Main contents


☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年12月30日月曜日

新着論文(SR, Ncom)

Scientific Reports
24 December 2013
Forest cutting and impacts on carbon in the eastern United States
Decheng Zhou, Shuguang Liu, Jennifer Oeding & Shuqing Zhao
アメリカ東部にて行われた森林伐採によって失われた炭素量を定量化。2002年から2010年にかけて年間168TgCが失われたと推定される。この量はアメリカ国内における化石燃料燃焼によるCO2量に換算すると11%に相当する。

Early urban impact on Mediterranean coastal environments
David Kaniewski, Elise Van Campo, Christophe Morhange, Joël Guiot, Dov Zviely, Idan Shaked, Thierry Otto & Michal Artzy
イスラエルの古代遺跡Akkoにおける過去6,000年間の都市化とその生態系への影響を復元。都市化の登場後すみやかに生態系が大きく変革したことが示された。

Nature Communications
18 December 2013
The discovery of kimberlites in Antarctica extends the vast Gondwanan Cretaceous province
Gregory M. Yaxley, Vadim S. Kamenetsky, Geoffrey T. Nichols, Roland Maas, Elena Belousova, Anja Rosenthal and Marc Norman
ダイアモンドが算出する火成岩の一種Kimberliteは南極以外のすべての大陸で報告されていた。南極にも存在することが初めて示された。
>Nature姉妹紙 ハイライト
地質学:南極の氷結大地からダイヤモンドが見つかる

Human-induced nitrogen–phosphorus imbalances alter natural and managed ecosystems across the globe
Josep Peñuelas, Benjamin Poulter, Jordi Sardans, Philippe Ciais, Marijn van der Velde, Laurent Bopp, Olivier Boucher, Yves Godderis, Philippe Hinsinger, Joan Llusia, Elise Nardin, Sara Vicca, Michael Obersteiner and Ivan A. Janssens
人間活動の結果生物が利用可能な炭素や栄養塩(窒素やリン)の濃度が増加しているが、それぞれ異なる増加率をもっているために、アンバランスとなっている。生物地球化学的モデルを用いて、陸および海のリン循環・リン/窒素比を評価。アンバランスによって今世紀中に炭素貯蔵能力が低下する可能性が示唆された。またリン肥料の生産力が増加しない限り、途上国における栄養失調は増加する可能性が示唆。

Increases in terrestrially derived carbon stimulate organic carbon processing and CO2 emissions in boreal aquatic ecosystems
Jean-François Lapierre, François Guillemette, Martin Berggren and Paul A. del Giorgio
近年北半球の陸地から海へともたらされる溶存有機炭素(DOC)は増加しており、それがさらなるCO2排出へと繋がっていると考えられているが、そのメカニズムはあまりよく分かっていない。カナダ北極圏の数百の湖や河川などにおいてDOCとCO2のフラックスとの間に因果関係が見いだされた。陸からもたらされる有機炭素の分解に変化が生じることで、沿岸部の生態系からのCO2排出もまた大きく増加する可能性がある。

23 December 2013
Spatial optimization of carbon-stocking projects across Africa integrating stocking potential with co-benefits and feasibility
Michelle Greve, Belinda Reyers, Anne Mette Lykke and Jens-Christian Svenning

2013年12月29日日曜日

新着論文(NCC#Jan2014)

Nature Climate Change
Volume 4 Number 1 (January 2014)

Editorials
Too little, too late?
少なすぎる?それとも遅すぎる?
ワルシャワでの気候変動枠組み条約会議では気候変化への取り組みに対する世界の同意はほとんど得られなかった。

Blind stock-taking
ブラインドの実績調査
過去6ヶ月にわたって、Nature Climate Change誌は査読者にも誰の論文かを伝えないダブル・ブラインド方式のピアレビューを採用した。その試験的試みに対する予察的な発見を述べる。

Commentaries
Ruminants, climate change and climate policy
反芻動物、気候変化、気候政策
William J. Ripple, Pete Smith, Helmut Haberl, Stephen A. Montzka, Clive McAlpine & Douglas H. Boucher
食肉用の反芻動物の飼育はかなりの量の温室効果ガスを排出している。その家畜数の全球的な削減は気候変化緩和に対してかなりの効果があり、社会的・環境的な他の恩恵も生み出すことになる。

Social learning and sustainable development
社会学習と持続的発展
Patti Kristjanson, Blane Harvey, Marissa Van Epp & Philip K. Thornton
社会学習が気候変化の適応・緩和の科学に対して何を与えるかを理解するためにも、適切な証拠を積み上げる必要がある。

Policy Watch
Climate policy confronts competitiveness
気候政策が競争力と対峙する
ヨーロッパは経済競争力を危機にさらすことなく効果的に気候・環境・エネルギー政策に対処する必要がある。Sonja van Renssenは産業界から聞こえる心配の声を調査している。

Research Highlights
Prey detection capacity
獲物探しの能力
J. R. Soc. Interface http://dx.doi.org/10.1098/ rsif.2013.0961 (2013)
気候変化が生物季節学に影響を与えている。温度変化とコウモリのエコロケーションを利用した獲物検出能力との関係をモデリングしたところ、使用する周波数に応じて検出能力が増加したり減少したりすることが分かった。競合者や獲物との関係性に気候変化が影響する可能性がある。

Lack of coverage
扱い範囲の不足
Q. J. R. Meteorol. Soc. http://doi.org/qbj (2013)
アフリカ地域は近年急速に温暖化しているが、観測が少なく、全球の温暖化の推定の不確実性を増加させている。新たな推定方法からデータがない地域についても推定ができるようになり、データを全く使用しない方法よりも、より良い温度復元が可能になるという。それによると近年の温暖化の傾向は過小評価されている可能性があるという。

Ice reflections
氷の反射
Remote Sens. Environ. 140, 604–613 (2014)
北極の海氷がどれだけの光を反射するかを正確に知ることは、地球の熱収支と放射バランスを考える上で非常に重要である。現在は人工衛星からリモセンで観測しているが、そうした方法は雲被覆や太陽高度の関係で極めて平均化された・限られたものとなってしまうという問題がある。マイクロ波を利用した方法から、そうした問題を解決できる可能性が示された。

Pesticide taxes
殺虫剤税
Clim. Change Econ. 4, 1350008 (2013)
気候変化と農業政策に関して。殺虫剤税の導入が農業生産にかかるコストを増加させる一方で、市場による価格の適切化によって農家は逆に得をする可能性などがモデルシミュレーションから示唆。

Dengue drivers
デング熱の駆動力
PLOS Negl. Trop. Dis. 7, e2503 (2013)
デング熱の伝播には気候に関連した要因、社会経済的状態などが関与していると考えられるが、特に気候に関する要因についてはよく分かっていない。メキシコを対象にした23年間のデータの解析から、20℃を超す気温がデング熱の発生を増加させていることが分かった。また降水量も550mm以下までは増加させていることが示された。さらに将来予測の結果からは、気候変化だけで、2080年までにデング熱の発生件数が40%増加する可能性も示唆された。

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Research
News and Views
Atmospheric science: Long-range linkage
大気科学:長い範囲の関係性
James E. Overland
Tang et al.の解説記事。
北極域の海氷や雪被覆の後退が、大気循環への影響を通じて中緯度域の極端な気象現象に影響を及ぼしていることが示唆された。
>関連した記事(Nature#7479 "RESEARCH HIGHLIGHTS")
Melting ice spurs wild weather
氷の融解が野性的な天気を加速する
中国の気象学者らは、気象記録と最近の北極海の海氷や雪の記録とを比較したところ、北極の海氷後退に伴い、大気循環パターンに変化が見られることを見つけた。例えば、ジェット気流がより北側にシフトしていることなど。こうした変化が2012年のアメリカで見られたような、北半球中緯度域の夏の異常気象の原因になっていると示唆している。

Atmospheric science: Glaciers between two drivers
大気科学:二つの駆動力の間の氷河
Horst Machguth
Mölg et al.の解説記事。
ヒマラヤ地域の山岳氷河にはモンスーンが大きな影響を及ぼしていると考えられてきたが、新たな研究は偏西風もまた重要な役割を負っていることを示唆。

Game theory: Tipping climate cooperation
ゲーム理論:気候の協力を予想する
Timothy M. Lenton
Barrett & Dannenbergの解説記事。
将来起きる逆転不可能な気候変化に対する早期警告システムは、社会に対してそれを回避するための行動を促すことは可能だろうか?行動を起こさせるためには、第一に「いつ転換が起きるのか」に関する不確実性を減少させる必要があることを新たな研究は示唆している。

Perspectives
Global warming and changes in drought
地球温暖化と干ばつの変化
Kevin E. Trenberth, Aiguo Dai, Gerard van der Schrier, Philip D. Jones, Jonathan Barichivich, Keith R. Briffa & Justin Sheffield
近年の研究から、気候変化が干ばつに与える影響に対して相反する結果が得られている。そうした不一致の原因を特定するために、干ばつ指数と観測記録とをレビュー。どのように干ばつが変化しつつあるのかを知るには降水データの質と範囲を改善し、自然の変動をよりよく定量化する必要がある。

Impact of delay in reducing carbon dioxide emissions
二酸化炭素排出削減が遅れることの影響
Myles R. Allen & Thomas F. Stocker
 最近報告された、CO2排出に対する低い気候感度はこれまで考えられてきたよりも排出削減の必要性が緊急でないことを示唆している。
 排出削減が遅れた場合に、約束された温暖化のピークの程度が増加するかを評価。現在観測されている温暖化の速度よりも早く、積算のCO2排出量に沿って温暖化のピークが増加することが示唆。

Review
Pervasive transition of the Brazilian land-use system
ブラジルの土地利用システムに浸透する変化
David M. Lapola, Luiz A. Martinelli, Carlos A. Peres, Jean P. H. B. Ometto, Manuel E. Ferreira, Carlos A. Nobre, Ana Paula D. Aguiar, Mercedes M. C. Bustamante, Manoel F. Cardoso, Marcos H. Costa, Carlos A. Joly, Christiane C. Leite, Paulo Moutinho, Gilvan Sampaio, Bernardo B. N. Strassburg & Ima C. G. Vieira
ブラジルの土地利用の変化と温室効果ガス排出の関係性をレビュー。過去数十年間に農業が増強されたにもかかわらず、森林破壊は減少したため、結果として温室効果ガス排出量は減少した。しかしながら、地方から都市部への人の流入に後押しされる「土地所有の不平等」や「都市の成長」が政策決定者の頭を悩ませ続けている。

Letters
Sensitivity of collective action to uncertainty about climate tipping points
気候の転換点に関する不確実性に対する集団行動の感度
Scott Barrett & Astrid Dannenberg
気候変化に対する早期警告システムは「危険な気候変化の開始時期に関する不確実性」が減少したときにのみ実効性を持つことが示唆。

Continued global warming after CO2 emissions stoppage
CO2排出が止まってからも継続する地球温暖化
Thomas Lukas Frölicher, Michael Winton & Jorge Louis Sarmiento
人為的なCO2排出が止んだとしても、速やかに温暖化が停止するわけではない。地球システムモデルを用いた研究から、初期の温度低下ののちにも温暖化が生じる可能性が示唆。原因としては海洋の熱吸収能力の低下が考えられ、大気中のCO2が減少し、温室効果が減少したとしても海と大気の熱交換が地表面気温に影響するためである。
>Nature姉妹紙 ハイライト
地球温暖化は止まらない

Extreme summer weather in northern mid-latitudes linked to a vanishing cryosphere
消えつつある雪氷圏と関連した北半球中緯度の極端な夏の気象
Qiuhong Tang, Xuejun Zhang & Jennifer A. Francis
 過去10年間には前例のない夏の気象イベントの発生数が異常に多かった。同時に北極圏の海氷も急速に後退しているが、その因果関係については不確かなままである。
 人工衛星による北極圏の雪と海氷の被覆度の観測記録と、大気循環の逆解析記録から、それらの間に相互作用があることが確認された。特に海氷の影響が、消失の範囲は雪の2分の1であるにもかかわらず大きいことも分かった。ジェット気流がより北方に位置していることが、気象配置の固定の期間を長くし、極端な気象現象の発生確率を高めていると推定されている。
>Nature姉妹紙 ハイライト
高緯度域の雪と氷の減少が中緯度域の熱波と結び付いている

High Arctic wetting reduces permafrost carbon feedbacks to climate warming
北極圏高緯度の湿潤化が気候の温暖化に対する永久凍土の炭素フィードバックを低下させる
M. Lupascu, J. M. Welker, U. Seibt, K. Maseyk, X. Xu & C. I. Czimczik
グリーンランド北西部で行われた長期的な気候操作実験から、北極圏高緯度の反砂漠地域の炭素の吸収能力は、温暖化と湿潤化が組み合わさると増加することが示された。将来地球が温暖化してもこれらの地域は依然として大きな炭素の吸収源として振る舞う可能性が示唆される。

Partial offsets in ocean acidification from changing coral reef biogeochemistry
変化しつつあるサンゴ礁の生物地球化学による部分的な海洋酸性化の緩和
Andreas J. Andersson, Kiley L. Yeakel, Nicholas R. Bates & Samantha J. de Putron
 サンゴ礁内と外洋の炭酸系は全く異なるものであり、海洋酸性化の下でも同じように振る舞うわけではない。サンゴ礁内では生物総一次生産(NEP)・総石灰化量(NEC)・生物群集・海水の滞留時間などが複雑に絡み合っているために、非常に不均質になっている。
 バミューダ海域のサンゴ礁における観測から、サンゴ礁内の2100年に予想される海洋酸性化に伴うpHとΩの低下はそれぞれ平均して12-24%、15-31%緩和される可能性が示唆。
[以下は抜粋]
Consequently, if the relative contribution of NEC and NEP and the subsequent changes in TA and DIC were to change owing to future natural or anthropogenic perturbations, the resulting seawater Ω (and pH) will be different from that predicted by oceanic uptake of anthropogenic CO2 alone.

