golden club
科学出版:ゴールデンクラブ
もっとも権威のある科学雑誌から論文が公表されることで道が開けるが、一方でその高い名声は非難の対象でもある。

COMMENT
Publishing: Open citations
出版:開かれた引用
「自らの出版リストを完全に無料で閲覧可能な形にすることでかなりの利益が見込める」と、Open Citations Corpusの代表であるDavid Shottonは語る。

Referencing: The reuse factor
引用:再利用ファクター
「引用は死んでいない−研究成果はプログラムコードの列から動画までの幅の広いものへと急速に変化しつつある。」と、Mark Hahnelは説明する。

CORRESPONDENCE
Ecology: Genetic engineering in conservation
生態学:保全における遺伝子工学
Philip W. Hedrick, Fred W. Allendorf & Robin S. Waples

Biodiversity: Safeguard species in warming flatlands
生物多様性:温暖化する平地における保護生物
Josef Settele, Ingolf Kühn & Jeremy A. Thomas

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RESEARCH
NEWS & VIEWS
Astrophysics: Super-luminous supernovae on the rise
宇宙物理学:超高輝度スーパーノバが増加している
Daniel Kasen
Nicholl et al.の解説記事。
新たな観測から、極度に明るい超新星の一部は、質量が非常に大きい星の核爆発ではない可能性が示唆されている。そうではなく、中心部からの強力な磁気エネルギーが供給されることで起きる通常質量の星の現象であるらしい。

ARTICLES
Olivine crystals align during diffusion creep of Earth’s upper mantle
地球上部マントルの拡散クリープ下で結晶方位がそろうカンラン石
Tomonori Miyazaki, Kenta Sueyoshi & Takehiko Hiraga
>Nature ハイライト
拡散クリープ下でのカンラン石の結晶軸の整列

LETTERS
Slowly fading super-luminous supernovae that are not pair-instability explosions
対不安定型超新星爆発ではない、ゆっくりと暗くなる超高輝度超新星
M. Nicholl et al.
>Nature ハイライト
マグネターがエネルギー供給する超高輝度超新星

Molecular understanding of sulphuric acid–amine particle nucleation in the atmosphere <OPEN>
大気中での硫酸-アミン粒子核形成の分子論的理解
João Almeida et al.
対流圏に数pptレベルで含まれるアミンは硫酸と結合することで、大気下層で観察されるような速度で非常に安定なエアロゾルを形成していることが示された。
>Nature ハイライト
人為起源のアミンの大気化学

Chelicerate neural ground pattern in a Cambrian great appendage arthropod
カンブリア紀の大付属肢節足動物に見られる鋏角類神経の基本パターン
Gengo Tanaka, Xianguang Hou, Xiaoya Ma, Gregory D. Edgecombe & Nicholas J. Strausfeld
>Nature ハイライト
位置付けの決まった「大付属肢」節足動物