...both NEC and NEP may be affected by the fundamental changes in seawater CO2 chemistry arising from ocean acidification, but the exact responses remain to be characterized.

...it is reasonable to assume that net CaCO3 dissolution during winter in Bermuda will gradually increase as the oceans continue to acidify, with dissolution events persisting over longer time periods and at a greater magnitude owing to lower Ω.

It is important to recognize that even partial restoration of seawater pH and Ω as a result of changes to the NEC and NEP balance implies major alterations to the community composition, net reef accretion, and the function and role of coral reef ecosystems relative to today.

Resilience and signatures of tropicalization in protected reef fish communities
保護された礁の魚集団の熱帯化の耐性と特徴
Amanda E. Bates, Neville S. Barrett, Rick D. Stuart-Smith, Neil J. Holbrook, Peter A. Thompson & Graham J. Edgar
気候変化によって海洋の生態系が脅かされている。温暖化した環境下でも、海洋保護区は大型生物の多様性と豊富さを維持できる可能性が示唆。漁業が行われている場所と比較すると、生息範囲を変化させる種の侵入からも守ることができることが示唆。

Article
Mid-latitude westerlies as a driver of glacier variability in monsoonal High Asia
モンスーン性の高地アジアにおける氷河変動の駆動力としての中緯度の偏西風
Thomas Mölg, Fabien Maussion & Dieter Scherer
アジア高地の氷河の変動には熱帯性のモンスーンが主要な原因を担っていると考えられてきた。チベット平原南部の氷河の質量収支計算から、中緯度の偏西風とモンスーンが5〜6月にもたらす降水が原因であることが示唆され、中緯度の気候にもより注目を寄せる必要があることを示している。

2013年12月22日日曜日

新着論文(Science#6165)

Science
VOL 342, ISSUE 6165, PAGES 1405-1544 (20 DECEMBER 2013)

Breakthrough of the Year
Cosmic Particle Accelerators Identified
銀河線の加速器が特定された
NASAのγ線望遠鏡がスーパーノバからの高エネルギー粒子を検出。

Newcomer Juices Up the Race to Harness Sunlight
新入りが太陽光を動力化することのレースをさらに熱くする
4年前は太陽電池の発電効率は3.8%程度であったが、新たに開発された、簡単に作れるペロブスカイト結晶は15%もの発電効率を有することが分かった。現在利用されているシリコンの半導体を利用した太陽光パネルは作るのも手間で高価である。従来のものとのハイブリッドも開発途中で、室内実験からは最大で30%の発電効率が報告されている。

Siberian Meteor Blast Delivers a Warning Shot
シベリアの隕石爆風が警告弾を届ける
2月のチェリャビンスクの隕石衝突イベントは地球に接近する小天体の再評価の必要性を世間に知らしめる結果となった。爆発はおおよそTNT500kt相当で、長崎型原爆の23倍のエネルギーを発した。

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Editors' Choice
Sharks Love Their Country
サメは自らの故郷を愛する
Mol. Ecol. 10.1111/mec.12583 (2013).
レモンザメ(lemon shark; Negaprion brevirostris)を対象にした19年間にわたる調査から、6匹の追跡されたサメが例外なく繁殖のために生まれた地に戻っていることが分かった。
>関連した記事(Nature#7478 "RESEARCH HIGHLIGHTS")
Sharks never forget home
サメは故郷を決して忘れない
1995年から2012年にかけてバハマで行われたレモンザメ(lemon sharks; Negaprion brevirostris)のDNAの分析から、1993-1998年の間に生まれたメスのサメが出産のために生まれた地へ戻っていたことが分かった。サメでそうした里帰りの例が示されたのは初だという。ある特定の出産地があるらしく、そうした地域は漁業禁止区域に設定するなど、保全に向けた努力が必要となる。

Bright Young Thing
Astrophys. J. 779, 171 (2013).
中性子星を含む連星系Circinus X-1は宇宙でもっとも強いX線を発している。観測から、中性子星が超新星残骸に覆われていること、わずか4,600年以内にできたものであることが分かった。

News of the Week
Port Plans Cast Shadow On Iconic Reef
港の計画がアイコン的なサンゴ礁に影を落とす
グレートバリアリーフに世界最大の石炭の輸送港が建設されようとしている。建設が実現すれば、300万立方メートルの土砂が世界遺産でもあるサンゴ礁のどこかに捨てられることになる。

China Scores Lunar Touchdown
中国が月への着陸に成功
打ち上げから12日後、中国のChang’e-3が月への軟着陸に成功した。降り立った探査機Yutuはこれから3ヶ月間、月の表面や地殻の組成を調べる。
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
中国月面着陸までの37年の空白

A Makeover for Big Screen Dinos
大スクリーンのディノサウルスのイメチェン
映画「Walking with Dinosaurs」に登場するディノサウルスの姿形は科学者の監修に基づいており、すべての最新科学が反映されているわけではないが、最近の科学もうまく取り込まれている。

News & Analysis
Mega-Eruptions Drove the Mother of Mass Extinctions
超巨大噴火が大量絶滅のきっかけを作った
Richard A. Kerr
ペルム紀・三畳紀境界(P/T境界)の地球史上最大の大量絶滅イベントの原因はシベリアの地で200万年間にわたって続いた大規模な火山活動である可能性の強い裏付けが得られた。最初の噴火は2億5228万年前と推定され、大量絶滅は2億5194万年前〜2億5188万年前の間に起きたとされている。火山から放出されたCO2によって地表面気温が8-10℃上昇したと推測されている。また「酸性雨」や「石炭が燃える際に発生した有毒物質(シベリア玄武岩は石炭層を貫いている)」もまた絶滅に一役買った可能性がある。
>関連した記事(Nature#7478 "RESEARCH HIGHLIGHTS")
Clues to extinction in lava gases
溶岩のガスの中に見つかった絶滅のヒント
Geology http://doi.org/p7s (2013)
2億5300万年前のペルム紀末の絶滅イベントはシベリアにおける巨大な火山噴火を伴っていたことが知られている。しかしその因果関係についてはまだはっきりと分かっていない。シベリアの溶岩の中のガスの分析結果とモデルシミュレーションを組み合わせることで、CO2やSO2といった酸性ガスが強烈な酸性雨を降らせ、さらにクロロメタンがオゾン層を破壊したことが絶滅に寄与した可能性が示唆。

Money Woes Cloud Future of Workhorse U.S. Telescopes
資金難がアメリカの望遠鏡施設の未来を翳らせる
Yudhijit Bhattacharjee
アメリカ科学財団の予算削減の関係で、5つの光学・電波望遠鏡施設が今後3年内に閉鎖される可能性がある。

Letters
Sea-Level Rise by 2100
2100年までの海水準上昇
John A. Church, Peter U. Clark, Anny Cazenave, Jonathan M. Gregory, Svetlana Jevrejeva, Anders Levermann, Mark A. Merrifield, Glenn A. Milne, R. Steven Nerem, Patrick D. Nunn, Antony J. Payne, W. Tad Pfeffer, Detlef Stammer, and Alakkat S. Unnikrishnan
R. A. KerrはIPCC AR5(気候変動に関する政府間パネル第5次報告書)の要約において、将来の海水準上昇予測に対して「2100年までに40-60cmの上昇で、最悪の場合1mと予測される。今回得られた予測値は前回のAR4よりは大きくなったが、1〜2mという数字からははるかに小さい」という風に表現しているが、AR5の海水準上昇に関する章の編集を担当したものとして、この価を評価する上でのいくつかの注意点を述べる。
まず2100年頃の海水準上昇速度は年間8-16mmと予測され、この値は20世紀の上昇速度の平均値の10倍もの大きさを持っている。
予想される値は西南極氷床の急激な崩壊によっては上乗せされる可能性がある。しかしながら現在の知識ではまだ氷床の安定性やその海水準上昇への寄与はっきりと分かっていないため、AR5では含められていない。
[以下は抜粋]
For policy and planning purposes, it may be necessary to adopt particular numbers as an upper limit, but according to our assessment, the current state of scientific knowledge cannot give a precise guide.
>話題の記事(Science#6154 "News & Analysis")
The IPCC Gains Confidence in Key Forecast
IPCCがカギとなる予測に対する確信を得る
Richard A. Kerr

Credit for Impact Theory
衝突理論に対する信頼性
H. Jay Melosh, David J. Stevenson, and Robin Canup
月の形成理論を作った人々に関して。

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Research
Research Articles
Constraining Exoplanet Mass from Transmission Spectroscopy
電子透過分光によって系外惑星の質量を制約する
Julien de Wit and Sara Seager
系外惑星の質量は、大気の特性から求めることが可能かもしれない。

2013年12月19日木曜日

新着論文(Nature#7480)

Nature
Volume 504 Number 7480 pp331-476 (19 December 2013)

EDITORIALS
Sink or swim?
のるかそるか?
 土地利用変化が温暖化に与える影響を推定するには、そのモニタリング法の再考が必要である。例えばロシアの土地利用変化はソ連崩壊まではほとんどデータが公開されておらず、今も不明なものが多いが、近年の推定値は従来の推定値から大幅に異なっている。ロシアをはじめとする東ヨーロッパの土地は陸域の炭素吸収源として大きな働きを負っていると考えられているものの、データの不確実性が大きい。
 ソ連崩壊後放棄された農地は炭素の重要な吸収源として寄与している。しかし、一方で世界の食料需要は増す一方であり、農地の復活が議論されている。ただし、農地が再度耕されると炭素が二酸化炭素として大気へと放出され、温暖化に寄与すると考えられる。
[以下は抜粋]
A matter so central to predicting the rate of global warming deserves more attention. But existing remote-sensing technology offers relatively coarse observations of land cover and land-use change, which means that assessments are often little more than good guesses.

RESEARCH HIGHLIGHTS
Galactic clouds swathed in fog
霧に包まれる銀河の雲
Astrophys. J. 779, 42; 43; 44; 45; 46 (2013)
星が生まれる場である分子雲では、水素の霧が雲と相互作用をしていることが観測から明らかに。

Volcanic lightning made in the lab
実験室で作られた噴火雷
Geology http://doi.org/qfz (2013)
ドイツの研究者らは室内で火山噴火を模した噴出装置を作成し、火山噴火に伴う雷を再現することに成功した。噴火時の電荷を帯びた粒子とジェットとが雷の原因であると推測され、細かい粒子が多いほど雷がより多く発生したという。

SEVEN DAYS
※今回は省略

NEWS IN FOCUS
Seabed scars raise questions over carbon-storage plan
海底の傷が炭素貯留計画に疑問を投げかける
Richard Monastersky
北海油田の有望なCO2貯留リザーバーにて予期せぬ割れ目が発見され、リークの経路になる可能性が浮上している。

EU fishing vote foments anger
ヨーロッパの漁業に関する投票が怒りを煽る
Daniel Cressey
深海漁業を禁止できなければ、脆弱な生態系が危機にさらされるだろう、と研究者らは言う。

Quandary over Soviet croplands
ソビエトの耕作地をめぐる迷い
Quirin Schiermeier
研究者らは東ヨーロッパの放棄された土地を再度耕すか、それとも炭素吸収源として残すかを熟考している。

365 days: 2013 in review
365日間:2013年のレビュー

WAVERING ATMOSPHERE
変動する大気
水銀条約を除き、今年はほとんど環境に関する重要な条約は採択されなかった。5月には大気中のCO2濃度は400ppmに達した。温暖化の寄与率はよく分からないが、台風ハイエンは記録的な風速で破滅的な被害をもたらした。ここ15年間の地球温暖化の停滞は深海による熱吸収の可能性が指摘され、再び温暖化に転じることが予測された。
[以下は抜粋]
It was no surprise when the Intergovernmental Panel on Climate Change warned in its latest report, published in September, that climate change “unprecedented over decades to millennia” is altering natural environments in ways that could affect billions of people.

THE FINAL FRONTIER
最後のフロンティア
惑星ハンター・ケプラー宇宙望遠鏡は5月にその役割を終えるまでに3,500もの太陽系外の惑星を特定した。火星の地上探査機キュリオシティーは4.5kmを踏破した。12月には中国が月に探査機を送り込み、史上3カ国目となった。NASAのボイジャーは太陽系を脱し、星間空間へと旅立った。

OPENING UP SCIENCE
科学を開けたものに
アメリカ政府は政府によって助成を受けている研究の成果は1年以内にすべてオープンアクセス化するように取り決めた。イギリスもただちにオープンアクセス化するように決めた。

IDENTITY PUZZLES
パズルを特定する
古代のDNA分析が可能になったことにより、人類の進化史も大きく揺さぶられている。

FEATURE
365 days: Nature's 10
365日間:Natureが選んだ10人
>Natureハイライト
この1年を語る10の物語

Michel Mayor
彼の研究チームが発見した系外惑星Kepler-78bはこれまでに見つかったなかでもっとも地球に似た惑星である。

Naderev Saño
ワルシャワにおける国連の気候変動枠組み会議の場で、世界の注目を集めたフィリピンの外交官。奇しくも会議中に母国フィリピンが超巨大台風ハイエンに襲われた。
[以下は抜粋]
The pace of international progress on global warming has been glacial. Despite more than two decades of negotiations, atmospheric carbon dioxide levels have continued to rise; in May, the daily average concentration topped 400 parts per million for the first time in Hawaii, where the longest-running record is kept.

Looking back, Saño is not sure what impact his speech had, but he argues that Typhoon Haiyan helped to put the international spotlight squarely on the climate issue.

Having done graduate work on climate and disaster response himself, he knows that scientists shy away from attributing any single weather event to global warming. But there is general agreement that warming oceans will fuel more energetic storms, he says, and extreme storms resonate in a way that scientific charts cannot.

Viktor Grokhovsky
今世紀最大の隕石衝突であったチェリヤビンスクの隕石を回収したロシアの学者。

Henry Snaith
ペロブスカイトを利用した太陽電池を開発した若干35歳のオクスフォード大の天才。

Ones to watch in 2014
2014年に注目すべき人たち
Chris Field
気候変化に関する政府間パネルの次の報告書の副議長。

Koppillil Radhakrishnan
インド初となる火星探査ミッションの責任者。

COMMENT
Conservation: The Endangered Species Act at 40
保全:絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律の制定から40年
アメリカ合衆国が1973年に制定した法律が「40年」という記念の年を迎えた。4人の専門家がこれまでの歩みと今後必要な変更をレビュー。

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RESEARCH
NEWS & VIEWS
Earth science: Erosion by cooling
地球科学:冷却による浸食
David Lundbek Egholm
Herman et al.の解説記事。
 地質学的過去の大陸の浸食を推定することは難しく、どのようにプレートテクトニクス・気候・地形が相互作用しているのかはよく分からないことが多い。600万年前に地球は寒冷化し始め、260万年前に始まる第四紀には極に氷床が形成され始めた。第四紀には海底に溜まる堆積物量が飛躍的に増加したことが知られているものの、推定法に偏りがないかといった批判がなされている。
 岩石の閉塞温度(closure temperature)を利用することで、全球の浸食速度の推定がなされた。その結果は、地球が寒冷化するとともに浸食速度が加速していたことを示していた。特に過去200万年間の中緯度域(30〜50º)の変化が著しく、おそらく氷河作用が原因と考えられている。ただし彼らの推定法は活発なテクトニクス的隆起と早い浸食が起きる地域にのみ適用できる方法であるため、長く議論されている「浸食を支配するするのは気候であるかテクトニクスであるか」という問題については決着はつかないままである。彼らの結果は「気候が浸食を支配する」という説明を裏付けている。

Space physics: A fast lane in the magnetosphere
宇宙物理学:磁気圏の追い越し車線
Mary K. Hudson
Thorne et al.の解説記事。
衛星観測とモデリングから、磁気圏での電子の加速に関する新知見が得られた。

LETTERS
Rapid local acceleration of relativistic radiation-belt electrons by magnetospheric chorus
磁気圏コーラスによる相対論的な放射線帯電子の急速な局所的加速
R. M. Thorne et al.
>Natureハイライト
磁気嵐の局所機構

Worldwide acceleration of mountain erosion under a cooling climate
寒冷化する気候のもとでの山脈の浸食の全球的な加速
Frédéric Herman, Diane Seward, Pierre G. Valla, Andrew Carter, Barry Kohn, Sean D. Willett & Todd A. Ehlers
 新生代の浸食速度の推定は堆積速度に大きく依存しており、テクトニクス的プロセスと気候とがそれぞれどの程度浸食に影響したかは不確かなままである。
 岩石の熱履歴を利用し、大陸の浸食速度の推定。600万年前に山脈の浸食速度が増加し、その後200万年前に急速に増加したことが示された。浸食速度は全緯度で増加しており、特に山岳部で顕著に増加していた。従って、新生代の浸食速度の増大は全球の寒冷化が原因であることが示唆。
>Natureハイライト
寒冷化した気候が山を動かす

2013年12月18日水曜日

新着論文(PNAS, SR)

PNAS
17 December 2013; Vol. 110, No. 51
Commentaries
Diatom traits regulate Southern Ocean silica leakage
Philip W. Boyd
[以下は抜粋]
Ocean circulation is a remarkable interconnecting conduit, such that biological pro- cesses occurring in the remote Southern Ocean can influence the regulation of pro- ductivity in Northern Hemisphere waters. Marine phytoplankton, despite their small size, play a disproportionately important role in setting the stoichiometric relationship be- tween elements such as nitrogen, phosphorus, carbon and silicon in the global ocean.

the Southern Ocean plays a fundamental role in setting the productivity of distant waters, such as the Equatorial Pacific, by controlling the leakage of waters with high Silicic acid:Nitrate ratios—the so-called silicic acid leakage hypothesis (SALH).

 In the Southern Ocean, abundant silicic acid may have resulted in the evolutionary development of “silica body armor” to deter grazers. Such armor requires a large amount of silica per diatom and hence when ecological stoichiometry gets altered at a cellular level, it is of regional (and later global) significance due to ubiquitous nature of these diatom groups that often bloom.

the trends from EIFEX also reflect the interplay of additional strategies in terms of diatom physiology, which set the timing of bloom dominance by different diatom species (growth rate), their fate (rapid growth leads to aggregation then export), and the interplay of factors controlling diatom succession (slow growth rate, ability to store iron, body armor) evident in both subarctic and polar waters.

Articles
Eating up the world’s food web and the human trophic level
Sylvain Bonhommeau, Laurent Dubroca, Olivier Le Pape, Julien Barde, David M. Kaplan, Emmanuel Chassot, and Anne-Elise Nieblas
人間の食物連鎖における順位(human trophic level; HTL)が設定されたことはない。アンチョビと同じ2.21という値が得られたが、肉をより消費する世界の動きを反映して、近年増加しつつある。

Sensitivity to ocean acidification parallels natural pCO2 gradients experienced by Arctic copepods under winter sea ice <OPEN>
Ceri N. Lewis, Kristina A. Brown, Laura A. Edwards, Glenn Cooper, and Helen S. Findlay
北極海の動物プランクトンはカイアシ類(ミジンコなど)が占めるが、それらの海氷の下での生態や海洋酸性化などに対する応答はよく分かっていない。冬期の調査と酸性化の再現実験から、鉛直方向の移動をする生態や、生息域の異なるpCO2の幅に応じて種ごとに応答が変化することが分かった。例えば、鉛直移動をするCalanus spp.にはほとんど影響は見られないが(>140μatmのpCO2変化幅)、表層に棲息するOithona similisは大きく影響を受けた(<75μatmのpCO2変化幅)。「すでに経験している自然のpCO2の変化幅が生物の将来の海洋酸性化の応答を決定する」という仮説を支持する結果となった。

Thick-shelled, grazer-protected diatoms decouple ocean carbon and silicon cycles in the iron-limited Antarctic Circumpolar Current <OPEN>
Philipp Assmy, Victor Smetacek, Marina Montresor, Christine Klaas, Joachim Henjes, Volker H. Strass, Jesús M. Arrieta, Ulrich Bathmann, Gry M. Berg, Eike Breitbarth, Boris Cisewski, Lars Friedrichs, Nike Fuchs, Gerhard J. Herndl, Sandra Jansen, Sören Krägefsky, Mikel Latasa, Ilka Peeken, Rüdiger Röttgers, Renate Scharek, Susanne E. Schüller, Sebastian Steigenberger, Adrian Webb, and Dieter Wolf-Gladrow
北大西洋では鉄が豊富なため、生物によって生産された有機物が活発に深層に輸送されているものの、深層循環を通じて全球の栄養塩サイクルを支配している南大洋においては鉄が欠乏しており、有機物があまり中・深層へと輸送されていない。南大洋において5週間に渡って行われた鉄肥沃実験(European Iron Fertilization Experiment; EIFEX)の結果を報告。より厚いシリカの殻をもった珪藻類が上位捕食者の攻撃にも耐え、シリカを通常通り深層へと輸送していることが分かった(silica sinkers)。一方、鉄肥沃実験の最初に増殖する殻の薄い種は短命ながら活発に有機物を輸送していることも分かった(carbon sinkers)。従って、ケイ酸塩濃度がもともと高い南大洋においては、供給される鉄の量はケイ素の輸送量には影響しないが、炭素の輸送量には影響することが示唆される(生物の炭素/ケイ素比に影響する)。

Scientific Reports
17 December 2013
A geological perspective on potential future sea-level rise <OPEN>
Eelco J. Rohling, Ivan D. Haigh, Gavin L. Foster, Andrew P. Roberts & Katharine M. Grant
氷期-間氷期スケールの海水準変動においては気候フォーシングに対する氷床の応答が決定的だったが、今では急速に上昇する大気中の温室効果ガスが支配的である。地質学記録を参考に、将来の海水準上昇の程度を予測。68%(95%)の信頼度で、2100年までに0.9 (1.8)m、2200年までに2.7 (5.0)mと予測される。現在の海水準の上昇速度は前例がないが、間氷期の海水準上昇の程度としては前例の範囲内に収まっている。極端な海水準上昇が起きる(破滅的な氷床崩壊や東南極氷床の不安定化など)閾値はおそらく大気中のCO2濃度が1,000ppmを維持するときであると思われる。
>関連した論文
Relationship between sea level and climate forcing by CO2 on geological timescales
Gavin L. Foster and Eelco J. Rohling
PNAS, 2013,  doi/10.1073/pnas.1216073110
Ka-Maスケールの海水準上昇変動は主として大陸の氷床量によって決定されている。過去40Maの重要な時期における海水準変動と大気中CO2の変動との間には明確な関係があり(S字状)、地質学時代においてもCO2が地球の気候を決定しており、海洋循環や地形はその次の変動要因であったことを物語っている。CO2と海水準上昇との間の関係から、将来CO2濃度が400 - 450 ppmになった場合、海水準は9 m上昇することが予想される。従って、CO2濃度を産業革命以前の値に戻すことが海水準の急上昇を防ぐためには必要である。

Shifts in coral-assemblage composition do not ensure persistence of reef functionality <OPEN>
Lorenzo Alvarez-Filip, Juan P. Carricart-Ganivet, Guillermo Horta-Puga & Roberto Iglesias-Prieto
世界中でサンゴ礁の被覆が減少し、種組成が変化しつつある。造礁サンゴの多くは減退すると思われるが、中にはより良く成長する種もあると思われる。そうした種の再構成がサンゴ礁としての生態系機能を維持できるかどうかをカリブ海のサンゴ礁を対象にして評価。サンゴの種組成の変化が全体としての石灰化量と凹凸度の減少に繋がる可能性が示された。地域的・全球的ストレス源を減らすことだけでなく、キーストーン種を保護することがサンゴ礁の未来のカギを握ると思われる。

2013年12月17日火曜日

新着論文(PNAS, GRL)

PNAS
10 December 2013; Vol. 110, No. 50
Articles
Anthropogenic emissions of methane in the United States
Scot M. Miller, Steven C. Wofsy, Anna M. Michalak, Eric A. Kort, Arlyn E. Andrews, Sebastien C. Biraud, Edward J. Dlugokencky, Janusz Eluszkiewicz, Marc L. Fischer, Greet Janssens-Maenhout, Ben R. Miller, John B. Miller, Stephen A. Montzka, Thomas Nehrkorn, and Colm Sweeney

Atmospheric deposition of methanol over the Atlantic Ocean
Mingxi Yang, Philip D. Nightingale, Rachael Beale, Peter S. Liss, Byron Blomquist, and Christopher Fairall

GRL
Systematic ENSO-driven nutrient variability recorded by central equatorial Pacific corals
Michèle LaVigne, Intan S. Nurhati, Kim M. Cobb, Helen V. McGregor, Daniel Sinclair, Robert M. Sherrell
Christmas・Fanning島から得られたハマサンゴP/Caを用いて過去20年間のENSO変動(栄養塩変動)を復元。97/98エルニーニョの際には40%の低下が確認された。サンゴだけでなく他の植物プランクトンも栄養塩を取り込むため、イベントの記録には多少の時間的差異が生じる。

Hysteresis between coral reef calcification and the seawater aragonite saturation state
Ashly McMahon, Isaac R. Santos, Tyler Cyronak, Bradley D. Eyre
多くの海洋酸性化のサンゴ礁への影響評価はアラゴナイト飽和度と生態系全体の石灰化量の間に線形関係を仮定している。しかし、GBRのサンゴ礁においては両者の間にヒステレシスが見られることが確認された。

The influence of recent Antarctic ice sheet retreat on simulated sea ice area trends
N. C. Swart, J. C. Fyfe 
近年融解する南極氷床が南大洋をより低塩分にしている。モデルシミュレーションから、淡水フラックスが海氷の変化にあまり影響していない可能性が示唆。

The role of CO2 variability and exposure time for biological impacts of ocean acidification
Emily C. Shaw, Philip L. Munday, Ben I. McNeil 
現在の海洋酸性化の生態系影響評価には炭酸系の自然変化(日・月変化など)の期間や規模は考慮されていない。これまでのサンゴ礁に棲息する魚を対象にした酸性化実験の結果から、室内実験で確認されているような負の影響が見えるには、現在の暴露時間(exposure time)は不十分である可能性が示唆。CO2変動の期間や規模をしっかりと考慮する必要がある。

Modeling evidence that ozone depletion has impacted extreme precipitation in the austral summer
S. M. Kang, L. M. Polvani, J. C. Fyfe, S.‒W. Son, M. Sigmond, G. J. P. Correa
>関連した記事(Ngeo#Sep2013 "Research Highlights")
Ozone-induced extremes
オゾンが招く異常
過去数十年間に南半球の嵐や降水バンドが南へとシフトしているが、それは南極のオゾン層と深く関係していることがモデルシミュレーションから明らかに。1970年代以降、南半球の亜熱帯域の大雨の頻度と強度が増加していることが示された。一方で中緯度のそうした現象は減っているらしい。

Paleogeographic controls on the onset of the Antarctic circumpolar current
Daniel J. Hill, Alan M. Haywood, Paul J. Valdes, Jane E. Francis, Daniel J. Lunt, Bridget S. Wade, Vanessa C. Bowman 
E/O境界の全球の寒冷化には南極周局流が大きな役割を負っていたという説が提唱されている。モデルシミュレーションを用いて、当時の大陸配置的に南半球を取り巻く南極周局流が存在できなかったことが示唆。オーストラリア大陸がより北上し、Tasman海路が開けて初めて南極周局流が形成され始めたと考えられる。

Reversing climate warming by artificial atmospheric carbon-dioxide removal: Can a Holocene-like climate be restored?
Andrew H. MacDougall 
>関連した記事(Science#6163 "Editors' Choice")
Forward into the Past
過去へと進む
大気へのCO2排出が止んでも、それが気候に与える影響はしばらく止むことはない。現実的なCO2大気捕獲の地球工学によって、「気候を完新世の代表的な値に安定化させるにはどれほどの時間を要するか」を気候モデルを用いて評価したところ、産業革命前の気温に戻るのは、もっとも遅くて西暦3000年になることが計算された。さらに氷床量や海水準の回復には気温よりも多くの時間を要することが示された。従って、極端な地球工学を採用し大気中のCO2濃度を元に戻したとしても、少なくとも数百年間はその影響が残ることを示している。

Assessing the potential of calcium-based artificial ocean alkalinization to mitigate rising atmospheric CO2 and ocean acidification
Tatiana Ilyina, Dieter Wolf-Gladrow, Guy Munhoven, Christoph Heinze
石灰岩などを海に撒くことで海をよりアルカリ性にし、海洋酸性化を食い止めるという地球工学が提唱されている。モデルを用いて、そうしたアルカリ化の効果が確かにあり、大気中CO2濃度や海水pHが何もしない場合のレベルへと変化しないことが分かった。大規模に行った場合、産業革命以前の海水pHまで上昇させることが可能で、海によるCO2吸収能力も向上する。一方、小規模にやった場合には場所によっては海洋酸性化を打ち消すことができる。

Energy balance in a warm world without the ocean conveyor belt and sea ice
Aixue Hu, Gerald A. Meehl, Weiqing Han, Jianhua Lu, Warren G. Strand 
最も極端な温暖化シナリオでは、全球の平均温度は10度上昇し、北極の海氷は消滅し、海のコンベアベルトも崩壊すると思われる。そうした際には子午面方向に北向き熱輸送は60%低下することがモデルシミュレーションから示された。

2013年12月16日月曜日

新着論文(Geology, Ncom)

Geology
1 December 2013; Vol. 41, No. 12
Articles
Tectonic forcing of Early to Middle Jurassic seawater Sr/Ca
Clemens V. Ullmann, Stephen P. Hesselbo, and Christoph Korte
イギリスとポーランドの地層中のベレムナイトと牡蠣の殻のSr/Ca測定から、ジュラ紀の海水のSr/Caを推定。既に知られている当時の海水の87/86Srと同期して変動しており、大陸風化と熱水フラックスの2つで説明がつくという。従って、テクトニクス的プロセスが海水に住む生物の殻の結晶がカルサイトかアラゴナイトかを決定していたと考えられる。

Late Cretaceous winter sea ice in Antarctica?
Vanessa C. Bowman, Jane E. Francis, and James B. Riding
白亜紀後期は温室世界であり、南極に氷河が存在したことの直接的な地質学記録は得られていない。Seymour島から得られた渦鞭毛藻類の胞子記録から、海氷の存在が示唆される。当時短期的には南極に氷床が発達していたかもしれない。

Volcanic ash reveals time-transgressive abrupt climate change during the Younger Dryas
Christine S. Lane, Achim Brauer, Simon P.E. Blockley, and Peter Dulski
YDの際には陸域の記録は2つのフェーズで1,100年間に及ぶ北大西洋の気候変動があったことが知られている。2つ目のフェーズはAMOCの改善に関連していたことだが、イベントそのものは急激に終了したものの、ヨーロッパ全土では時間に差があったことが火山灰を利用した高精度の年代決定から示唆される。極前線(polar front)の位置が次第に変化したことがその原因として考えられる。

Nature Communications
4 December 2013
特になし

11 December 2013
Rapid interhemispheric climate links via the Australasian monsoon during the last deglaciation
Linda K. Ayliffe, Michael K. Gagan, Jian-xin Zhao, Russell N. Drysdale, John C. Hellstrom, Wahyoe S. Hantoro, Michael L. Griffiths, Heather Scott-Gagan, Emma St Pierre, Joan A. Cowley and Bambang W. Suwargadi
東南アジアの鍾乳石を用いて過去31kaの降水量変動・モンスーン変動を復元。17.6-11.5kaの北大西洋の寒冷化イベントに同期して、オーストラリア・インドネシアモンスーンがより南下していたことが示唆。最も大きなシフトはHS1のときであった。

Observed thinning of Totten Glacier is linked to coastal polynya variability
A. Khazendar, M.P. Schodlok, I. Fenty, S.R.M. Ligtenberg, E. Rignot and M.R. van den Broeke
Totten氷河は東南極氷床の中ではもっとも多くの氷河を流出しているが、近年次第に薄くなってきている。しかしそのメカニズムについてはよく分かっていない。リモセンのデータとモデルシミュレーションから、ポリニヤにおける海氷の生成が減少していることが原因と思われる。

2013年12月13日金曜日

新着論文(Science#6164)

Science
VOL 342, ISSUE 6164, PAGES 1281-1404 (13 DECEMBER 2013)

EDITORIAL:
Reading the Bones
骨を読む
George J. Armelagos
イタリアで発見された石灰岩の中に埋葬された(おそらく疫病が原因で1800年代中頃に死亡した)女性の骨から、過去の病気に関して考古学者が情報を引き出そうとしている。

Editors' Choice
Nanosilver Lining
ナノシルバー商品
Environ. Sci. Technol. 10.1021/es402510a (2013).
靴下から子供のおもちゃまで、最近では銀の微粒子が多く取り込まれていることが知られている。それらは環境中の微生物コミュニティー(汚染水の浄化やコンポストの生ゴミ分解など)に影響を与えていることが、生物分解の程度を比較した実験から実証された。

News of the Week
Scientists Oppose Secrecy Law
科学者らが秘密保護法に反対
日本政府が新たに制定した秘密保護法に対して、表現や研究の自由が損なわれる可能性があるとして、ノーベル賞受賞者をはじめとする科学者ら(益川敏英、白川英樹など)が11/28にそれに強く反対する声明を発表した。”秘密”の漏洩をした場合、最大で10年の禁固刑となる。定義が曖昧で政府の裁量に強く依存するとして、多くの人がその制定に反対していたものの、法案は12/6に通過した。
>より詳細な記事(Science Insider)
Over Scientists' Objections, Japan Adopts State Secrets Law

Reptiles Tout Alluring Snouts
爬虫類が魅惑的な鼻で誘う
インドで飼育されていたヌマワニ(mugger crocodiles; Crocodylus palustris)とルイジアナ州の野生のアリゲーター(alligators; Alligator mississippiensis)とに、枝を使って鳥をおびき寄せる行動が確認された。彼らは枝を巣作りに使う鳥を狙い、枝を鼻の上に載せて鳥を誘い出していた。
>より詳細な記事(ScienceShot)
First Example of Tool Use in Reptiles

News & Analysis
Lick Observatory in Trouble as Austerity Starts to Bite
経済政策の厳しさが迫るにつれてリック天文台が危機に
Yudhijit Bhattacharjee
予算削減によって、125年の歴史を持つカリフォルニア・サンジョゼにあるLick天文台のスタッフが削減され、閉鎖または公の博物館への切り替えに迫られている。

New Results Send Mars Rover on a Quest for Ancient Life
新たな結果が古代の生命を探しに火星探査機を送り出す
Richard A. Kerr
火星探査機キュリオシティーが最近送ってきた結果をもとに、科学者らは次の計画を練り上げている。次は火星に古代に棲んでいた可能性がある微生物の’分子化石(molecular fossils)’を探すことである。
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
着陸から1年半、キュリオシティの成果

Fossilized Teeth Offer Mouthful on Ancient Microbiome
化石化した歯が古代の口の中にマイクロバイオームが満ちあふれていたことを示す
Andrew Curry
人の歯石や化石化した糞に保存された微生物のDNA分析から、数百年、あるいは数千年前の人の身体の表面および内部に住んでいたバクテリア集団の記録が得られている。

Cavefish Study Supports Controversial Evolutionary Mechanism
洞窟魚の研究が議論を呼んでいる進化メカニズムを支持
Elizabeth Pennisi
解放された遺伝的変化が洞窟魚が目を急速に失くしたことの説明になるかもしれない。

Europe Readies Peerless Star Mapper
ヨーロッパの比類なき星の地図作製の準備ができた
Daniel Clery
もうまもなく打ち上がるヨーロッパの人工衛星Gaiaは数十億の星の動きと位置をこれまでにない精度で決定する。
>関連した記事(Nature#7469 "FEATURES")
Astrometry: Europe's star power
天文学:ヨーロッパの星の力
Devin Powell
まもなくESAがガイアを打ち上げる。宇宙の詳細な地図を作ること(20等級以下の約10億個の星の位置を調べること)がミッションの目標である。2013年11月にロシアのソユーズロケットを用いて打ち上げられる予定となっている。

News Focus
The Thousand-Year Graveyard
千年墓地
Ann Gibbons
科学者らは中世以降の病気や死に関する苦痛の歴史を紐解いている。

Letters
Finding Best Practices for Fossil Fuel Extraction
化石燃料採掘に対して最良の方法を見つける
Jessica L. Deichmann and Alfonso Alonso
非在来型の化石燃料(石油砂、シェールガス、コールベッドメタンなど)の採掘サイトでも同様に採掘が生物多様性に与える影響の評価がなされるべきだ。
[以下は抜粋]
Given the progress made thus understanding the effects of conventional petroleum extraction, we propose that applied ecological research for conservation should expand immediately to areas with proven nonconventional fossil fuel reserves (such as oil sands, oil and gas shale, and coal bed methane).
>関連した記事(Science#6157 "Policy Forum")
Biodiversity Risks from Fossil Fuel Extraction
化石燃料の抽出による生物多様性のリスク
N. Butt, H. L. Beyer, J. R. Bennett, D. Biggs, R. Maggini, M. Mills, A. R. Renwick, L. M. Seabrook, and H. P. Possingham
豊かな生物多様性と化石燃料の貯蔵庫とがかぶっているような地域は高いリスクを持っていると言える。

Policy Forum
What Role for Short-Lived Climate Pollutants in Mitigation Policy?
緩和策における短寿命の気候汚染物質の役割とは?
J. K. Shoemaker, D. P. Schrag, M. J. Molina, and V. Ramanathan
長寿命・短寿命の気候汚染物質に対して同時に対策が必要であるが、その際にCO2削減に対する行動を減じることがあってはならない。

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Research
Reports
Detection of a Noble Gas Molecular Ion, 36ArH+, in the Crab Nebula
かに星雲内部の希ガス分子イオン(36ArH+)の検出
M. J. Barlow, B. M. Swinyard, P. J. Owen, J. Cernicharo, H. L. Gomez, R. J. Ivison, O. Krause, T. L. Lim, M. Matsuura, S. Miller, G. Olofsson, and E. T. Polehampton

Phosphorus in the Young Supernova Remnant Cassiopeia A
若い超新星残骸であるカシオペア座Aの中のリン
Bon-Chul Koo, Yong-Hyun Lee, Dae-Sik Moon, Sung-Chul Yoon, and John C. Raymond

The Missing Mountain Water: Slower Westerlies Decrease Orographic Enhancement in the Pacific Northwest USA
失われつつある山間部の水:北西アメリカの太平洋沿岸部においてはより遅い偏西風が地形効果を減少させている
C. H. Luce, J. T. Abatzoglou, and Z. A. Holden
アメリカ北西部の山間部の河川流量の過去60年間の長期的な減少傾向はこれまで気温の上昇が原因と考えられてきた。新たな研究から、冬の偏西風と山間部の高地の降水量との間には強い相関が見いだされ、山間部の降水の変化が、河川流量の近年の減少の原因であることが示唆。同地域では温室効果ガスの増加とともに偏西風がさらに弱まると予測されており、さらに水循環に影響があると思われる。

Long-Term Dynamics of Adaptation in Asexual Populations
無性の集団内の長期的な適応の力学
Michael J. Wiser, Noah Ribeck, and Richard E. Lenski
環境に変化がなくとも、5万世代にわたって、バクテリアの進化的な適応度は増加し続ける。

2013年12月12日木曜日

新着論文(Nature#7479)

Nature
Volume 504 Number 7479 pp187-324 (12 December 2013)

RESEARCH HIGHLIGHTS
Bees are better for strawberries
ハチはイチゴにとっても良い
Proc. R. Soc. B http://doi.org/ qcg (2013)
ハチによる受粉は実のなりを良くするだけでなく、イチゴに関しては味も良くするらしい。自身による受粉をしたイチゴと風やハチによる受粉をしたイチゴとを比較したところ、後者の方が重く、赤く、寿命が長く、より望ましい糖分/酸比をもった実がなることが分かった。ホルモンに影響することが原因と考えられている。

Melting ice spurs wild weather
氷の融解が野性的な天気を加速する
Nature Clim. Change http://doi.org/qds (2013)
中国の気象学者らは、気象記録と最近の北極海の海氷や雪の記録とを比較したところ、北極の海氷後退に伴い、大気循環パターンに変化が見られることを見つけた。例えば、ジェット気流がより北側にシフトしていることなど。こうした変化が2012年のアメリカで見られたような、北半球中緯度域の夏の異常気象の原因になっていると示唆している。
>話題の論文
Extreme summer weather in northern mid-latitudes linked to a vanishing cryosphere
消えつつある雪氷圏と関連した北半球中緯度の極端な夏の気象
Qiuhong Tang, Xuejun Zhang & Jennifer A. Francis
 過去10年間には前例のない夏の気象イベントの発生数が異常に多かった。同時に北極圏の海氷も急速に後退しているが、その因果関係については不確かなままである。
 人工衛星による北極圏の雪と海氷の被覆度の観測記録と、大気循環の逆解析記録から、それらの間に相互作用があることが確認された。特に海氷の影響が、消失の範囲は雪の2分の1であるにもかかわらず大きいことも分かった。ジェット気流がより北方に位置していることが、気象配置の固定の期間を長くし、極端な気象現象の発生確率を高めていると推定されている。
>Nature姉妹紙 ハイライト
高緯度域の雪と氷の減少が中緯度域の熱波と結び付いている

Trio of distant quasars found
遠くにある3つ子のクエーサーが見つかった
Astrophys. J. 779, 24 (2013)
ヨーロッパのVIKING望遠鏡による調査から、活発な銀河の中心部にある3つのクエーサーが確認された。太陽質量の10億倍の質量を持ったブラックホールが中心にあると推定されており、ビッグバンからの宇宙の進化を知る手助けになるかもしれないという。
※クエーサーは宇宙誕生後10億年も経たないうちにでき始め、宇宙が20億~30億歳の頃に最も形成された天体。

Satellite improves storm forecasts
人工衛星が嵐の予測を改善する
J. Geophys. Res. Atm. 118, 11558–11576 (2013)
ハリケーンの予測には通常気象衛星によるリアルタイムのデータは使用されないが、フロリダ州立大の研究グループらはSuomi NPP衛星による気温と湿度のデータを利用したところ、サンディーをはじめとする2012年の4つのハリケーンの軌跡と強度の予測精度が増したことが示された。

Ancient reptiles stuck to the air
古代の爬虫類は空中に留まっていた
Palaeogeogr. Palaeoclimatol. Palaeoecol. http://doi.org/qcf (2013)
翼竜(プテロサウルスなど)は6,500万年前に絶滅したが、かつての海や湖で堆積した化石記録から、彼らはほとんどの時間を水の上では過ごしていなかったことが示された。恐竜の骨の密度や骨格の形状などをもとに彼らが水に浮かぶことができたかどうか(floating- pterosaur hypothesis)をシミュレーションしたところ、あまりに不格好な状態でしか浮かべなかったことが分かった。従って、あまりに多くの時間を水面で過ごすと危険が増したであろうことを示唆している。

Gas production contaminates water
ガス生産が水を汚染する
Environ. Sci. Technol. 47, 11849−11857 (2013)
ペンシルベニア州西部の石油・ガス生産所では、そこで発生した汚染水は浄化施設で処理されたのちに河川に流されている。しかしMarcellusシェールガス施設の浄化後の水を分析したところ、塩化物や臭化物と言った物質は浄化前よりも濃度が増していることが確認された。さらに処理施設周辺の堆積物中のラジウム放射能はバックグラウンドの200倍の高さで、規制値を上回っていた。排水が放出されるところに放射性物質が蓄積していることを示しており、さらなる汚染を防ぐための措置が必要とされている。

SEVEN DAYS
Palm-oil pledge
パーム油の誓約
シンガポールに籍を置く世界最大の農業企業Wilmar Internationalは森林破壊を伴うパーム油の生産または買い付けを今後一切行わないことを宣言した。

Saturn’s six-sided storm
土星の六角形の嵐
土星の北極に、1辺3万kmの六角形の巨大なジェット気流のパターンが発生し、NASAによる高解像度の動画が公開された。時速320kmの強烈な風が吹く姿がカッシーニによって撮影された。
>You Tube(動画)
Saturn's Unique Hexagon in Full View
Planetary hole
惑星の穴
NASAの惑星科学部門の予算の再編によって、太陽系部門は2015年まで予算の申請をできないことになり、苦しんでいる。
>より詳細な記事(Nature NEWS)
NASA funding shuffle alarms planetary scientists
Alexandra Witze

NEWS IN FOCUS
Fungus threatens top banana
真菌類がバナナを脅かす
Declan Butler
アフリカや中東で重要作物に破壊的な病気が進行するにつれ、ラテンアメリカの産業にも危機が迫っている。

Florida forecasts sinkhole burden
フロリダが陥落孔の負担を予測する
Alexandra Witze
炭酸塩の基盤の地下水による浸食などが原因で起きる、陥落孔(sinkhole)のハザードマップ作成に予測モデルが使えるかもしれない。

Food fuelled with fungi
真菌類によって助けられる食料
Nicola Jones
微生物の力を借りて作物をより強くする試みに対して、生態学者が評価を高めつつある。

India faces uphill battle on biodiversity
インドは生物多様性に関するやっかいな問題に直面している
T V Padma
生物種が豊かな山の保護を制限するようなインド政府の決定が、環境保護運動家を怒らせている。

Life possible in the early Universe
初期宇宙でも可能だった生命
Zeeya Merali
最初の星を周回する惑星もまた生命存在は可能だったかもしれないことが理論計算から明らかに。ビッグバンからわずか1,500万年後でも液体の水は存在した可能性があるという。

FEATURES
Earth science: Under the volcano
地球科学:火山の下で
Alexandra Witze
地球物理学者らはマントルプリュームの証拠を求めて全球を探しまわっている。それはメガ噴火の原因と推定されているものである。

CORRESPONDENCE
Marine infrastructure: NSF fleet vital for ocean science
海洋インフラ:海洋科学にとって必要不可欠なアメリカ科学財団の船団
Peter B. Ortner

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RESEARCH
NEWS & VIEWS
Extrasolar planets: Inner edge of the habitable zone
系外惑星:生命存在可能領域の内側の端
James F. Kasting & Chester E. Harman
Leconte et al.の解説記事。
太陽に似た星で、生命存在可能領域内に岩石惑星を有しているものの割合は、以前に推定されていたよりも少ない可能性が、三次元の気候モデルから示唆されている。

Astrophysics: Tracking our neighbours' past
宇宙物理学:我々の隣人の過去を辿る
Alan McConnachie
アンドロメダ銀河や天の川銀河周辺にある矮小銀河の集団動作は、理論に疑問を投げかけてきた。はるかな過去の銀河群間の相互作用が、こうした矮小銀河に影響を残しているのかもしれない。

REVIEW
An archaeal origin of eukaryotes supports only two primary domains of life
真核生物が古細菌起源であることは生物の基本的なドメインが2つだけだとする説を裏付ける
Tom A. Williams, Peter G. Foster, Cymon J. Cox & T. Martin Embley
これまで生命の樹は古細菌・真核生物・バクテリアの3つから成ると考えられ支持されてきたが、「真核生物は古細菌由来である」という証拠が蓄積するにつれて、「古細菌とバクテリア」という2つの界からなる生命の樹の猫像が生まれつつある。

LETTERS
Baryons in the relativistic jets of the stellar-mass black-hole candidate 4U 1630-47
恒星質量のブラックホール候補天体4U 1630-47の相対論的ジェットにおけるバリオン物質
María Díaz Trigo, James C. A. Miller-Jones, Simone Migliari, Jess W. Broderick & Tasso Tzioumis
ブラックホールの候補の一つ、X線連星系4U 1630-47から高速噴出されるジェットの放射とともに現れる、イオン化した原子のドップラーシフトの観測から、ジェットが光速の3分の2の速度で起きており、ジェットの中にはバリオンが含まれていることが示唆されている。

Increased insolation threshold for runaway greenhouse processes on Earth-like planets
地球上惑星における暴走温暖化過程の増加した日射閾値
Jérémy Leconte, Francois Forget, Benjamin Charnay, Robin Wordsworth & Alizée Pottier
3次元の気候モデルから、惑星から海がなくなるには、従来考えられていたよりも高い日射状態で、完全蒸発(complete vaporization)または蒸発散逸(evaporative escape)が必要となる可能性が示唆。大気の安定化作用が原因と思われる。
>Nature ハイライト
「暴走温室効果」が起こるのはもっと先のようだ

2013年12月9日月曜日

卒論・修論発表に向けてのアドバイス

修士論文や卒業論文の発表会に向けたアドバイス

久々に読み返してみて、再度触発されたので筆を取る次第です。

この方(京大の教員)のブログは比較的すべて読ませてもらっていますが、割と共感できる部分が多いので、よくTwitterなどでシェアさせてもらっています。

僕自身、プレゼンのコツなどと謳った記事を書いたりもしていますが、やはりまだまだ未熟者、先輩方には到底及びません。

ちょうど卒論・修論の発表前の追い込み時期ということもあり、最近思うことを書き記しておきます。

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・あまり多くを(マシンガンのように早く)語っても聴衆の興味は離れて行く

・「10話して5しか理解してもらえないよりは、6話して5理解してもらう」という気持ちで臨む

・1分も見せないスライドなどないほうがマシ!

僕自身は口べたでありますが、プレゼンに関しては割と高評価をいただいていると思います。

「面白い研究をしていますね」とお褒めの言葉をいただくことも多々あります。

それは何故か?これまでに教わった・学んだプレゼンのコツを掴んでいることが一因かもしれません。
(僕自身がやっている研究を誰よりも楽しんで話しているのも一因かもしれませんが)

自分の研究の面白さを他人にも共感してもらえることこそが、研究者冥利に尽きると思います。
逆にその面白さすら伝えられぬまま時間をいたずらに浪費することこそお互いの損というものです。

色々と細かい指摘はありますが、何としても念頭に置いておきたいのは、

プレゼンの対象


与えられた時間

の2つでしょうか。

「自分の研究がいかに素晴らしいか」、「解析手法がいかに誰よりも優れているか」

そんなものは正直自分自身の心に秘めておけば良いことであって、わざわざ高らかに語る必要はなく、それ以上に必要なのは、

「何故この研究をやっているのか」

「この研究が成功することで誰に利益があるのか」

「何が科学的に面白いのか」

「一体何がこの研究の新しいところで、今後どのように発展するのか」

を伝えることだと思います。

最低限、それがしっかりと説明できないと、その研究の意義はそれに明るくない人にとっては正直どうでもいいことです。

’自分自身が一番研究のことを分かっていること’は至極当たり前のことです。
基本的には自分以上に分かっている人など重鎮の教授を除いてはほとんどいないと考えていいでしょう。

そういった聴衆を前に、限られた時間の中で何を伝えるか。

僕ならやはり「何をしたか・何が優れているのか」よりも「何が面白いのか」を前面に押し出して発表をします。

もちろんどれほど語れるかは時間によります。

「伝えたいこと」と「最低限、説明しなければいけないこと」の配分には常に気を使う必要があります。

そういった状況のもと、聴衆に合わせて

「どれはしっかり説明する必要があって」、「どれは説明にわざわざ時間を割くほどのことではないのか」を見極めることが重要かと思います。
(というか、客観的に考えることさえできれば、すぐ分かりますよね)

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例えば、僕が所属するAORI海洋底科学部門の川幡・横山研のセミナーの場で、多くの人が精通している「炭酸塩を使った古気候学」のイントロをだらだらやることには何の意味もありません。

基礎知識に富んだ人がいる発表の場では、それよりも一歩踏み込んだ内容の説明に時間を割くべきです。

冗長で、発表時間がやたら長い発表など、わざわざ時間を割いて集まってくれている聴衆に対しても失礼ですし、僕なら即座にPCを開いてそれよりも面白い研究について勉強します。

先日の学会のプレゼン資料をそのままそっくり使い回すことなど以ての外です。

多くのプレゼンの場では質疑応答の時間が用意されていますが、その際に質問が多く来ないのには正負2つのパターンがあると言っていいと思います。

「非の打ち所がない研究なのか」

或いは

「発表が下手で何を指摘すれば良いのかすら分からないのか」
「多くを話しすぎたか、説明が稚拙で、プレゼンの途中で聴衆の興味が薄れてしまったか」

多くの場合、後者のパターンであることに注意する必要があります。

もちろん、ある程度質疑の内容を想定し、スライドや返答を用意する必要があります。

活発な議論の場からこそ、思いもしない、重要な意見も出るはずです。

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すべての研究が上手くいくとは限りません。

内輪の研究発表の場で「特に発表する内容もなく、いま行き詰まっています」という発表をする学生も多く見受けますが、それは分かっている人に相談すればいいことであって、多くの聴衆を前に発表することではありません。
(それしか発表することがない場合もありますが。僕もそういう時期を経験しました)

あと1ヶ月かそこらで一世一代の発表の場を迎える後輩諸君に対して伝えたいメッセージは、’必ずしも研究の達成度だけに拘らず、研究の面白さを伝えることに腐心して欲しい’ということでしょうか。

研究に終わりなどそう来るものではありません。多くの場合、不完全なまま、伝えられることだけを絞り出して伝えるのが研究の本質です。

逆にそれで完結してしまえば次の研究には繋がりませんし、科学はそんなに生易しい、単純なものでもありません。

僕自身、色々な人の文章やスライドを推敲しながら、いかにすれば研究の意義をうまく伝えられるかを考えながら生活しています。

師走とは良く言ったもので、いろいろなことに思いを馳せなければならない季節ですね。

2013年12月8日日曜日

気になった一文集(日本語 ver. No. 11)

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人を取り除けてなおあとに価値のあるものは,作品を取り除けてなおあとに価値のある人間によって創られるような気がする

辻まこと

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風が吹かないそんな場所でも
ぼくたちが走るなら 感じることが出来る。
吹くだろう風 なんて待つなよ
無いものをなげくより つくればいい 風だって


「すべてへ」19(ジューク)作詞 326

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有意気時添意気、不風流処也風流
(意気あるとき、意気を添う、風流ならざる処也た風流)

…厳しい時は徹底した厳しさがよいが、力を抜いているのも又味があっていいものだ。
…勢いのある時、例えば若い時などは精一杯頑張れば良い。そうして日々暮らしていけば、風流でない所にも風流はある。例えば幸福や和のないところにも幸福や和があるという事がわかるようになる。

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この地球(ほし)はまだまだわからない。

日本地球惑星科学連合大会2013年大会スローガン

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誰かを打ち負かすことでしか 幸せになれないというなら
誰とも争わない人生がいいって そう言うのかい
だけど競争から降りるのは 負けることからも逃げてるような
そんな気がしてるから まだ走ってる

百花繚乱 生命の花
この街のなかで どんな色をした
自分の花を 咲かすことができるのかな

「心color 〜a song for the wonderful year〜」作詞:福山雅治

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善(シロ)と黒(クロ)の決められた 横断歩道(くりかえし)に生きるより
君は自分で探してほしい 楽じゃないけど 楽しい道を…
「誰かの為に…」なんて云う 善い理由なんて 捨ててしまえば
ちっぽけな弱い自分が そこにいるだろう。「そして、きっと…。」

「ひとり×ひとり」の「僕ら」になろう 僕ら 一緒に歩いてく
まったく別の方向へ 楽じゃないけど 楽しい道を…。
…たとえば その坂道の 先に あるのは
下り坂でも それでも登りつづけんだ。
馬鹿にされても… 『不幸さえ 共に…。』

”辛けりゃ 辛い 今ほど 明日になりゃ いい思い出さ”
これからも共に走ろう 楽じゃないけど 楽しい未知を…。

「テーマソング」19(ジューク)作詞 326

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「海洋生物種の25%程度が、一生のうち少なくとも一時期を、サンゴ礁かその周辺で過ごします」(中略)「サンゴが生態系の土台を築くのです。当然、サンゴが消えれば、生態系全体も消滅します」
米国カーネギー研究所 ケン・カルデイラ

サンゴ礁は、驚くほど多様な生物を宿す海洋生物の宝庫だ。大ざっぱな推測だが、100万種から900万種の生物がサンゴ礁とその周囲に生息していると言われる。サンゴ礁を維持できなくなれば、こうした豊かな生態系も崩壊してしまう。

「環境の変化を察知して、不足を補うことができる生物もいるんです」(中略)「石灰化に投入するエネルギーを増やすために、『生殖はほどほどにしよう』とか『成長のペースを落とそう』という具合に判断するわけです」
こうした選択を促す要因が何か、また、その選択が長期的に有効かどうかはわかっていない。今のところ大半の研究が、競争相手になるような他の生物がいない水槽で短期間だけ観察したものに限られているからだ。
ライプニッツ海洋科学研究所 ウルフ・リーベゼル

地球上に生命が誕生して以来、大気中のCO2濃度が現在のレベルを上回ったことは何度もある。しかし、今のように急激なペースで高まったことは、ほとんどなかったようだ。海の生物にとって問題なのは、変化そのものよりも、変化のペースかもしれない。

現在のCO2排出のペースは、PETMよりもおよそ10倍速いと考えられ、表層と深層の海水が十分に混じり合う時間がない。今後100年間には、海面近くで集中的に酸性化が進むだろう。石灰化生物の大半が生息し、熱帯のサンゴ礁がある領域だ。「私たちが引き起こしているのは、地球の歴史のなかでは非常に特殊な現象です」と、PETMの海洋の変化を研究するアンディー・リッジウェルは言う。

最も極端な酸性化のシナリオは、今からでも回避できる。しかし、その方法は、現時点で考えられる限りただ一つ、CO2の排出を大幅に減らすしかない。

ナショナル・ジオグラフィック(2011年4月号「70億人の地球 酸性化する海」)

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泣こかい飛ぼかい、泣くよかひっ飛べ

鹿児島弁で、意訳すると(w)…

「考えてる暇があったら実行せよ!」

「(夢に届くまで)跳べるだろうか、跳べないかもしれない、でも迷って泣くぐらいなら、思い切って跳んでしまおう!!」

先日、横山先生が「石橋を叩いて渡るくらいなら、飛び越えてしまえ」と言っていたのも非常に心に響いたので、ここに記しておきます。

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「人工物を初めて星間空間に送り出したというのは途方もないことだ」
ドナルド・ガーネット(Donald Gurnett)

「このミッションのこれまでの40年間は本当にワクワクしたし、今後の10年も同様にワクワクするものになるはずだ。私たちがこれまで到達したことのない領域を探査しているのだ」
エド・ストーン(Ed Stone)

ナショナルジオグラフィック「ボイジャー1号の太陽系外到達を確認

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道をひらくためには、まず歩まねばならぬ。
心を定め、懸命に歩まねばならぬ。
それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる。
深い喜びも生まれてくる。

「道」松下幸之助『大切なこと』PHP研究所

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(いくら東大卒だからといって、エリートとして人生を生きてはならない、)ふとった豚になるよりは、痩せたソクラテスになれ
大河内一男

満足した豚であるより、不満足な人間であるほうがよい。満足した馬鹿であるより、不満足なソクラテスであるほうがよい。
関義彦、1967、世界の名著38、中央公論社

It better to be a human being dissatisfied than a pig satisfied; better to be Socrates dissatisfied than a fool satisfied.
J.S.Mil

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現在も今後も、海洋は荒涼とした無人地帯で、海上や水中で起きていることを理解しようとするわれわれの努力を拒み続けるだろう。ある意味、地球の70%を覆う海よりも、宇宙の状況の方がよくわかっている。

露クルーズ船、1年前から消息不明」ナショナル・ジオグラフィック ニュース

2013年12月6日金曜日

新着論文(Science#6163)

Science
VOL 342, ISSUE 6163, PAGES 1133-1280 (6 DECEMBER 2013)

Editors' Choice
King Solomon’s Silver
ソロモン王の銀
Internet Archaeol. 35, 10.11141/ia.35.6 (2013).
現在のイスラエルに位置するYarkon川とAkko (Acre)の間で発掘された硬貨制が始まる以前の銀製品の年代はBC1200-800であり、鉛の同位体分析から、方鉛鉱(PbS; galena)かイベリア半島山の鉱石に似た同位体比を持っていることが明らかに。銀の貿易や生産が西ヨーロッパで始まっていたことを示唆している。さらにソロモン王の銀の起源はサルデーニャの製錬所である可能性も浮上。

Forward into the Past
過去へと進む
Geophys. Res. Lett. 40, 5480 (2013).
大気へのCO2排出が止んでも、それが気候に与える影響はしばらく止むことはない。現実的なCO2大気捕獲の地球工学によって、「気候を完新世の代表的な値に安定化させるにはどれほどの時間を要するか」を気候モデルを用いて評価したところ、産業革命前の気温に戻るのは、もっとも遅くて西暦3000年になることが計算された。さらに氷床量や海水準の回復には気温よりも多くの時間を要することが示された。従って、極端な地球工学を採用し大気中のCO2濃度を元に戻したとしても、少なくとも数百年間はその影響が残ることを示している。
>話題の論文
Reversing climate warming by artificial atmospheric carbon-dioxide removal: Can a Holocene-like climate be restored?
Andrew H. MacDougall
大気中のCO2濃度が将来1,000年以内に産業革命以前の’安全な’レベルに落ち着くまでにかかる時間を気候モデル(The UVic ESCM)を用いて評価。つまりCO2の大気捕獲の地球工学が採用された場合について行っている。永久凍土の炭素プールのヒステリシス作用によって、化石燃料などから排出されたよりも多くの炭素が実際には大気から取り除かれることになる(元の115-180%)。中程度の気候感度を採用した場合、完新世の通常の値に戻るのは西暦3000年頃と思われる。
>関連した論文
Significant contribution to climate warming from the permafrost carbon feedback
Andrew H. MacDougall, Christopher A. Avis & Andrew J. Weaver
Nature Geoscience 5, 719–721 (2012)
 永久凍土には現在の大気の炭素量の約2倍もの炭素が存在する(1,700PgC)。温暖化とともにこれらの永久凍土が融解し、土壌から炭素が大気へと放出される正のフィードバックが存在する可能性が提唱されている。
 気候モデルによるシミュレーションから、永久凍土から2100年までに68 - 580 PgCの炭素が放出され、それによって起きるフィードバック過程によって、2300年までにさらに0.13 - 1.69 ℃温暖化する可能性が示唆される(ただし、人間活動による今後のCO2放出については考慮していない)。人為起源の排出があまり多く起こらないシナリオに基づいた場合でも大きな温室効果が起きることが考えられる。

News of the Week
High School Team Tackles Lunar Mystery
高校生のチームが月の謎に取り組む
Lunar Reconnaissance Orbiterが2011年に縞のある月の石の画像を撮影した際、ミズーリ州の3人の高校生がその成因の調査に取りかかった。惑星科学者Georgiana Kramerの協力のもと、調査されたその結果が著名な科学雑誌Icarusに掲載されることに。月の地殻内部で形成され、その後何らかの衝突イベントで表面に露出した可能性が示唆されている。

News & Analysis
Elusive Denisovans Sighted in Oldest Human DNA
謎に満ちたデニソワ人が最古のヒトのDNAに浮かび上がる
Ann Gibbons
アジアに住んでいたとされるデニソワ人のDNA分析から、スペインのネアンデルタール人の祖先と繋がっているという驚きの結果が得られた。
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
40万年前のヒトDNA解読に成功
これまでヒト属のDNA解読は、およそ12万年前の化石にとどまっていた。
>話題の論文
A mitochondrial genome sequence of a hominin from Sima de los Huesos
Matthias Meyer, Qiaomei Fu, Ayinuer Aximu-Petri, Isabelle Glocke, Birgit Nickel, Juan-Luis Arsuaga, Ignacio Martínez, Ana Gracia, José María Bermúdez de Castro, Eudald Carbonell & Svante Pääbo
Nature (2013) doi:10.1038/nature12788

News Focus
Secrets of Snakes
ヘビの秘密
謎に満ちて危険な存在であるヘビは1,000年間の長きに渡って人間を魅了してきた。

Genes for Extremes
極端な遺伝子
Elizabeth Pennisi
獲物を押しつぶすパイソンと毒を扱うコブラという、2種のヘビの全ゲノム解読がなされ、今週PNASに報告された。

From Toxins to Treatments
毒から治療まで
Kai Kupferschmidt
研究者らは毒蛇をはじめとする動物の毒を治療する薬の開発を望んでいる。

The Freek Show
Freekのショー
Martin Enserink
ヘビの研究者Freek Vonkについて。

Island of the Snakes
ヘビの島
Erik Stokstad
外来種であるミナミオオガシラ(brown tree snake; Boiga irregularis)がグアムの生態系を破壊し尽くしたが、それらは根絶可能なのだろうか?

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Research
Perspectives
How Fisheries Affect Evolution
いかにして漁業が進化に影響するか
Andrea Belgrano and Charles W. Fowler
人間による漁業は魚の遺伝的特徴を変化させている。サイズによって選択的に漁獲されることが原因であるという。

Dangers of Being Thin and Weak
薄く弱いことの危険性
Kelin Wang and Masataka Kinoshita
2011年の東日本大震災の原因となった断層の海洋掘削のデータは、それが薄く弱い断層帯で起きたことを示している。

Reports
Structure and Composition of the Plate-Boundary Slip Zone for the 2011 Tohoku-Oki Earthquake
2011年の東北沖地震のプレート境界スリップ域の構造と組成
Frederick M. Chester, Christie Rowe, Kohtaro Ujiie, James Kirkpatrick, Christine Regalla, Francesca Remitti, J. Casey Moore, Virginia Toy, Monica Wolfson-Schwehr, Santanu Bose, Jun Kameda, James J. Mori, Emily E. Brodsky, Nobuhisa Eguchi, Sean Toczko, and Expedition 343 and 343T Scientists
IODP343と343Tで得られた岩石サンプルと掘削孔の分析から、地震の原因となった断層の滑りが5mの厚さの遠洋性の泥に富んだ層という非常に限られた範囲で生じており、泥が地震発生に重要な役割を負っていた可能性が示唆。

Low Coseismic Shear Stress on the Tohoku-Oki Megathrust Determined from Laboratory Experiments
室内実験から決定された東北沖巨大地震時の低い剪断応力
Kohtaro Ujiie, Hanae Tanaka, Tsubasa Saito, Akito Tsutsumi, James J. Mori, Jun Kameda, Emily E. Brodsky, Frederick M. Chester, Nobuhisa Eguchi, Sean Toczko, and Expedition 343 and 343T Scientists

Low Coseismic Friction on the Tohoku-Oki Fault Determined from Temperature Measurements
温度計測から決定された負うほく置き断層の低い地震摩擦
P. M. Fulton, E. E. Brodsky, Y. Kano, J. Mori, F. Chester, T. Ishikawa, R. N. Harris, W. Lin, N. Eguchi, S. Toczko, and Expedition 343, 343T, and KR13-08 Scientists
断層滑りの際の摩擦耐性が地震の力学を支配している。地震の際の温度が推定できれば、摩擦に関する情報が得られる。IODP343と343Tでは地震の16ヶ月後から9ヶ月間の孔内温度を計測した。プレート境界での0.31℃の温度偏差は地震時に1m2あたり27MJのエネルギーを発生したことを示唆している。

Giant Convection Cells Found on the Sun
太陽で発見された巨大な対流セル
David H. Hathaway, Lisa Upton, and Owen Colegrove
太陽の対流セル内部の流れが角速度を赤道側に輸送しており、太陽の早い赤道方向の回転を維持している。

2013年12月5日木曜日

新着論文(Nature#7478)

Nature
Volume 504 Number 7478 pp7-182 (5 December 2013)

RESEARCH HIGHLIGHTS
Clues to extinction in lava gases
溶岩のガスの中に見つかった絶滅のヒント
Geology http://doi.org/p7s (2013)
2億5300万年前のペルム紀末の絶滅イベントはシベリアにおける巨大な火山噴火を伴っていたことが知られている。しかしその因果関係についてはまだはっきりと分かっていない。シベリアの溶岩の中のガスの分析結果とモデルシミュレーションを組み合わせることで、CO2やSO2といった酸性ガスが強烈な酸性雨を降らせ、さらにクロロメタンがオゾン層を破壊したことが絶滅に寄与した可能性が示唆。

Sharks never forget home
サメは故郷を決して忘れない
Mol. Ecol. http://doi.org/p78 (2013)
1995年から2012年にかけてバハマで行われたレモンザメ(lemon sharks; Negaprion brevirostris)のDNAの分析から、1993-1998年の間に生まれたメスのサメが出産のために生まれた地へ戻っていたことが分かった。サメでそうした里帰りの例が示されたのは初だという。ある特定の出産地があるらしく、そうした地域は漁業禁止区域に設定するなど、保全に向けた努力が必要となる。

SEVEN DAYS
Death of a comet
隕石の死
アイソン彗星は11/28に太陽の近くをかすめた際に分解し、その塵の雲だけを残して消え去ったと思われる。
>より詳細な記事(Nature NEWS)
Remnants suggest comet ISON still going
Alexandra Witze

On track to Mars
火星への道の途上
インドによる火星探査機(Mangalyaan)が地球の軌道を脱した。300日間かけて火星に到達し、成功すればインド初の惑星横断探査機となる。

X-ray vision
X線の目
ヨーロッパ宇宙局の次のミッションの中心はX線宇宙望遠鏡となることが11/28に公表された。ブラックホールや星間ガスの観測に用いられる。その後、2034年までの次の巨大ミッションは重力波の宇宙観測になると予定されている。
>より詳細な記事(Nature NEWS BLOG)
X-ray observatory confirmed as ESA’s next big mission
Elizabeth Gibney

China Moon rover
中国の月探査機
中国が初の月の地上探査機の打ち上げを行った。探査機を搭載したロケット(Chang’e 3)は中国南西部のXichang衛星打ち上げセンターより12/2に打ち上がった。

NEWS IN FOCUS
Hominin DNA baffles experts
ヒトのDNAが専門家を悩ませる
Ewen Callaway
ヒトの祖先のこれまでで最も古いDNAシーケンス分析から、謎めいた集団へのリンクが示唆。

FEATURES
North America's broken heart
北アメリカの壊れた心臓
Jessica Marshall
10億年前の隆起によって、北米大陸の中央部は割られかけた。その原因の解明がまもなくなされるかもしれない。

COMMENT
Lunar conspiracies
月の陰謀
「現在の月の形成理論はあまりに宇宙で起きた偶然に頼りすぎている」とRobin Canupは言う。彼女はより良いモデルと火星の探査ミッションの必要性を主張する。

CORRESPONDENCE
Take more care over glacier facts
氷河の事実にもっと細かい注意を
Alex S. Gardner
2010年にはIPCCが氷河ゲート事件(glaciergate)を起こしたが、気候変化が氷河に与える影響の評価には大きな誤差が伴うことをよりよく理解しなければならない。

Recycle waste for nourishing soils
土壌を豊かにするためにゴミをリサイクルせよ
Johannes Lehmann

FUTURES
Planetary defences
地球防御
S. R. Algernon

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SPECIALS "COASTAL REGIONS"
特集:沿岸域

INTRODUCTION
Coastal regions
沿岸域
Juliane Mossinger, Michael White & Patrick Goymer
 沿岸部には多くの人が住んでおり、人々は沿岸部の生態系サービスからあらゆる恩恵を受けている。近年の地球温暖化とそれに伴う海水準上昇、さらにはダム建設や地下水の過剰揚水などが沿岸部の経済・生態系を脅かしている。
 この特集では沿岸研究に関する現在の科学的課題を浮き彫りにし、より良く沿岸部の脆弱性を理解する必要があることを強調する。

REVIEWS
North Atlantic warming and the retreat of Greenland's outlet glaciers
北大西洋の温暖化とグリーンランドの溢流氷河の後退
Fiammetta Straneo & Patrick Heimbach
 過去20年間の間にグリーンランド氷床の質量損失は4倍に増加し、全球の海水準上昇の4分の1に寄与していると考えられている。海水準よりも低いところの氷の融解がグリーンランドの溢流氷河の後退を招いていると考えられているものの、物理的プロセスの理解は不足している。1950年以降、「大気循環の変化」「海洋の数十年規模変動」「表層水の熱容量の長期的増加」のすべてが北大西洋の温暖化に寄与しており、氷河の融解を促進していると考えられる。

Coastal flooding by tropical cyclones and sea-level rise
熱帯低気圧と海水準上昇による沿岸部の氾濫
Jonathan D. Woodruff, Jennifer L. Irish & Suzana J. Camargo
気候変化が台風の上陸にどのような影響を与えるかはよく分かっていない。しかしそれとは関係なしに、加速する海水準上昇は熱帯低気圧による沿岸部の氾濫を増加させると思われる。沿岸部の社会は急速な変化と共存しなければならない。人類による地盤沈下の軽減などを通して、適応戦略を取る必要がある。

Tidal wetland stability in the face of human impacts and sea-level rise
人類影響と海水準上昇の下の干潟の安定性
Matthew L. Kirwan & J. Patrick Megonigal
人間は湿地の生態系サービスに影響を与え、またそれに依存して暮らしている。沿岸部の湿地は海水準上昇に脆弱であると長く考えられてきたものの、近年植物の成長や地形変化などによってある程度の耐性がある可能性も示唆されている。気候変化・栄養塩流入・堆積物供給・地盤沈下などの様々な要因が影響し、そのフィードバックには人間活動が大きく関与している。

The changing carbon cycle of the coastal ocean
沿岸部の海の変化しつつある炭素循環
James E. Bauer, Wei-Jun Cai, Peter A. Raymond, Thomas S. Bianchi, Charles S. Hopkinson & Pierre A. G. Regnier
沿岸部は全球のダイナミックに変動する炭素循環の重要な構成要素の一つである。しかし、その多様な炭素の吸収源・放出源としての振る舞いと複雑な相互作用とはあまりよく理解されていない。近年、産業革命以降の沿岸部は炭素の”吸収源”として寄与している証拠が得られつつある。将来の沿岸部の炭素循環には依然として人間活動の影響が大きいと思われる。

Offshore fresh groundwater reserves as a global phenomenon
全球的な現象としての沖の淡水地下水貯蔵庫
Vincent E.A. Post, Jacobus Groen, Henk Kooi, Mark Person, Shemin Ge & W. Mike Edmunds
大陸棚の地下には低塩分の地下水が大量にあることが知られているが、陸水の海への流入だけでは単純に説明が出来ない。大陸棚水文学の研究は堆積学・海洋地球化学を代表とする他の学術領域の発展にも寄与すると思われる。

PERSPECTIVES
Ecosystem-based coastal defence in the face of global change
全球の変化の運命の下での生態系に基づいた沿岸防護
Stijn Temmerman, Patrick Meire, Tjeerd J. Bouma, Peter M. J. Herman, Tom Ysebaert & Huib J. De Vriend
多くの沿岸域で、これまでに行われてきたような海岸堤防の建設などが持続不可能になりつつある。生態系を利用した海岸の氾濫からの保護がより持続的で、低コストで、生態的に優しい手段であることを示す。さらにそれは全球的なスケールで採用することが可能なものでもある。

Green and golden seaweed tides on the rise
緑と金の海藻の打ち上げが増加傾向に
Victor Smetacek & Adriana Zingone
世界の至る所で海草類の大量の打ち上げが増加していることが報告されている。それらの腐敗は沿岸部を窒息させ、観光・漁業にも悪影響を及ぼす。沿岸部の富栄養化が原因であることは疑いもないが、個々のイベントの原因は複雑であり、その軽減に向けた研究が必要とされている。

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RESEARCH
Planetary science: Shadows cast on Moon's origin
惑星科学:月の起源に投げかけられる影
Tim Elliott & Sarah T. Stewart
新たな観測とモデルシミュレーションの出現によって、月の形成理論に次々と課題が投げかけられている。地球化学的・初期動力学的視点から2人の専門家が現在の知識をレビューする。
>Natureハイライト
月をリメークする:現在の月形成理論は不十分であることが分かり、新しいモデルが求められている

Astrophysics: Magnetic fields in γ-ray bursts
天文学:γ線バースト中の磁場
Maxim Lyutikov
Mundell et al.の解説記事。

LETTERS
Highly polarized light from stable ordered magnetic fields in GRB 120308A
GRB 120308Aの安定で秩序立った磁場からの大きく偏光した光
C. G. Mundell, D. Kopač, D. M. Arnold, I. A. Steele, A. Gomboc, S. Kobayashi, R. M. Harrison, R. J. Smith, C. Guidorzi, F. J. Virgili, A. Melandri & J. Japelj
>Natureハイライト
γ線バースターからの最初の光

Olivine in an unexpected location on Vesta’s surface
ヴェスタの表面のある場所にある予期せぬかんらん岩
E. Ammannito, M. C. De Sanctis, E. Palomba, A. Longobardo, D. W. Mittlefehldt, H. Y. McSween, S. Marchi, M. T. Capria, F. Capaccioni, A. Frigeri, C. M. Pieters, O. Ruesch, F. Tosi, F. Zambon, F. Carraro, S. Fonte, H. Hiesinger, G. Magni, L. A. McFadden, C. A. Raymond, C. T. Russell & J. M. Sunshine
小惑星ヴェスタの南極にはマントル起源のかんらん岩が存在することが期待されていたが、NASAのDawn探査機のデータはそれとは反対に、北極の亜表層にかんらん岩が存在することを示している。
>Natureハイライト
ベスタの意外な場所で発見されたカンラン石

Late-twentieth-century emergence of the El Niño propagation asymmetry and future projections
エルニーニョの伝播の非対称性の20世紀末の出現と将来予測
Agus Santoso, Shayne McGregor, Fei-Fei Jin, Wenju Cai, Matthew H. England, Soon-Il An, Michael J. McPhaden & Eric Guilyardi
エルニーニョ・南方振動(ENSO)は全球の気候にも影響を与える数年スケールの内部振動である。その現象の東西伝播はあるときは西向き、あるときは東向きであり、その伝播の非対称性の原因はこれまでのところ解明されていない。
 赤道太平洋上の西向きの海流が弱い時に伝播の非対称性が生じやすいことが明らかに。それは温暖化した気候の際に起こると予測されているものである。モデルのアンサンブル・シミュレーションから、将来温暖化した世界では東向きの伝播が2倍になることが示唆。伝播非対称性のより頻繁な出現は、地球の気候温暖化の証拠となるかもしれない。
>Natureハイライト
太平洋赤道海流とエルニーニョ/ラニーニャの非対称性

Foundering of lower island-arc crust as an explanation for the origin of the continental Moho
大陸モホ面の起源を説明する島弧下部地殻の沈下
Oliver Jagoutz & Mark D. Behn

2013年12月4日水曜日

新着論文(SR, Ncom)

Scientific Reports
12 November 2013
特になし

19 November 2013
Deep cognitive imaging systems enable estimation of continental-scale fire incidence from climate data
Ritaban Dutta, Jagannath Aryal, Aruneema Das & Jamie B. Kirkpatrick
気候変化の結果、森林火災にも影響が生じると思われる。気候データから森林火災の発生予測の精度を向上できるかどうかを検証。

26 November 2013
Ingested plastic transfers hazardous chemicals to fish and induces hepatic stress
Chelsea M. Rochman, Eunha Hoh, Tomofumi Kurobe & Swee J. Teh
>Nature姉妹紙 ハイライト
プラスチック破片由来の化学物質がメダカの健康に及ぼす影響

3 December 2013
Iodine isotopes species fingerprinting environmental conditions in surface water along the northeastern Atlantic Ocean
Peng He, Xiaolin Hou, Ala Aldahan, Göran Possnert & Peng Yi


Nature Communications
13 November 2013
Morphological and genetic evidence for early Holocene cattle management in northeastern China
Hucai Zhang, Johanna L.A. Paijmans, Fengqin Chang, Xiaohong Wu, Guangjie Chen, Chuzhao Lei, Xiujuan Yang, Zhenyi Wei, Daniel G. Bradley, Ludovic Orlando, Terry O'Connor and Michael Hofreiter
ウシの家畜化は完新世初期の近東と南アジアが起源と考えられてきたが、中国北東部からも新たな証拠が得られた。

Carbon isotope records reveal precise timing of enhanced Southern Ocean upwelling during the last deglaciation
Giuseppe Siani, Elisabeth Michel, Ricardo De Pol-Holz, Tim DeVries, Frank Lamy, Mélanie Carel, Gulay Isguder, Fabien Dewilde and Anna Lourantou
>関連した記事(Nature Geoscience#Dec2013 "Research Highlights")
Southern upwelling
南大洋の湧昇
Nature Commun. 4, 2758 (2013).
氷期の終わりには大気中のCO2濃度が段階的に上昇したことが知られている。南大洋周辺海域で得られた海洋堆積物中の浮遊性・底性有孔虫の放射性炭素の濃度の差は、最終退氷期に差が小さくなっている、つまり深層と表層とがよりよく混合していたことを示唆しており、湧昇が強まっていたことを物語っている。従って、氷期に深海底に蓄えられた炭素が大気へと移動したことが大気CO2濃度の上昇に大きく寄与したことを物語っている。

20 November 2013
特になし

27 November 2013
Pink marine sediments reveal rapid ice melt and Arctic meltwater discharge during Dansgaard–Oeschger warmings
Tine L. Rasmussen and Erik Thomsen
氷期のD/Oサイクルの亜氷期(stadial)の際にはNordic Seasは海氷に覆われ、大西洋子午面循環は停滞していたと考えられている。Svalbard諸島の北西部から得られた堆積物コアの過去55kaの色・粒度・同位体分析。通常は緑色をしたシルトの堆積物が、融氷があったと思われる亜間氷期(inter-stadial)の際にはピンク色の堆積物(Devonian Red Beds)に取って代わることが分かった。同時にIRDが減少するのは、氷床が後退し、一方で融水は増大した結果と考えられる。

新着論文(PNAS)

PNAS
12 November 2013; Vol. 110, No. 46
特になし

19 November 2013; Vol. 110, No. 47
特になし

26 November 2013; Vol. 110, No. 48
Letters
Oxygen isotope anomaly not present in water vapor from Alert, Canada
Martin F. Miller

Reply to Miller: Concerning the oxygen isotope anomaly observed in water vapor from Alert, Canada, and its stratospheric source
Ying Lin, Robert N. Clayton, Lin Huang, Noboru Nakamura, and James R. Lyons

Commentaries
Local diversity stays about the same, regional diversity increases, and global diversity declines
Chris D. Thomas
Vellend et al.の解説記事。

Reports
Microphysical effects determine macrophysical response for aerosol impacts on deep convective clouds <OPEN>
Jiwen Fan, L. Ruby Leung, Daniel Rosenfeld, Qian Chen, Zhanqing Li, Jinqiang Zhang, and Hongru Yan

Identifying external influences on global precipitation <OPEN>
Kate Marvel and Céline Bonfils

Global meta-analysis reveals no net change in local-scale plant biodiversity over time 
Mark Vellend, Lander Baeten, Isla H. Myers-Smith, Sarah C. Elmendorf, Robin Beauséjour, Carissa D. Brown, Pieter De Frenne, Kris Verheyen, and Sonja Wipf

3 December 2013; Vol. 110, No. 49
Commentaries
Forecasting long-term gas production from shale
Luis Cueto-Felgueroso and Ruben Juanes

Reports
Spontaneous abrupt climate change due to an atmospheric blocking–sea-ice–ocean feedback in an unforced climate model simulation
Sybren Drijfhout, Emily Gleeson, Henk A. Dijkstra, and Valerie Livina

Greenland ice sheet motion insensitive to exceptional meltwater forcing
Andrew J. Tedstone, Peter W. Nienow, Andrew J. Sole, Douglas W. F. Mair, Thomas R. Cowton, Ian D. Bartholomew, and Matt A. King

Arctic sea-ice decline archived by multicentury annual-resolution record from crustose coralline algal proxy
Jochen Halfar, Walter H. Adey, Andreas Kronz, Steffen Hetzinger, Evan Edinger, and William W. Fitzhugh
>関連した記事(Nature#7477 "RESEARCH HIGHLIGHTS")
Crusty alga uncovers sea-ice loss
固い藻類が海氷の消失を明らかにする
木の年輪のように、北極海の藻類は過去の気候記録を保存している。Clathromorphum compactumの年輪の厚さとMg/Ca(温度や光量に関係していると考えられる)から得られた646年間にわたる過去の温度記録から、最近のカナダ北極圏の海氷量は過去150年間で劇的に減少し、646年で最低の値となっていることが示された。現在、人工衛星によって海氷のモニタリングが行われているが、それはたかだか1970年代までしか遡れない。この大発見は、北極海の海氷の復元に新たな道を切り開くものとなると期待される。

Deep ocean communities impacted by changing climate over 24 y in the abyssal northeast Pacific Ocean <OPEN>
Kenneth L. Smith, Jr., Henry A. Ruhl, Mati Kahru, Christine L. Huffard, and Alana D. Sherman
深海底の生態系には表層の生物一次生産が重要な役割を負っているが、気候変化が深海にどのような影響を与えるかははっきりとしていない。太平洋北東部の深度4,000mにおける24年間にわたる粒子状有機炭素の供給量のモニタリングから、時折供給量が急激に増大することで、底層の食料が賄われていることが示された。表層の変化が深層にも及んだ結果と考えられ、全球の炭素収支を考える上でも重要な知見となるかもしれない。